概要
本編第21話でいちご山に帰還した妖精達よりその名前が判明した。キラ星シエル/キュアパルフェこと妖精・キラリンの双子の弟。彼女の誕生日が7月30日であるため、恐らく彼の誕生日も同日と思われる。
妖精達の中でも特にスイーツ作りが上手で、姉と共にフランスでパティシエとしての修業をしていたが、その後行方不明となっていた。
そのシルエットはキラリンと似た姿が映っていたが…?
正体・過去
その正体は、宇佐美いちか達プリキュアと敵対していた、ジュリオ本来の姿。
心の闇をノワールに見出され、活動していた。「ジュリオ」とは、ノワールに与えられた名である。
1人称はジュリオ同様「俺」。他の妖精同様語尾に「ピカ」が付くが、口調はジュリオ時同様。
かつてはとても仲が良い姉弟で、2人で共に伝説のパティシエ・プリキュアを目指していちご山で修行していた。
(本作の世界観ではプリキュアは「伝説のパティシエ」とししか定義されていないので、性別の制限がある認識自体を誰も持っておらず男がプリキュアを目指してもおかしいことはない。本当になれるかどうかは別の話だが…)
そして、さらなる高みを目指して2人はパリに渡ることとなる。ある屋根裏部屋に隠れ住んだ姉弟は、いつも一緒に行動し、いろんな名店の厨房の様子をこっそり盗み見ることでお菓子作りの秘訣を蓄えていき、それを再現するという形で技術を磨いていっていた。
そんなある日、2人は稀代の天才パティシエ「ジャン=ピエール・ジルベルスタイン」との出会いにより、彼に師事するチャンスを得ることとなる。
しかし、本格的な修行を続ける中でピカリオはキラリンと成長速度に差が出ていることに気付く。それには理由があった。今まで彼女は弟と一緒に成長したいと強く願っていたため、意識的若しくは無意識的にピカリオに合わせてスイーツ作りをしていた。しかし、キラリンのジャン=ピエールに対する憧れは弟への優しさや配慮を超えたものであった。彼に追い付くために毎日必死となっており、ピカリオのことは目に入っていない。そして彼女自身は日々自分が成長することに耽溺して自分が今までと異なる振る舞いをしていることに気付いてもいない。
姉に置いていかれる不安に駆られた彼は彼女から距離を取る様になり、キラリンが師匠の元で本格的なスイーツ修行を続けている間、独学での修行を続ける孤独な日々を送る様になってしまった。
それは彼の中に寂しさを生むと同時に常に自分よりも先にリードする姉に対する強いコンプレックスを生み出した。
そんなピカリオにとって思い出のスイーツはワッフル。これは2人がまだいちご山にいた頃、宝物の泡だて器を壊してしまい、泣いていたキラリンのため作ったスイーツ。せめてこれだけはもっと優れたものにしたいと、たった1人でも必死となって練習していた。
そしてある日、1人が隠れ住んでいた屋根裏部屋に1人の人間の少女がやって来る。驚くピカリオであったがその少女は自分はキラリンと名乗る。
そう、姉が人間への変身能力に覚醒したのである。妖精が人間の姿となるのはスイーツの腕前を極めた証。彼女はその喜びの気持ちを弟に興奮しながら喋るが、彼にとってはそれは自慢にしか聞こえず、余計に姉へのコンプレックスを刺激されるのみであった。
さらに、この際ピカリオが必死になって練習していた作りかけのワッフルをキラリンが頬張ったが、彼女は弟の思いを汲み取ってやるどころか「前にいちご山で作ってくれたワッフルの方が美味しかった」といってしまう。
人間の姿を見せ付けられてショックを受けていた時にこの言葉を受けたピカリオは、姉から「パリでの修行には何の意味もなかった」といわれたようなもの。
勿論、キラリンには悪気はなかった。ただ当時のキラリンは人生が充実し過ぎてスイーツ修行以外のことに目を向ける余裕がなく、身近な弟の苦しみに気づくことができなかったのだ。だがこの無邪気なエゴイズムこそが、キラリンが無自覚に増幅させていた心の闇でもある。
そして、ピカリオは自分が不安に思っていたことがまさに現実となったと実感する。自分の半身としていつも一緒に同じ道を歩んでいたはずの双子の姉が今はその姿から実力まで何もかも自分とは異なる存在となってしまった。
これから自分がもっと努力すればいつかは姉と同じ場所に追い付くことが出来るのか?
