解説
国家等においてその構成員たる国民等の意思を集合して意思決定が行われる体制を指し、英語ではデモクラシーと呼ばれ、古代ギリシャ以来の政治概念であるが、長い歴史の中で発展してきた概念であり、時代や論者によって何を以て民主主義と称するには多様な捉え方が存在している。
正しいシステムなのか
このシステム自体に問題は複数存在し、例えば「国民の選択肢がない場合どうしようもない」、「支持者および敵対者の工作に弱い」などがあげられるが、他の方式、例えば独裁および貴族等による寡頭政、官僚等による支配といった方式が問題がない、というわけではなく、むしろこちらのほうが問題が大きいとされ、例えばウィンストン・チャーチルは「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」と述べている。
多数決
この最終的な意思決定の手法として多数決が用いられることが多いため、民主主義即ち多数決と捉えられてしまうことがあるが、近代以降の民主主義の考え方はむしろ少数意見の尊重が肝要とされ、思想・良心の自由、表現の自由、議論の場の提供は民主主義の前提として欠かせないものである。
衆愚政治
ただし、このシステム自体の問題として「指導者等が一部の国民に阿る( 大衆迎合 )」あるいは「選挙等のシステムや民衆路利益誘導などの理由により、有力な指導者を選出できない」などの理由により、政治的な停滞が発生したり、本当に必要なことが行われない状況が発生する場合があり、これを暴民政治、あるいは衆愚政治と呼ぶことがあり、独裁やそれに近い体制への憧れとなる場合がある。
実例
この状況として主にあげられるのは古代ギリシャの都市国家、アテーナイが該当するが、ナチス以前のワイマール共和国や、大正時代から戦後に至るまでの大日本帝国などもその状況であったのではないか、という意見が存在する。
古代ギリシャ
実は古代ギリシャの「民主主義」は都市部の「市民」( ギリシャ人ですらほんの一部 )だけの特権であり、女性や地方の住民には参政権すら存在しなかったとされ、哲学者として有名なプラトンもこの状況から哲人政治、すなわち哲学を学んだものに権力を与えることによって、私心無き統治を行わせる政治を目指したとされる。
日本
大日本帝国憲法下ではこの体制を民本主義と称していた( 大日本帝国下では天皇主権が建前であったため、人民主権を含意する可能性がある「民主主義」の語は避けられた )。