目に見えなくても 確かにあるもの
穢そうとしても 見えず触れない
だから曇らない 命の光
ー『LaLaLa☆Lumière』
概要
世の中の全てのスイーツに含まれている不思議なパワーのことで、作り手がスイーツに込めた強い想いが結晶化したものとされる。スイーツを食べると心が元気になるのは、このキラキラルが宿っているから。
重要な点として、キラキラルはスイーツ自体が持っている力ではない。人の心が生み出す力、つまりは一種の精神エネルギーなのである。
見た目はキラキラ光る星形(☆)の結晶の集合体だが、普通の人間はそれを見ることはできない。通常見ることができるのは妖精やプリキュア(但し変身前では視認不可)、加えてそれをつけ狙うノワールの配下のみである。なお、あまりに強いキラキラルが発生した場合は一般人でもその輝きを目にすることがある(作中では11話と48話がそれに当たる)
結晶には色がついており、公式サイトではプリキュア6人のイメージカラーである桃、黄色、青、紫、赤、緑の6色に黄緑を含めた7色の存在が確認できる。
キラキラルとは神秘の力などではなく、誰でも生み出すことができるごくありふれたものである。みんな気づかないうちに生み出しており、みんな気づかないうちにそれをもらっていて、明日への活力として消費している。
しかし、このキラキラルをスイーツから直接取り出して集積させることができれば、とてつもないパワーを生み出すことができる。
その秘められたパワーを闇に染めるためキラキラルを強奪しようとするのが悪い妖精たちを始めとするキラキラルをうばう存在である。妖精にキラキラルを奪われてしまったスイーツは灰になってしまう。
そして本作のプリキュア達はキラキラルを自在に操ることができる「伝説のパティシエ」とされており、スイーツに込められた想いを守るために彼らと戦う。プリキュア達の攻撃手段であるクリームエネルギーもキラキラルから生み出されている。
イメージソングの『LaLaLa☆Lumière』の歌詞で「拳より強く、剣より深く刺す、心の光」とうたわれていることからわかるように、肉弾戦封印宣言がされた本作におけるバトル演出の要ともなっている。
またキラキラルは単に戦うエネルギーとしてだけでなくあらゆる物質に変換可能である。
変換作業が可能なのはプリキュアとキラキラルをうばう存在だけだが、本編ではキラパティをイベントのために飾りつけたり遠距離移動用の手段に変えたりと物語を展開する上で重要な役割を果たしている。
元が精神エネルギーのため、プリキュアが扱う力にしては珍しくやろうと思えば実質的な生命の創造までできてしまう(流石にプリキュア側は一切行わないが)
敵側の人物も第1話開始時点とそう変わらない時期から増幅方法を模索し始めたため、キラキラルの全容については物語の進行と共に少しずつ明かされている。
キラキラル空間
戦闘シーンに入ると空の色がピンク色に変わり、キラキラルの輝きが星のように瞬くカラフルポップな空間に様変わりする(地形自体が変更される訳ではない)。
これは扱いとしては変身時に噴出したキラキラルの影響ということであるらしく、演出的には変身バンクの華やかな色彩がバンクが終わった後もそのまま継続しているような扱いであり、違和感がない変化となっている。
さらにこの空間には、その戦場に対峙しているキャラクターの個性に応じたデコレーションが施されるのも特徴。
闇のキラキラルによるデコレーションがなされた場合は、光と闇が混じり合ったことで空の色がピンクから紫に近くなり、闇の力が強いほど紫の色成分がより濃くなると言う演出となっている。
対戦相手 | キラキラル空間に施されるデコレーションの内容 |
---|---|
悪い妖精 | プリキュアのキラキラルがピンクの空をデコレーションする。各プリキュアが象徴するスイーツの形が空に描かれる。悪い妖精はキラキラルを直接操る力は弱いので、彼らの個性ではなくプリキュアの個性が背景デコレーションとなる |
ジュリオ | 闇のキラキラルが混じって空の色が薄紫になる。濃紫の帯が薄明光線のように侵食する |