…いや、恐らくそんな日が来ることはないであろう。姉にはスイーツ作りの天性の才能があり、それは自分がどれだけ努力しても得られない。薄々気づいていながらも目を背け続けていた無慈悲な現実。
輝く姉の姿とみじめな自分の姿を否応なく比較させられてしまったピカリオは最早その現実を受入れるしかなくなっていた。
努力も修行も才能の壁を破ることはできないのなら、これから自分は何をすれば良いのだろうか。こうしてついにピカリオの心は折れてしまった。
最早生き方自体が分からなくなり、パリの路地裏で一人泣いていた時、ノワールと名乗る人物が現れる。ノワールはピカリオの中にある絶望をキラキラルとして取り出した。それはピカリオの心を表すように闇色のキラキラルであった。
ノワールはその闇のキラキラルの力を使ってピカリオの姿を人間の姿に変え、さらにキラキラルを操ることが出来る1本のロッドを生み出す。
闇の力を授けられたピカリオは自分が姉と同等の存在となれたことを理解し、その力を自ら受入れ、ノワールの部下となったのである。
この事から分かる通り、ピカリオの原動力は姉・シエルへのコンプレックスである。
そして彼の行動の全て、彼女を超えるためという動機に繋がっている。何をすれば姉を超えることができるのかについて、ピカリオは姉の憧れの対象・プリキュアを超える力を得るという答えに辿り着いた。
もっとも、ただ大きな力を得るだけでは意味がない。あくまでプリキュアと同じキラキラルの力でそれ以上の存在とならなくては姉を超えたとはいえない。
そして、スイーツや人間の心からキラキラルを直接抜き出し操る力を得たピカリオはスイーツ作りなどしなくてもキラキラルを操ることが出来る様になった。
スイーツ作りの修行をいくら続けても姉に追いつけないというならば、その代わりに闇の力を極める努力をすれば良い。そう、彼はようやく自分の努力が報われる居場所を手に入れた。
そしてジュリオはキラキラルを闇に染める「実験」を始めることになるのである。
しかし最終的に、ピカリオは自分の実験のモルモットとして狙い続けていたいちか/キュアホイップとの戦い・触れ合いにより、姉へのコンプレックスを克服することとなる。
そして、第22話でノワールの攻撃から姉を庇ったことで瀕死のダメージを受けてしまい、ルミエルの守りの中で傷が癒えるまで眠りに就くことになった。この辺りの経緯についてはジュリオの項目で。
完全復活
第39話でグレイブがいちご坂を闇に染め、街の人達がネンドモンスターに変えられてしまい、プリキュア達に襲い掛かって来る。当然プリキュア達が街の人々を傷付ける訳には行かず、未曾有の大ピンチに陥る。
その時、キラキラルの輝きを操る1人の少年がプリキュア達の前に助っ人として現れる。それはかつてプリキュア達と激闘を繰広げたあのジュリオと同じ顔をしており……
そう、彼こそが遂に目覚めたピカリオである。しかも、ルミエルのキラキラルに包まれ、守られていた影響でルミエルのプリキュアとしての力が付与されたという。プリキュア同様に専用の変身コスチュームも完備である。
そして次回の第40話では街のを元に戻すためにプリキュア達と共闘するという夢のタッグが描かれた(詳細は後述の各話の動き参照)。「借り物の力」故にこの回で戦う力は使い切ってしまったが、この展開は多くのファンの胸を熱くときめかせるに相応しいものであった。
グレイブとの決戦後、ピカリオは姉・シエルと一緒に暮らしている。つまり、かつての上司・ビブリーとも同居していることとなる。
戦闘形態に変身する力は使い切ったが、人間への変身能力自体はこれ以降も残っており、街の住人の前では従来通り黒樹リオを名乗っている。
最初は自分がこれからどうするかハッキリとは決めておらず、取り敢えず姉の元に厄介となっている感じであった。いちご坂の人達に散々酷いことをして来た自分がこの街で暮らすことには引け目を感じていたのは確かな様子。
だが、第41話でエリシオがリオ・シエルを再度引き離すべく罠をかけたことがキッカケで、リオは自分の本当の気持ちに気づかされる。
それは「もう夢を諦めたくはない」ということ。姉はいちご坂でいちか達と一緒ならパティシエの高みを目指せる。ならば、自分も姉と同じ景色が見てみたい。姉との才能の差に打ちのめされ、また嫉妬にまみれることとなってもパティシエの夢を諦めることは最早出来ない。
そしてリオは再度姉と共にスイーツ作りを始めるようになった。時間こそ掛かったが、ようやく姉弟は絆を取り戻せたのである。
