‥‥そうでなければならない。
我が“いけにえ”は‥‥な。
概要
CV:津田健次郎
「大逆転裁判」及び「大逆転裁判2」に登場する大英帝国の検事であり、主人公・成歩堂龍ノ介のライバルにあたる。無印の第3話から登場。初登場時32歳。
アルファベット表記では「Barok van Zieks」。
大英帝国の法曹界では、偉大なる貴族・バンジークス家の血をひく、倫敦で最も優秀な検事とされていると同時に、 《死神》 と呼ばれる伝説の検事としても広く名が知れており、「彼の法廷に立つ被告人は、決して“助かることはない”。」といわれている。
過去に日本人との間で何かしらのトラブルが発生したらしく、日本人に対して異常なまでの憎しみを抱いており、法廷で対峙した日本人留学生の成歩堂も彼の強烈な敵意を感じ取っている。
人物
容姿
眉間のバツ印の傷が特徴的な、やや陰気な雰囲気の男性で、成歩堂の第一印象によると、「生命を吸い込まれそうな“闇”の冷気をまとっている」とのこと。
金色の装飾などで高貴さを漂わせた黒い服とともに、右側の腰にはサーベル、左胸には亡き兄の《検事章》を身につけている他、時折黒いマントやシルクハットを身につけることもある。
執務室
彼の執務室は不吉で格調高く、誰か死んでそうなフンイキだとウワサされており、薄暗い部屋のフンイキと彼のイメージに合わせてか、室内に蝙蝠が棲みついている。
また、《神の聖杯》と称するクリスタルの杯、紅い飲み物が入った《神の瓶》と称する瓶や、『葡萄酒』の《樽》が並べられている。杯には職人たちの技術の粋が込められていたり、飲み物が彼が葡萄園で選び抜かれた“逸品”であったりなど、強いこだわりを持っている。
その他、大理石のチェス盤も置いてあり、チェスもたしなんでいると思われる。
能力
裁判では基本的に名の知れた大悪人や、凶悪犯罪など、社会への影響力が大きな事件を扱っている。
証拠品のねつ造や証人との裏取引といった不正は一切行わない至極真っ当な検事であり、さすがとも言える優秀な手腕で審理を進めていく。
彼の“異議あり!”や“待った!”は、ブラックレター風書体の黒に近い紺色文字で表記された専用のフキダシが用意されており、ある意味、荘厳さすら感じられるという。
しかしながら、《神の聖杯》や《神の瓶》を法廷に持ち込み、(一応詫びるものの)審理中マトはずれな発言を繰り返す成歩堂に対して、神の聖杯を嗜んだ後、注いだ飲み物ごと握りつぶす、検事席にかかとを振り下ろす、神の瓶を傍聴席に向かって放り投げるなどなど、逆転裁判シリーズに登場した検事たちに負けず劣らず法廷ではやりたい放題である。
《死神》について
大英帝国の法曹界では、《中央刑事裁判所(オールドベイリー)》の“死神”という異名を持つ呪われた検事として恐れられており、彼が検事席に立つ法廷では、被告人は“いけにえ”と呼ばれ、判決が『無罪』であったとしても、死の運命から決して逃れられないといわれている。
実際に、無罪判決を受けた被告人のほとんどは、数カ月以内に“謎の死”を遂げるなどして大英帝国から消えており、交通事故や原因不明の高熱など、終着駅に向かうルートはイロイロ存在するようだが、『2』の第4話時点では、16人が不審な死を遂げたと語られている。
《死神》は、彼が検事の道を歩み始めた頃から存在していたらしく、このような不可思議な現象が立て続けに起こるにつれて、いつしか《死神》の前に立とうという弁護士はヒトリもいなくなり、中央刑事裁判所の“伝説”として語られるようになったという。
周囲の反応
倫敦の大法廷には、“罰”を逃れるためであれば何でもするというような“極悪人”も存在し、ある裁判の被告人は証拠のねつ造や証人への脅迫によって、別の裁判の被告人は巨額のカネによる陪審員の買収によって、《無罪》を勝ち取ったという。
しかし、《死神》にニラまれた者は、たとえ無罪放免になったとしても、《死神》の手によって“始末”されてしまうといわれている。
バンジークスの立つ法廷の被告人は、そういった疑う余地のない“極悪人”ばかりであるため、《死神》の存在は犯罪抑止力に繋がるとされている。実際に、倫敦で起こる“重大犯罪”の件数が、劇的に減ったという。
バンジークス自身、《死神》の名の重みに耐えかねて、大法廷から遠ざかったこともあったが、その名が栄誉なるものであるならば、それを喜んで受け入れると語っている。
また、彼自身が《無罪》となった被告人のイノチを奪っているという可能性も疑われたようだが、《倫敦警視庁》の捜査により法廷外で命を落とした者の死とは《無関係》とされており、彼自身は「ただ《死神》を演じているだけのただの人間」とされている。
しかし、彼が《神》のような力を振るって人々を死に至らしめているのではないかと考える者もいるらしく、その非業の死を恨んで襲撃されることもあるという。
腕の立つ人物であるため、「めったなことで、おめおめとやられたりはしない」と言われているものの、これまで何度もこのように襲撃されていることに対して、彼のことを心配する声も存在する。
活躍
- 第3話
