ルミエル(プリキュア)
るみえる
CV:安野希世乃
概要
100年前のいちご坂で活躍していたパティシエの女性で、『キラキラ☆プリキュアアラモード』の世界観における先代のプリキュア。
かつてキラキラルで世界中を笑顔にしたとされる「伝説」が妖精達の間で語り継がれ、故にプリキュアは「伝説のパティシエ」の称号で呼ばれる。
長い間名前が明かされず、本編中では妖精達から「伝説のパティシエ・プリキュア」とのみ呼ばれていた。
現世代のプリキュアは「伝説のパティシエを目指すもの」という位置付けなので、すでに伝説のパティシエの称号を得ているプリキュアは先代の方を指すことになる。また、長老は「いにしえのプリキュア」と呼ぶこともあり、pixivではこれがタグとして使われていた。他には「昔のプリキュア」とまんま呼び方がされることも。
第32話にて彼女の名前が「ルミエル」であることが明かされた。ルミエルは彼女の本名であり、「キュアルミエル」という訳ではない。
作中では明確には語られていないが、彼女は外国人の女性である。暮田SDの裏設定によれば、いちご坂の雰囲気が気に入ったことで住み着いたらしい(『アニメージュ』増刊号より)。
ルミエルがプリキュアに変身した際のプリキュア名については作中では語られていない。この世界では彼女が最初のプリキュアでしかも一人で活動していたため、ただ単に「プリキュア」としか名乗ってなかったとも考えられるだろう。
ちなみに「ルミエル」(Lumière)とはフランス語で「光」という意味である。
外見
プリキュアとしての姿
少しウェーブの掛かった長いピンクの髪をしており、足元までの長さがある。
コックコートをモチーフにした白いロングドレスに紫色の薄手のエプロンを羽織っており、頭にはコック帽をモチーフにした白と紫の王冠を被っている。
先端が泡立て器のようになっている長めの王笏を手にしており、背中には妖精の羽のようなものを生やしている。
デザイン的には現世代プリキュアのようなカラフルポップな雰囲気は薄く、動物のモチーフも見当たらない。どちらかと言えば2年前の作品に出てきそうな高貴なエレガントさが押し出されている。
また、ルミエルのプリキュアとしての姿が、前作『魔法つかいプリキュア!』の花海ことはと外見の雰囲気が似てるとする声もちらほらとある。(キュアフェリーチェではなく変身前のことはを思い出させるのがポイント)
本編への登場
伝説の中の存在として
初出は第2話。長老がプリキュアとは何かを語っている時の背景にイメージ映像として彼女の姿が映し出された。また、第2話から第6話まで存在したオープニングのロングイントロ部で彼女の全身像が写っている。このロングイントロ部は第7話以降では、アバンに「前話のハイライト映像」が描かれることになった関係でカットされてしまっている。
本編ではたびたび、妖精達の会話シーンの中では「伝説のパティシエとされた先代のプリキュア」に憧れるセリフがよく出てくるが、具体的に彼女がどのような存在だったのかは曖昧なままであった。
なお、プリキュアの伝説が曖昧な点に関しては後の第33話にて「100年前にいちご山にいた妖精のご先祖様達が闇の影響を受けたために、その期間の記憶が失われているから」と言うことが判明した。
作中では「心のキラキラル」が奪われると精神活動が極端に低下して仮死状態に陥ることはなんども描かれているので、妖精たちのご先祖様も同じような目にあっていたのだろう。
プリキュアの活躍によりノワールが退けられて妖精達は闇の呪縛から解放されて正気を取り戻したのだが、自分たちがどうやって闇に包まれたのか、プリキュアがどのような活躍をしたのか、ほとんど覚えてなかったのである。
「ルミエル」と言う名前をプリキュアに憧れていた妖精のキラリンもペコリンも知らなかったのは、その名前自体がプリキュア伝説の中で伝わっていなかったのではないかと思われる。
プリキュアの導き手として
第22話ではいちご山の地下に彼女を祀った祭壇が発見されており、その場所でジュリオとプリキュアが決戦をした際に、プリキュアたちを守るかのように彼女の幻影が浮かび上がった。
この祭壇は現代に生きる妖精たちの最古参である長老さえも存在を知らされていなかったもので、いつ、誰が、何のために作ったのかは今の時代では誰も知るものがいない。ただ、長老が言うにはこの祭壇からはいにしえのプリキュアの力が実際に感じられると言う。(後の第33話でこの祭壇に宿っているのは「ルミエルのキラキラル」だと判明する)
そして現世代のプリキュアが祭壇を見つけたことをきっかけに、彼女達をさらなる成長へと導こうとしていると言うのだ。