もっとも、口の悪さや皮肉屋な性格についてはジュリオ時代を引き摺っており、闇との戦いが終わるまで続いた。自分の弱さを見せ付けられた以上、もう無邪気であったあの頃の様には振る舞えないというのはどうしても付き纏うのであろう。これはある意味ではピカリオが大人に成長したといえるのであろう。姉がプリキュアとしてエリシオに勝利したことで吹っ切れたのか、彼女以外の者に嫌味な態度を取ることは少なくなった。
なお、EDのャストクレジットでは第39話以降、「ピカリオ」ではなく、人間名である「リオ」とクレジットされている。そのため、Pixivでも同話以降の人間形態を表すタグとして「リオ(プリキュア)」が使われている。
人間形態
ピカリオはプリキュア以外である妖精としては珍しく、複数の変身形態を有する。
- ノワールの部下・ジュリオ(第10 - 23話)
ピカリオ(当時はジュリオ)がノワールの部下として敵側についていた時は彼女の力により、人間形態を与えられていた。
詳細は「ジュリオ(プリキュア)」「黒樹リオ」を参照。
姿がノワールの部下としての姿であり、黒樹リオの姿は自分の正体がバレないための変装である。
- 戦闘形態(第39 - 40話)
眠りに付いていたピカリオが第39話で目覚めた際、白いバトルコスチュームを着込んだ人間の姿となっていた。
ルミエルのキラキラルに包まれ、守られていた影響でルミエルのプリキュアとしての力が付与されたことでこの姿になったということ。
ジュリオの衣装を基にしながらも色遣いやアクセサリーに大胆なアレンジが加わり、右手に握るロッドも黒から白へと変化。そしてこのロッドにはワッフルの意匠が入っている。
皆川氏の「キュアワッフルになりたい」という要望を受ける形でデザインされ、実際劇中でもルミエルの力を借りている設定上プリキュアに近い存在と位置づけされている。
背中の羽も敢えてキュアパルフェではなく、ルミエルと同じ形。
- 私服(第41話以降)
後述の顛末を受け、戦闘能力を失って以降の姿。
長髪をピカリオの耳のようなリボンでまとめ、水色のシャツに明るい青の上着と全体的にかっちりした服装。
第39話での復活以降でピカリオが人間の姿の時はいちか達からは「リオ君」と呼ばれるが、これは黒樹リオの姿の時にそう呼ばれていたからである。
何故か、作中の一般人から見ると「黒樹リオ」と同一人物と一目で分かるらしい(「雰囲気変わった?」とはいわれるが)。髪の色が変わり過ぎとかいうのはアニメではいわないお約束(そもそも髪が青色というのがアニメ上の演出で、作中世界では現実的な色という扱いなのであろうから)。
各話での動き
TV本編
■第23話までの顛末は「ジュリオ」を参照。
■第24話
- いちご山の祭壇に横たわるピカリオを囲むプリキュアを前に、長老が「ピカリオは死んだわけではない」と告げる。実際のところ本来は消えるくらいのダメージを受けていたようなのだが、彼の存在は「何らかの力」でかろうじて維持され、祭壇で傷を癒すために眠り続けているというのだ。そしてピカリオを守っている力の正体は「いにしえのプリキュア」がもたらした加護ではないかということ。この祭壇からは、かの古の存在の意思の様なものが感じられるという。何にせよ、いつ目覚めるかは分からないがピカリオが無事なことを知ったキュアパルフェ=シエルは彼が起きたらもっと凄いパティシエになっていることを誓ったのであった。
- 取り合えず時期が来れば彼は目覚めるであろうことは確約されたので、あの先輩同様長い夏休みに入ったということだろう。
- 余談だが「寝ている場合じゃない」とピカリオが普通に起きてきたファンアートが結構散見され、ファンアートでもニート扱いでだらけがちだった先輩との扱われ方の違いがあったり。
- クラスメイト・神楽坂りさがリオがずっと休んでいることを心配する中、事情を説明できずいちかがあたふたしていると、「イケメン転校生は休養中よ」と制服を来たシエルが教室の扉を開けて登場。天才パティシエである彼女が突然転校してきてクラス内は驚愕するが、そこに気を取られたのかリオの状況を知っていることにツッコミは飛んで来なかった。
- この回よりOP映像が更新されたが、仮面付ジュリオはそのまんま残されている。
■第33話
- ノワールの古き眷属である魔獣ディアブルが復活。周辺のキラキラルを無条件で闇に変えてそばにいる人々の心を荒廃させるという凶悪な能力を持つ魔獣にプリキュア達も危機感を隠せない。その恐ろしさを知るビブリーから「キラキラルが篭ったスイーツがあるところにディアブルは引き寄せられ、そこに不幸をもたらす」と警告される。