ビブリー | 闇のキラキラルが混じって空の色が薄紫になる。周囲の地形を落書きか抽象画のようなシュールな輪郭のものに塗り替えてしまう(元々そこにない地形やオブジェが生えてくる訳ではない)。 |
グレイブ | 闇のキラキラルが混じって空の色が薄紫になる。そして濃紫のハイウェイが空を覆い、交通標識や信号機のデコレーションが空に施される。 |
エリシオ | 闇のキラキラルが混じって空の色が薄紫になる。濃紫の鎖が空を覆い、地平線には青白い炎がたて登る。空の鎖には各所に錘がつけられている |
ディアブル | ディアブルの闇のキラキラルがピンクの空を濃紫に塗りつぶす。また、周囲には青白い霧が立ち込める。 |
ノワール | ノワールの闇のキラキラルがピンクの空を真っ赤に塗りつぶし、全体的に黒い染みとオーロラ状の雲がかかる。また空間そのものが若干暗くなる。 |
キラキラルの特性
発生
まず重要な点として、キラキラルは量の大小こそあれ、あらゆるスイーツに必ず内包されているということがある。
「多少なりとも想いを込めてスイーツを作る」という条件さえ成り立てば、キラキラルは誰からも発生するのである。キラキラル自体はとてもありふれたものなのだ。
この「想い」というのはいかなるものであってもキラキラルになりうる。特に深く考えずにスイーツを作ったとしても、今ここでスイーツを作っていることには理由や動機が何かしらあるはずなので、それに関する想いでキラキラルは発生する。自分の仕事のためであっても、お母さんの誕生日のためであっても、想いには変わらないのである。
むしろ、キラキラルが全く含まれないスイーツというのは特殊な条件下でしか発生しない。もしそんな状態になればそのスイーツは灰となってしまう。スイーツとしての存在を保てなくなるのだ。
つまり、どんなに不味くて形がいびつなスイーツであっても、スイーツとして普通に存在出来ている限りは微量であってもキラキラルは内包しているのだ。
もちろん、工場で大量生産されたスイーツであってもそれが「スイーツとして存在出来ている」以上は必ずキラキラルは内包されている。機械で作られようがそれを設計した人や操作する人の想いがないわけではないのだから。
しかし、スイーツに宿るキラキラルの量や内包する輝きの強さは、「想いの強さ」と「スイーツの出来」によって左右される。
まず、作り手から放出されるキラキラルの発生量は、スイーツを作るときに込めた想いの強さに比例する。
しかしここで注意しないといけないのは、発生したキラキラルが全てスイーツに宿るかというとそうではないことにある。「スイーツを上手に作らないとキラキラルは逃げる」ということが明言されており、例えばスポンジの生地を力任せにかき混ぜすぎると、キラキラルは発生はするものの、スイーツに定着せず霧散してしまう。
つまり、想いの強さとスイーツ作りの技術の双方が備わってこそ、より強いキラキラルのこもったスイーツを作り出せるのである。
また第12話では、ジュリオが「いちかの作るスイーツはキラキラルの量が別格」との旨を発言している。この時点でのいちかのスイーツ作りの技術は初心者からは抜け出したとは言え名人というほどではないため、「想いの強さ」の方が圧倒的なのだと思われる。
増幅
キラキラルのこもったスイーツを食べると、そのキラキラルは人間の体ではなく心に吸収される。
それは人間を元気にして、日々の生きる活力として消費されていく。
しかし、心の中に吸収されたキラキラルは消費されるどころか増えるケースもある。
実はキラキラルには「食べた人間の心の変化に応じて増殖する」という性質がある。スイーツを食べて喜びを感じることができれば、そのスイーツに込められたキラキラルは心の中で何倍にも増殖するというのだ。さらには、かつて食べたスイーツの想い出を反芻することで、そのスイーツが持っていたキラキラルが心の中で再び発生することさえある。
この現象についていちかは「スイーツは食べたら消えるけれども、そこに込められた想いは食べた人の想い出になって消えることはない」という言葉で直感的に理解している。