この時点でのルミエルは物理的な干渉はできず、言葉も交わすこともできない。なので、現世代プリキュアに対する直接的な助力を行うことはない。
しかし、プリキュア達の運命の分岐点とも言える重要なシーンでキラキラルの力で干渉してくる。
第23話では致命傷を受けて消滅しかかったピカリオの魂を祭壇の中に封印することで救済している。また、翌24話では祭壇の前に集まった6人の現世代プリキュアの「いにしえのプリキュアからのメッセージ」として、飴玉のような球体を一人一人に授けている。
この球体は26話より、持ち主のプリキュアの成長に呼応するかのように、そのプリキュアがモチーフとする動物をかたどった結晶へと変化する現象が発生している。この球体及び結晶が何をなすためのものかは不明だが、球体の変化は各プリキュアが「負の面も受け入れた自己肯定」をしたときに起こりやすい傾向にあるため、彼女が遠隔的に課した試練や課題の類いと考えられる。
様々な状況証拠からいちご山とは深いかかわりを持つ人物であると推測されていたが、32話にて今のプリキュア達とおなじくいちご坂を拠点に活動していたことが明かされた。
クリスタルアニマルの覚醒
その32話では、祭壇前に襲撃してきたビブリーとプリキュアとの決戦が行われる。22話での祭壇前でのジュリオ戦を彷彿とさせる流れで、その時と同様にピンチとなったプリキュアの前に先代の幻影が浮かび上がった。
そして光に包まれたプリキュア達は過去のいちご坂にタイムスリップ。そこでプリキュアたちは現役時代の先代と出会う。ここで彼女の名前がルミエルだと初めて判明した。
ルミエルが活動していた時代は、いちご坂のシンボルでもある時計台がまだ建設中であり、電柱はないがガス灯が立っており、町のみんながまだ和服を着ているくらいの時代である(33話で「100年前」と明かされた)
ルミエルも人を笑顔にするため、当時のキラパティでスイーツを作っては人々に振る舞っていた。
変身は「キュアラモード!」の掛け声のみで行い、「キラキラキラルン!」の掛け声の後発動させるリュミエール・コンフィズリーという技を持つ。
現代のプリキュアとは異なり、ルミエルは彼女単独で戦っていた模様。
授けた球体について当時のルミエル本人は全く心当たりが無かったが、いちか達6人との触れ合いを経て、球体の変化したクリスタルが「1人1人の個性の輝き」である結論に辿り着く。個性がキラキラルを輝かせるということはたった一人で戦い続けていたルミエルも知らなかったことであり、いちか達6人に自分にはない新しい可能性を見出していた。
そして、自分が大切にしていたクリーム絞り器を譲ってキラキラルの力でいちか達を元の時代に帰す。そしていちか達が現代に戻ってきた時にクリスタルとクリーム絞り器が共鳴して、クリスタルアニマルとキラキラルクリーマーへと変化した。
時間軸のことを考えれば、この後にルミエルがノワールを撃退するが、いちか達との出会いから未来に再び災いが訪れることを知ったルミエルは、未来のプリキュアのために自分が見た通りのクリスタルを作り出したのだということになるのだろう。
妖精達の守り神として
いちご山の妖精達はルミエルを伝説の存在として崇敬しており、ルミエルもまたその妖精達を慈しんでいる。第23話で闇に堕ちた代償として死ぬはずだった妖精ピカリオの命を救ったのもルミエルの慈悲あってのことである。
第38話では妖精ペコリンの夢の中にルミエルが出てきて、キラキラルを分け与えた。そして翌朝目が冷めるとペコリンは人間の姿になっていた。
妖精が人間に変身するためには相応の実力がなくてはならず、ペコリンにはまだそれは備わっていない。しかしペコリンはルミエルの祭壇が見つかってからはそこへのお祈りを欠かさず行っており、ピカリオが元気になることと、もっといちか達の役に立てるようになりたいと願い続けていた。ペコリンのこの真摯な願いにルミエルのキラキラルが反応して力を与えたのではと長老は推測している。
しかし同話の後半ではディアブルを取り込んだグレイブがプリキュアを壊滅的なまでに追い込むというハードな展開が描かれ、ペコリンはプリキュアを助けたいと心から願ったため、自らの中にあるルミエルのキラキラルをプリキュアのための力として分け与えた。その絶大な力を消費することでプリキュア達は逆転することができたが、結果的にペコリンは人間に変身できる力を失ってしまった。しかし、ペコリンが本当に友達を思えるような子だったからこそ、ルミエルは彼女に一抹の夢を与えたとも考えられるだろう。ペコリンはルミエルの力を失ったことにも後悔などなく、いつか自分の力でちゃんと人間に変身できるまでに成長すればいいと希望の道を示していた。