- スイーツがみんなを苦しめる引き金になるのではという懸念にプリキュア達の心は揺らぐ。特にパティシエとして夢を追い続けたシエルは深く悩むことに。そんなときどこからともなく「らしくないピカ」とピカリオの声が聞こえてくる。落ち込んでいたシエルの心が慰めに聞かせた幻聴なのか?いいや、これは……
- いちご山の祭壇で眠るピカリオの元にかけ付けたシエル。ピカリオは前と変わらず幽霊のような半実体で微動だにしなかったが、「スイーツの力を信じるピカ」と後押しするピカリオの声がシエルの心に直接響く。ピカリオの意思と魂は確かにここにいきづいて、シエルを見守っていたのだ。弟の励ましを受けてシエルは仲間たちとスイーツで皆を笑顔にしたいという気持ちを再び胸に誓う事ができた。
- エンディングのクレジットに「ピカリオ」として初登場。並び順は長老の下でその後にシエルの助手となった元同僚ビブリーが続いている。
■第38話
- 冒頭でペコリンとキラリンがいちご山の祭壇を訪れ、早く目を覚まして欲しいとピカリオをお見舞いするシーンが描かれた。相変わらず微動だにせず反応もなかった。
- 今回のお話は、祭壇に残されていたいにしえのプリキュア・ルミエルのキラキラルがペコリンの思いに反応し、わずかな間ではあるがペコリンを人間の姿にしてあげたというもの。ピカリオ自体はお話とは一切関係なかったが、最後のシーンで祭壇で眠っていたピカリオの左腕がかすかに動く様子が映る。
- 次回予告のラストで、逆光で分かりづらいが水色の髪と柊の髪飾りが特徴的な何者かの後ろ姿が登場。よく見ると背中にルミエルと同じ羽を背負っている。「ルミエルのキラキラル」がペコリンを人間化できるというなら、もしかするとピカリオも…?
■第39話
- 妖精達が大集結していちご山で会議を開催。その時悪い妖精であった頃の仲間と共に戻ってきたガミーは未だ横たわるピカリオにペコリンドーナツを差し入れて見舞う。それをペコリンと共に見たキラリンは弟が犯した過ち、そしてそれをさせる原因となった自分の過ちをガミーに謝るが、ガミーは「お前が謝ることじゃない、元々俺にあった心の闇のせいさ……」とシエルに答え、そして「お前もスイーツ食えるように早く起きて来いよ」とピカリオに言葉を掛ける。
- そんな中、グレイブが街の人々を操り、さらにディアブルの力を得て強大化。プリキュア達のアニマルゴーランドも破られ、ビブリーやペコリン、妖精達は人々の大群の襲撃で窮地に陥る。グレイブの猛攻で絶体絶命のプリキュア達。もはやこれまで、と想ったその時祭壇が光り出し、そこには光に包まれた人の影が。
- そこに現れたのはかつてのジュリオとしての姿ながら服もロッドも白くなり、妖精の羽根が生えた人の姿をした、完全に浄化されて改心したピカリオであった。
「全く甘いんだよ。街の人達を人質に取られたからって戦えないのかい?まぁ、君達なら仕方ないか。どうせ1度は闇に染まった身。いいよ、ここは俺が引き受けてあげる」
- 復活した彼の姿を見たホイップ。「リオ君……」と驚きの声を出し、そして次回プリキュア達とリオは共にグレイブと戦うことになる。
- ちなみに、クレジット上では「リオ」表記。ペコリン・長老に次ぐ位置に記載されている。また、ABC公式サイト次回予告画像には感激の余り抱き付く姉とそれを受けて困惑する弟の図も。
- ジュリオの時と比べて余りにも白くなっているため、ファンの間からは「驚きの白さ」「漂白」といわれてしまっている。
- さらに、「男の娘プリキュア」とか「キュアジュリオ」などと言われたりも(ただ当たらずとも遠からずで、『アニメージュ』増刊号でプリキュアに近い存在と明言された他、この衣装デザインのラフ画では余白に「キュアワッフル」のメモ書きがあったりする)。
■第40話
- 前回からの続き。唖然とする面々を前に不敵な笑みを見せてグレイブに攻撃しようとする……が、突然パルフェが感激の余り、「ピカリオピカリオピカリオ~!」と叫びながら抱き付きまくり、緊張した戦場の空気が一気に弛緩。子泣き爺の如くしがみつく姉のせいでリオは動けなくなるが、突き飛ばすわけにもいかず困った表情を浮かべるばかり。