検事としての“名声”を捨てて法廷から姿を消していたが、5年の時を経て大法廷への“帰還”を果たす。成歩堂は偶然にも大英帝国での初公判でその《死神》の“復活”に立ち会うこととなるのだが、ここから2人の“因縁”の《闘い》が始まることとなる。
- 第4話以降
第3話の裁判以降、成歩堂が弁護席に立つ裁判では、事件の大小を問わず法廷に姿を現すようになり、お互いに幾度となく言葉を交わすこととなる。
これまでと違い、単純に見える事件も扱っていることから、それに対して疑問を抱く倫敦市民も多く、倫敦の新聞ではこれらの事件について大々的に報道されている。
彼曰く、法廷に戻ってきた本当の理由は、
かつて彼自身が絶対の信頼を寄せ、そして裏切った《日本人》の“正体”を成歩堂たちを通じて確かめるため
だったとのこと。
「過去の《日本人》の裏切りの記憶」と「弁護士として被告人を最後まで信じ抜く《日本人》の姿」との間に奇妙な感覚を抱きつつ、第5話終盤では、その弁護士との出会いの“意味”について、自分なりに考えてみようと言い残し、法廷をあとにした。
大逆転裁判2
前作では法廷での活躍の様子が語られることが多かったが、今作では事件現場や彼の執務室で彼の話を聞くことができるようになる。
前作にはいなかった彼の“従者”の話の他、倫敦大学時代の話や10年前の大事件への関与など、彼の“過去”についても判明し、彼に付きまとう《死神》の謎についても迫っていくこととなる。
- 倫敦大学時代
彼が“検事”の道を歩み始めるよりも以前、倫敦大学で法律学を勉強していた。科学者のベンジャミン・ドビンボーは彼の同級生であり、こころざす道は違えどフシギに気が合った数少ない友人だったという。
ドビンボー博士曰く、当時の彼は「おっとりした、気のいいヤツ」だったらしく、彼が冷酷な《死神》として君臨するようになったのは、10年前‥‥彼が倫敦大学を卒業したころに発生した大事件が、彼の人生を大きく変えてしまったからだとされている。
- 10年前の大事件
かつて、バンジークスには尊敬すべき首席検事の兄クリムト・バンジークスがおり、肩を並べて、司法の未来を語り、笑い合った時代があったという。しかし、兄は10年前に起こった英国犯罪史上に残る大事件、《プロフェッサー》事件の“犠牲者”として殺害されてしまう。
兄を失った弟は、犯人への復讐のため、その事件の担当検事の交代を嘆願し、事件の裁判で犯人の有罪を立証する検事として法廷に立った。本来許されることではなかったが、事件の担当検事かつ捜査責任者のハート・ヴォルテックス卿が、彼の“熱意”を信じて検事席を譲ってくれたという。それ以来、ヴォルテックス卿は彼にとって唯一の“恩人”と言える存在になったとのこと。
《死神》伝説の真相は、
殺人鬼に命を奪われた彼が“亡霊”となって蘇り、弟の代わりに正義の刃を振るっている
‥‥とウワサされたこともあり、彼が《死神》の異名を受け入れたのは、目標であった兄の《存在》を少しでも感じるためだった、とも語っている。
左胸に付けている兄の《検事章》に手を当てながら、兄や《死神》について語る様子を見たところ、兄の存在は非常に大きなものだったと思われる。
関連イラスト
関連タグ
御剣怜侍‥‥元祖ライバル検事
以下、『2』での活躍に関するネタバレ
- 10年前の大事件②
《プロフェッサー》事件の犯人として起訴されたのは、兄と同様に尊敬していたある日本人留学生であり、《日本人》に対して強烈な憎しみを抱くようになったキッカケは、その大事件にあったとのこと。
理不尽な感情であるとわかりつつも自分自身では制御することができず、理由を知った成歩堂も無理もないことだと語っている。
当初は成歩堂に対しても、その裏切った《日本人》との記憶が頭にチラついて、彼を憎むことしかできずにいたが、法廷で幾千の言葉を闘わせるうちにこの憎むべき“日本人”は信頼に値する《弁護士》であると認めるようになっていくこととなる。
- 第4,5話
10年前の大事件は、犯人が死んでなお、いくつもの悲劇の連鎖を生み出していくこととなり、第4話では事件に関わったとある人物の殺害の容疑でバンジークス自身が起訴され、成歩堂ともう1人の日本人に審理を委ねられた《極秘裁判》が開廷されることとなる。
法廷では被告人でありながらやりたい放題やりつつも、殺人犯の“正体”の他、独自に調査していた《死神》の“正体”についても迫っていき、そこから呪いのように浮かび上がった“殺人鬼”の隠された《真実》に深く傷つけられることもあったが、その《真実》から目をそらすことはせず、そこに潜んでいた“闇”へと立ち向かっていった。
最終的には、大法廷を包んでいた“闇”に“光”がもたらされ、裁判はバンジークスの『無罪判決』で幕を閉じた。バンジークスは成歩堂のミゴトな弁護に感服しつつ、成歩堂にはこれまでの数々の非礼の詫びと心からの礼を述べた。
《判決》の後、《プロフェッサー》事件の“真実”をすべて公表し、その事実はバンジークス家を許すまいとして、検事局を去ることも考えたようだが、
10年間その身をさらし、引き受けてきた倫敦の“闇”から解き放たれた今こそ、闘いが始まるのではないか?
といった言葉を聞き、異国の友人と同じように前に進むことを決めた模様。