14話では水嶌がイルカゼリーから摂取したキラキラルをバンド演奏による感動で増幅させるシーンがあり、どうやら摂取方法はひとつでも、増幅するのはスイーツが関わらない手段でもOKらしい。
ジュリオは「人間の心がキラキラルを増殖させる」現象はどういう状況下で一番起こりやすいのかを色々実験していたが、23話でたどり着いた答えは非常にシンプルなものだった。
作り手が「食べる人」がどんな人なのかをイメージして作り、それに対応する人がそのスイーツを食べたとき、増幅量が半端なく強まるのである。わかりやすい言葉で言えば「大切な人のためにスイーツを作り、大切な人に食べてもらう」 ただそれだけのことであった。
また、スイーツを実際に食べるより前に、目の前にあるスイーツに込められた想いを正しく感じ取ることができれば、目の前のスイーツそのものに更なるキラキラルが生まれることがある。
この現象は滅多なことでは起こらないが、本作でのプリキュアの覚醒はこの現象を起こすことが条件となっている。
自分もしくは他人が作ったスイーツを食べずにそこの想いを正しく感じ取れば、そのスイーツのキラキラルは無限大に増幅し変身用アニマルスイーツへと結晶化する。
また、23話でもシエルがジュリオの想いを受け取ったことで、灰化していたワッフルに大量のキラキラルを発生させて「スイーツとしての存在」を取り戻させている。
消失
キラキラルは人間が生きるための活力であり、人が生きている限り誰の心にもわずかであっても存在する。
だが、キラキラルを奪う存在は、闇の力を使い他人の心の中に吸収されているキラキラルを無理やり引き出し自分の力にすることができる。
しかし、心の中のキラキラルを無理やり抜き出されるということは生きるための活力を根こそぎ奪われるようなものである。
心の中のキラキラルを奪われたものは、精神活動が極端に停滞する。多くの場合は意識不明の仮死状態になってしまうが、宇佐美いちかのように意識自体はギリギリ保つことができるケースもある。ただし感情が凍りつき、生きる意欲のようなものが完全に失われてしまう。心が壊れてしまうと言い換えてもいいため、見た目としては意識不明になるより痛々しい。
またディアブルの場合は少々特殊で、彼にキラキラルを奪われても意識は失われない。ただし同時に憎悪や倦怠感など負の感情が極限まで引き上げられるため、下手に意識を失うよりやっかいな状況に陥ることもある。
なお、第11話では町のみんなの心から引き出されたキラキラルによってプリキュアの新たな武器キャンディロッドを生み出されているが、この時は町のみんながプリキュアという存在を知りそれを応援したいと思って自らの意思で自分の中にあったキラキラルをプリキュアに譲渡しており、強引に引き出した訳ではない。また、町のみんなは「少しずつ」キラキラルをプリキュアに分け与えたので活力が失われるようなことにはなっていない。
闇化
通常のキラキラルは前述の通り7色だが、これが「闇に染まる」と色が変化し、黒っぽい灰色となる。
ノワールや彼のしもべたちは奪ったキラキラルを闇に染めることが可能であり、さらにそれを漆黒のクリームエネルギーに錬成して操ることができる。つまりプリキュアと同等の力を使うことができるとういうことである。
無理やり闇に染められたキラキラルはプリキュア達が取り戻すことによって元の色を復活させられる。
また、第21話ではジュリオとビブリーの体内から灰色のキラキラルが現れた。同話ではビブリーがそれをイルに注入し強化させているが、この時に「あたしのキラキラルを使いなさい」と言っていることからわかるように、これは他から奪ったものではなく、ノワールのしもべ達それぞれが本来持つキラキラルである。
しもべ達の心の中にある闇のキラキラルは「ノワールによって闇に染められた」のではなく自分の心が自ら生み出した闇である。ノワールは彼らが内包する闇のキラキラルを操る力を与えただけなのである。
これについて暮田公平SDは怒りや憎しみの感情もキラキラルになると説明している。
キラキラルは生きるための活力とされていることを考えると、ノワールのしもべのような連中は闇のキラキラルによって悪の活力が支えられていると言える。