- だが、対峙するグレイブは「戦闘中に戯れてんじゃねぇ!」と激怒し(当たり前だろ)、イチャついていた2人に衝撃波を容赦なく飛ばす。リオは咄嗟にロッドからクリームエネルギーのバリアを張って攻撃を防ぎ、グレイブを驚愕させた。リオはこの力が「ルミエルから預かった借り物の力」とするが、「古のプリキュアの力である以上は見くびるな!!」と堂々と宣言。だが、グレイブは卑怯にも自分は後方に下がり、街の人達を盾とする様にしてプリキュア達にけしかける。ホイップ達が街の人達を傷付けることを望んでいない以上、リオも攻撃する訳にはいかない。
- ともかくテレポートで一時撤退。いちご山でビブリー・リオが時間稼ぎする間にプリキュアは街中でスイーツを作るように提案する。100年前にルミエルがやっていた様に、スイーツのキラキラルで街の人達を闇の呪縛から解放させようという魂胆である。しかし、敵が迫って来る中でスイーツ作りを悠長にやってる暇等ある訳がない。そこで、ジュリオ・ビブリーが囮になって敵を引き付けておくことに。
- プリキュアを追って街の人達と共にいちご山に向けて進軍を続けるグレイブ。前にリオが立ち塞がる…いや、高台の上から見下ろす形で姿を堂々と見せる。やはり彼の登場シーンといえばこれである。ビブリーの煽りも効いて、グレイブはまずはこいつらから片付けようとリオとビブリーに軍勢をけしかける。
- ちなみに、ビブリー・リオはこのシーンでのみ街の住人相手にちゃんと攻撃していた。プリキュア達がここにいないから気にやむ者はいないということであろう。衝撃波で吹き飛ばす程度で手加減は勿論している様子であるが、全く手出しが出来なかったプリキュア達とは大分異なる所。
- だが、グレイブも馬鹿ではない。2人が戦っているのにプリキュアが中々姿を見せないことに違和感を感じ、さらに街の方よりスイーツを焼いた時の煙が上がったことでの計画が感付かれてしまう。そすて街の住人達をプリキュア達を攻撃するために向かわせた。
- 結果、プリキュア達は襲い来る街の住人達によってスイーツ作りを中断せざるを得ず、さらに既に出来上がっていたいくつかのスイーツが街に漂う瘴気に侵食され、キラキラルが抜き取られて闇化してしまうという最悪な事態に。リオの計画は完全に破綻してしまう。
- ディアブルはスイーツのキラキラルを無条件に闇に反転して抜き取る力がある。今ののグレイブがディアブルの力を手に入れているならプリキュア達が少々スイーツを作った所で闇の糧となるのみ。第33話で懸念された事態が最悪のタイミングで遂に現実となったのである。皮肉にも同話でそれを否定したピカリオの言葉をあざ笑う結果となった。
- 再度いちご山に敗走して来たプリキュア達と合流したリオは街の住人達が山に追い付いて来るまでにグレイブを倒すしかないと、プリキュア達と並んでグレイブと戦うが、彼の圧倒的な力にロッドが耐えられなくなり、砕け散ってしまう。グレイブは「(ルミエルのキラキラルを)プリキュアでない者がいつまでも扱えるものか!」とがなりたてる。
- 同じ攻撃を受けても他のプリキュアのロッドは砕けなかったので、このグレイブの言葉には真実が含まれているのだろう。やはりリオは正規のプリキュアという扱いでないのは確かな模様。
- 前半パート中に肝心なところで作戦が根底から崩れたり、たった1話で戦闘能力を喪失したり、相変わらずどこか残念なイケメンといえるが、彼がやったことは決して無駄ではなかった。
- この砕け散ったロッドの欠片が街に散らばっていき、それは1つ1つがルミエルのキラキラルを宿したままであった。そして、仲間のピンチを悟った猫と彼らの助力を受けた妖精達がリオの作戦を引継いでスイーツ作りに挑戦。街中に散らばったロッドのカケラが闇の侵食を一時的に抑えたお陰で妖精達のスイーツ作りが見事成功。大量のキラキラルを生成することで逆転に繋がることとなる。
- ちなみに、形勢逆転した際「ノワールはこの町を闇に染めることは出来なかった。お前の闇もノワールからの借り物だ!」ときっちりグレイブに言い返している。
- ルミエルから借り受けた力は今回限りの様であるが、人間化の力までは失われていない模様で、次回予告で私服姿を披露。
- この回よりOP映像が映画宣伝バージョンから通常映像に1ヶ月振りに戻ったが、仮面付ジュリオが修正されたりはせず残されたままであった。視聴者からは「OPで晒される黒歴史」といわれてしまう始末。
■第41話
- 朝っぱらからシエルにタックルされ、強制起床。
- ダイニングに来ればビブリーが既に着席しており、互いに軽口を叩き合うが「これから一緒に暮らしてくんだから仲良くね」と姉からやんわり止められる。
- シエルと散歩に出るといちか達に加え、り・とじゅんこと再会する。ジュリオ時代にりさのキラキラルを奪った件を思い出し反、射的に「ごめん」と呟いてしまうが、りさは何のことやら分からなかった。