そんなペコリンの健気な思いにルミエルはほだされたのだろうか。ペコリンの「もう一つの願い」もまた叶えられようとしていた。
翌39話ではグレイブがいちご坂を闇に染めてしまい、町の住民をネンドモンスターに変えて操りプリキュアと戦わせるという地獄絵図が描かれる。当然、プリキュア達は手をだすわけには行かず絶体絶命の危機に陥るが、そこに現れたのはかつてのジュリオとしての姿ながら、服もロッドも白くなり、妖精の羽根が生えた、人の姿のピカリオだった。
彼はただ目覚めただけでなく、ルミエルのキラキラルに包まれていた影響でそのプリキュアとしての力を一時的に身に宿したというのだ。
40話ではその力でプリキュア達の助っ人として活躍したものの、グレイブの闇の力に押し負けてしまいルミエルから借り受けた力の源であったロッドが砕けてしまう。しかしそのロッドのカケラが町中に飛び散り、そこに込められたキラキラルに導かれるように妖精たちが集まりみんなで力を合わせて渾身のスイーツを作り出し、そのキラキラルの輝きで町の闇を祓うことになる。
過去の世界
ルミエルがプリキュアとして活動していた100年前の時代にもノワールが活動しており、いちご坂の町が闇に覆われてしまっていた。
いちか達が訪れたときには、町の人々の中にキラキラルが全くない状態になっており、町は陰気で殺伐とした雰囲気になっていた。また、町には当時のノワールのしもべである「闇のアニマル・ディアブル」が徘徊していた。
そこでルミエルはプリキュアとして闇のアニマルの脅威から街を守りつつ、パティシエとしてスイーツを作っては人々に振る舞って笑顔にするという「戦い」をしていたのである。
現代でのキラキラパティスリーも、もともとはこの時代のルミエルがスイーツを作るために使った工房であった。アニメージュ増刊号での記事によると、この工房は「闇の汚染を受けた人たちにキラキラルを補充して元気にしてあげるため」と言う目的でルミエルが設立したもので、彼女の中の認識では病院に極めて近いものであったらしい。
しかし、平和な時代に生きるいちかは厨房とホールがあるような建物を普通に「スイーツショップ」だとしか認識できなかったわけで、キラパティに改装されることになる。ルミエルは未来の世界でいちかたちがここを「みんなの笑顔が集まるお店」として使ってくれていることを知って、感慨深い笑顔をうかべていた。
ルミエルとノワールが直接対決を行う寸前にいちか達は現代に戻されたので決戦の詳細は不明だが、現代のいちご坂がスイーツづくりの盛んな明るい町になっていることから、ルミエルは戦いの末ノワールによる闇の支配からいちご坂を解放することができたものと思われる。
因みに本作の放映年である平成29年(西暦2017年)から100年前というと大正6年となる。いちご坂は欧風の建築物やガス灯が並ぶ街並みがに対して町の人の多くが和服を着ている。
世界史的には第一次世界大戦の終戦間際。まさに世界が闇に染まっていた混迷の時代であった。
余談
外国人のルミエルであるが作中彼女は日本語を流暢に話しており、裏設定なことも相まって容姿や服装も含め、海外出身と視聴者に解らせる要素はほぼ皆無である(洋食であるスイーツを作っていたことや、クリーム絞り器等の所持品が西洋風だったことぐらいだろうか)。
そのため視聴者の間では「ルミエルは本名なのか」「そもそも普通の人間なのか」「実は妖精」等と、彼女がいちご坂の出身であることを前提とした正体考察がされていたが、結果は上述の通りである。
ちなみに32話終了間際くらいに、今回のタイムスリップに同行してなかった長老に対してペコリンが「いにしえのプリキュアに会ってきた」と報告をするシーンがある。それを聞いた長老は「ここは本当にルミエルの…」と呟くが、この時点ではルミエルという名前を誰も長老には教えていない。
上述したようにルミエルという名前はプリキュア伝説に憧れているキラリンもペコリンも知らなかった。なので長老はいにしえのプリキュアはルミエルと言う名前だということを、プリキュア伝説とは無関係に個人的に知っていた可能性がある。
また、一瞬のことなので見逃した方も多いかと思われるが、ルミエルの魂が祀られてる祭壇だとわかったとき長老はうっすらと涙していた。
中の人について
担当声優の安野希世乃はプリキュアシリーズ初参加である。これまで先代プリキュア役と言えば雰囲気的に正規プリキュア役よりも上の世代の中堅・ベテランクラスの声優を起用するのが通例だったが、演じる安野は正規のプリキュア役に選ばれてもおかしくない平成生まれの若手である。