他人を見下し力に酔いしれるノワールのしもべたちは、見方を変えれば活力に溢れているとも言えるだろう。上述したように心からキラキラルが失われると心は虚無となり精神の死を迎える。ノワールのしもべたちは心が壊れそうなまでに追い詰められた時にノワールからの「闇の救済」を受けてしもべになっていることから考えると、心の虚無を悪意や狂気で埋めることで精神の死に抗っていると見ることもできるだろう。
代償としてキラキラルが闇に染まった者がスイーツを作ると原則としてキラキラルが抜かれた時同様に灰化したスイーツが出来上がる。ただし再び「大切な人を思う気持ち」を取り戻せばキラキラルが宿る。
また22話ではノワールのしもべになる直前のピカリオがワッフルを、46話では人間時代のノワールがカップケーキを作ったところ凄まじい心の闇を抱えていたが故に灰化してしまっている。
灰化現象についてはキラキラル同様(そうそうないだろうが)プリアラの世界においては決しておとぎ話の話ではないようだ。
心の中の闇のキラキラルを補充する手段は不明。スイーツを食べたとしても補充されるのは光のキラキラルなので、彼らの力にはならない。
ただ、光のキラキラルがスイーツの想い出を反芻することで心の中で発生することがあるように、心の闇を反芻するほどに闇のキラキラルも補充されるということはあるだろう。
もっとも、「他人の想い」を受け取ることができず「過去の想い出」でしかキラキラルを補充できないならば、自分の中にある過去から一歩も進めないことでもあるのだろうが。
上述したようにしもべ達の心の中にある闇のキラキラルは自ら生み出したものである。つまり最初から灰色である。そのため、プリキュアの浄化技を受けても闇のキラキラルが減衰するだけで色が取り戻されるわけではない。
しもべたちの心から闇が弱まっても光で満たされるわけではないのだ。自分の拠り所がなくなり心が空っぽになったような気持ちになるだけ。そんなものに耐えられる人間などいるわけがない。しもべ達は空っぽの心を埋めるためにネガティブな感情に身を浸し再び心を闇に染めていく。そしてまたノワールの元への戻っていくのだ。
戦いで幹部を浄化しても彼らが救われるわけではないというのは、今までのプリキュアシリーズのアンチテーゼとも言えるだろう。
ノワールのしもべ達が救われるには、闇の力を失い空っぽになってなお、自らの意思で闇を否定する必要がある。
だからプリキュアたちは敵である彼らのためにもスイーツを作るのだ。プリキュアとはスイーツに込められたキラキラルを通じて想いを伝える存在なのだから。
虚化
キラキラルから光も闇も失われてガラスのように透明となった状態。
普通はこのような状態になることはあり得ないが、47話でエリシオが作り出した「空っぽの世界」で全ての人間のキラキラルは虚化して透明になってしまった。
キラキラル自体は透明になっても人の精神活動を支える力は発揮しているので、この状態になった人間たちは普通に社会性を保って生活できる。
ただ、心の情動が一切揺らがなくなった状態であり、愛も憎しみもなくなる。これは希望も絶望も何も感じないまま安らかに生きることができることであり、ある意味では完成された精神状態である。
少なくとも人間たちのキラキラルを虚化したエリシオはそう信じている。
もっとも、作中では「好き」と「嫌い」の気持ちがなくなることは闇に堕ちる以上の悲劇として描かれている。
ただ、キラキラルが消失はしていないが色だけ失うという状態は非常に不自然な状態であり、この世界に住む者たちはひょんなきっかけから心のキラキラルのごく一部に色を取り戻すこともある。
劇中では八百屋の店主とケーキ屋と店主が互いに対して「大嫌い」と言う感情を持ってしまい言い争いを繰り広げていた(この時キラキラルが闇化している)。ただし、エリシオが全ての人類の心の監視をしており、キラキラルの色を取り戻したものが現れたときはグレイブ率いるネンドモンスターの治安警察を派遣し、キラキラルから色が染まった部分だけ回収することで秩序を保っていたようだ。