- 八百屋のおっちゃんが乱入し、シエルの彼氏疑惑が持ち上がったため、双子の姉弟と説明する。名字が異なる理由については真相を明かす訳にも行かず、ひまりが「複雑な事情がありまして……」と説明。
- 冷静にこの状況を分析すると、とても好意的な姉にツンデレ美人の同居人、さらには個性豊かな大勢の女友達とベタなギャルゲーの主人公そのまんまである。
- 店ではシエルに頼まれ、仕込みのお手伝い。最初こそ過去のトラウマからスイーツ作り自体を躊躇するが、実際生地を混ぜてみると大量のキラキラルが生まれた。もうノワールの呪縛を心配する必要はないだろう。
- かくしていちご坂に難なく溶け込めるはず……かと思ったその時、他の店の店主達が尋ねてくる。実は昨晩突然町中のスイーツからキラキラルを抜き取られる事件が発生していた。シエルの店は無事なこと、目撃証言から犯人がリオソックリであったことからあっという間に疑われてしまう。挙句の果てには今までに街で起こったスイーツ絡みの怪物騒ぎの黒幕もリオであったんじゃないかと疑われる始末。シエルは街の住人を説得しようとするが共犯扱いされる始末。リオはシエルは関係ないと思わず叫んでしまうが、それが逆にリオ自身は事件に関係あると疑いを強くしてしまった。
- 実際、リオには前科がある。過去にいちご坂で起こった騒動の一部は自分が黒幕だったから。だから街の住人からの追求を完全に否定することもできない。消えない罪悪感に耐えきれずいちご山に逃亡。「お姉ちゃんは絶対味方だからね」と励ますシエルと同調するいちかたちに暗い面持ちで答える。
「俺はキラキラルを奪ったし、ノワールのしもべだった。全部本当のこと」
「今更いちご坂で楽しく暮らすなんて、周りが許してくれない」
- 終いには「シエルのそばにいると才能の差を見せつけられ、また闇に染まってしまう」等と言い出し走り去ってしまう。しかし、これは自分の悪印象が姉にまで及ぶのをよくないと考えたリオが彼女が自分と距離をとってくれるように敢えて嫌われる様な態度を取った彼なりの優しさだが、シエルは真に受けてしまい、大ショック。寧ろ彼女の方が闇に落ちかねない状況に。エリシオの策略通りとなってしまった辺り、相変わらず不器用な姉弟である(もっとも、いちかだけはこの後に判明するリオの本心に薄々気付いていたため、少なくともシエルだけはフォロー出来て最悪の状況は免れたが)その後、尾行していたペコリンが祭壇に残されたワッフルを見つけ…
- 自分を助けてくれたルミエルにだけは礼を尽くさざるを得ないと渾身のワッフルを作ったリオはそれを人生最後のスイーツ作りにしようとしていた。これからはせめて姉やいちかが自分の罪に巻き込まれないように1人で生きていくことが自分に出来る唯一の贖罪。いちご坂から出て行くために街の出入口となる橋を渡ろうとするリオ。そこにシエルが走り寄ってくる。咄嗟に逃げようとするが後ろから抱きしめられ「私から逃げてスイーツから逃げて、ピカリオの中に何が残るの!?」と聞かれ、さらに、先程自分が供えたワッフルの包みを着きつけられる。それはおいしく、彼のスイーツに対する想いが詰まったものであった。「本当はスイーツが大好きだって、皆に食べてもらいたくって…ピカリオは…」
- 勝手に自分の思いを代弁した姉にリオはたまらなくなり、半ば逆ギレ気味に叫ぶ。
「ああ、そうだよ!作りたいよ!ずっと小さい頃から夢見ていたんだ!」
- その言葉と同時にリオの心の中の堰が切れたように、彼は自分の中にあるをぶちまけた、幼いころからずっとキラリンと一緒にすごいパティシエになることを夢見ていたこと。夢見た先で才能の壁にぶち当たり一時は姉に嫉妬して闇に染まったこと。でも、いちかとの出会いでリオは気付かされてしまう。姉をいくら恨んでもスイーツ作りへの憧れだけは自分の中で消せなかったことに。そして闇から解放された今、ようやくスイーツを作れる様になった。それが嬉しくない訳がない。
- でも、この街に災厄を撒き散らして来た罪は消せない。だが、彼はそのことを街の皆に謝罪することも出来ない。自分の正体をバラすことは姉の正体をバラすことに繋がるため。つまり、リオは許しを得るための謝罪が出来ない立場なのである。いちご坂を離れ、スイーツを捨てて1人で生きていくということは自分が犯した罪の意識に耐えられずに逃げようとしていることも否定はできないだろう。
- ようやくそんな本心と葛藤を語ってくれた弟にシエルは「いちご坂で一緒にお店やろう」と持ち掛ける。1人では抱え切れない罪でも2人なら背負える。弟を闇に追いやったのは姉の責任でもある。これはシエルがずっと抱えていた罪の意識。だからこそ2人で罪を背負える。そして互いの本心を見失わなければ、どんな逆境にも立ち向かえるから。
- 真犯人の親玉たるエリシオを追い払った後日。ディアブルの能力で洗脳されていたとはいえ酷いことを言ったとお詫びする大人たちにシエルは穏やかな対応。そこにリオも手作りのワッフルを持ってくる。それはケーキ屋の店主曰くとても繊細で優しい味だった。
◾︎第42話
- 出番なし。それだけなら珍しくないが、キラパティでプリキュアメンバーによるパジャマパーティーが開かれたため、同居人の美少女と2人きりでお留守番という美味しいイベントが画面外で強制発動し、視聴者の妄想力を煽った。
※コラそこ、ハブられたとかいわない。
◾︎第44話
- 行方不明となった剣城みくを探すため、シエルと共に登場。みくが公衆電話の前でいなくなったという話から、ノワールの世界に強制転送されたのではないかと推察。ノワールの世界へ行く方法など知らないプリキュアたちは困ってしまう。そんな中、かつての古巣への道筋を知るリオは「方法が1つだけある」という。
- その後、プリキュア達は見事ノワールの世界への侵入に成功し、ショコラと合流。みくを無事助け出すことに成功する。
- なお、ノワールの世界に入るための道をどうやって開いたのかは具体的には描写はされなかった。
■第45話
- クリスマスパーティーで「クリーム泡立てるの上手」との理由から姉と一緒にキッチン担当。この時あきらのキラパティ服のデザイン違いであるギャルソン衣装を着用している。
- 何で俺がこんなことをとブツクサ文句をいうが、「手伝ってくれて助かるわ」とシエルに言われると顔を真っ赤にして照れを隠せなかった。
- もっとも、妖精達からあっという間におかわりを要求された際は流石に半ギレとなりながらツッコミを入れる。ジュリオ時代とはまた異なった方向での顔芸を見せた。
■第46話
- いちかの誕生日パーティーに参加。その主賓本人が間違って客として来てしまった子供達を簡単に巻き込んでしまったりする懐の深さを発揮し、若干驚きつつも今更なので認める。
- しかし、そんな楽しい時間も長くは続かなかった。完全復活したノワールがキラパティを襲撃したのである。最初は外見から黒いエリシオと勘違いする面々に感じ取った闇の雰囲気より何者かを見抜いた。
- ビブリー共々「裏切り者」としてノワールから攻撃され、なす術なくやられてしまう。さらに、キュアペコリン登場が確定したことにより、一部視聴者から寄せられた「プリキュアと再度共闘」の望みは儚く散るのであった……
■第47話
- エリシオが作り替えた空っぽの世界において、いちご山に出来た焼却場に向かう一団の中に一瞬ゴミ袋を背負って飛ぶ、感情を喪失したピカリオの姿が見られる。
■第48話
- 空っぽの世界の中、「プリキュア・ファンタスティックアニマーレ」のキラキラルで意識を取り戻した。プリキュア達が諦めることなく戦っていることに気付き、笑顔を見せる。
- 追い詰められたエリシオが地球を丸ごと取り込んでしまい、人々もキラキラルを残して姿が見えなくなる。残された僅かな意識を使って「簡単に消えるなんてカッコ悪い」と自分たちを評しつつプリキュアを応援。
- 全てが終わった後、ビブリーと一緒にキラパティ前で待機していた。闘う力がなくても今のリオは立派なプリキュアの仲間である。
■第49話
- あれから1年が経ち、今日はキラパティの皆が集まる最後の日。手伝いのため、姉やビブリーと共にキラパティにやってくる。
- そもそもなぜ集まれなくなったのか。それは皆が各々の夢を追い掛け始めたから。これをわざと厭味ったらしくいってのけるビブリーに思わずつっかかってしまう。
- さらに数年後、大人となったリオは相変わらず姉と共にパティスリーを切り盛りしていた。パティシエとして成長した姉の姿をソレーヌと共に優しく見守る。
『HUGっと!プリキュア』第37話
- 皆がプリキュアに力を貸すシーンで一瞬登場(台詞なし)。今回の『プリアラ』勢と同じ時代のピカリオなら、多分大人。
- しかしここの彼、何とあの白いコスチュームである。あの姿はルミエルの力を借りていた間の一時的なものであったはず…彼女は『プリアラ』最終回で転生していたため、今更力を借りられるのかは不明。もしかしたらピカリオが自力でプリキュアと似た姿となった…なのかも知れない??
映画
- シエルの修行時代の回想シーンにて登場する。渡仏したピカリオとキラリンがある日、カラスの大群に追われ、ジャン=ピエール・ジルベルスタインの工房に逃げ込んだことがキッカケで彼の元でスイーツ作りの修行に励むことになる。
- しかしTV本編でも語られている通り、最終的にピカリオはジャン=ピエールと距離を置くようになり、逆にキラリンはジャン=ピエールとより強く結び付くようになる。このことがピカリオが闇堕ちしてしまうキッカケになったようだ。
- TV本編でのピカリオは和解してからも皮肉屋な性格や口の悪さは全くかわってないが、この映画の回想シーンでは闇に落ちる前の無邪気で純粋であった頃のピカリオの姿が描かれており、今のピカリオにとってはある意味では黒歴史かもしれない。
- 終盤、ミラクルライトを振るシーンで一瞬登場。こちらも台詞なし。なお、登場はしていないが、その他の元キラキラルを奪う存在の面々(エリシオ・グレイブ・ガミー等の悪い妖精達)もミラクルライトを振りながら歴代プリキュア達を応援したかもしれない。
余談
最初の登場
作中でピカリオの存在が初めて示唆されたのは第21話であるが、実はそれよりもはるか前に公式の媒体で彼は登場している。
それは、『プリアラ』放送開始と同時に朝日放送からリリースされた公式応援アプリの一コーナーのダイアログボックス。そのフレームに何の説明もなくピカリオが描かれている。
また、この「水色の髪の妖精」とは別にOP映像に出て来る「ピンクの髪の妖精」というのも謎の存在として序盤放映の頃はファンの間では語り草となっていた。
ただ、この「水色の髪の妖精」と「ピンクの髪の妖精」は対となるキャラデザであることから何らかの血縁があるとの考察が一部視聴者からはなされていた。また、第10話でのジュリオ登場後、キャラのイメージカラーや髪飾りから、ジュリオの正体はこの「水色の髪の妖精」ではないかとの声が上がっていた。この予想は第21 - 22話で的中することとなる。
初期構想
いくつかの関連書籍での暮田SDの発言によると元々の構想ではピカリオを復活させるつもりはなく、キュアパルフェ覚醒の代償としてそのまま消滅させる予定であったらしい。
『キラキラ☆プリキュアアラモード オフィシャルコンプリートブック』では「人の心をいじったりして本当に悪いことをしたから、死なないと償えないんじゃないかという案もあった」と物騒な証言もなされている。
その路線で進んでいた場合、シエルは弟の死という影を背負ったキャラとなっていた訳で、今とは印象が変わっていたかも知れない。
『プリアラ』を特集した『アニメージュ』増刊号では、本来は消滅させるはずであったピカリオを救済する流れに変えた経緯が語られている。それによると節目になったのは黒樹リオが初登場した第12話であるとのこと。
この話を製作している段階ではピカリオを救済するつもりは全くなかったが、いざ放映されてみると坪田文の脚本と座古明史の演出が奇跡的な化学反応を起こし、ジュリオがシリアスな笑いともいえるユニークなキャラ付けとなってしまった。これは視聴者だけでなく他の脚本・演出スタッフや声優達にとってもそうであり、要するに現場スタッフはみんな彼に奇妙な愛着を持つようになってしまったのだ。
その熱量は視聴者に正しく伝わり、結果的にジュリオがとんでもないゲスだけどなぜか憎みきれないキャラとして愛されるようになったのである。
そんなわけで、パルフェ覚醒の22〜23話の脚本に入る頃には、彼を退場させない方向で進むことになっていたということ。ただ、彼はビブリーのような「ノワールの悪意の被害者」としての要素は薄いので、浄化されたからといっていきなり味方にはできないだろうと39話まで充電期間を置くことになった。
そしてその間に、プリキュア側がピカリオを許すというより「その罪を含めて受けいれる」ことができるだけの精神的成長を少しずつ積み重ねていった形となる。
歴代妖精の扱い
いちご山の長老と同じく、オールスターズの歴代妖精には含まれていない。しかし、オールスターズのグッズなどでは登場している場合がある。
関連イラスト
関連タグ
- ウルルン・オニニン・マジョリン・ファンファン(プリキュア)・セイレーン(プリキュア):歴代プリキュアシリーズの悪落ちした妖精。
- 星野アクア:シリーズ構成が同じ、異性の双子の兄妹であること(ただしアクアは兄でピカリオは弟)、闇堕ちする等共通項が多い。