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ゾロ(MS)の編集履歴2018/05/30 19:39:17 版
編集者:obake(仮死状態
編集内容:親記事をゾロアットに戻しました。

概要

型式番号ZM-S08G

ベスパが地球侵攻を開始するにあたってゾロアットを基に開発し、初めて量産に成功したモビルスーツ

スペースノイドのみで構成された帝国が設計したため、各部に実験的な試みが見受けられる。

最大の特徴は、量産・信頼性の高いビームローター(後述)を搭載したことにあり、これによってMS単独・無補給による行動半径を大幅に拡大することに成功している。

これは、地上拠点の確保が困難な帝国にとっては極めて重要な意味を持っており、地上侵攻に踏み切ったのは当機の量産化に成功した事が最大の理由であると言われるほどである。

しかしながら、初の量産機であるがゆえにMS形態の性能は特別な長所を持たない(とは言え、宇宙世紀150年代地球連邦軍が主戦力として稼働させていたジェムズガンを大きく上回る)。

加えて、本来は重力下での行動半径を更に拡大するために採用した変形機構では、上半身と下半身の分離方式を採用してしまったため、特にビームローターおよびコクピットを有さない下半身(ボトム・リム)はスラスターに頼って航行せねばならない必然からむしろ運用可能距離が狭まってしまい、簡易的な無線制御システムであるミノフスキー・コントロールの精度の問題により、被撃墜率も低くはないものとなってしまった。

このため、戦闘領域が広域に及ぶ際や対地掃討の任務には上半身を変形させたヘリコプター型のトップ・ターミナルのみで運用される事も少なくなかった。

よって、地上運用データ収集も目的とした実戦部隊イエロージャケットの運用から得られた各種データを基に、物語開始時点(宇宙世紀0153年4月5日)ではサイド2の本国の生産ラインは既に次期主力量産機トムリアットに切り替わっていた(つまり、劇中では『在庫のみ』となった機体が運用されていた事になる。)

以上のように多くの問題点を抱えていた本機ではあるが、現場からの要請に応えて開発した多種のオプション武装の運用テストや、推進剤等の積載スペースを確保するためのパーツ小型化などの点で、その後の帝国製MSの開発に貴重な数多くのノウハウを提供した。

また、分離・変形機構を採用している機体としては構造が単純であったため、戦地スタッフによる改善・改修も容易であり、ラゲーンのマチス・ワーカー大尉の使用した改型など、数多くのバリエーションが存在している。

ビームローター

ザンスカール帝国の技術陣(旧サイド2駐留サナリィ)がビームシールドを発展させる形で開発した、重力下における最新空中航行システム。

ミノフスキー・クラフトと比較して到達可能高度は更に低空となっているが、ビームシールドを運用するだけのジェネレーター出力さえあれば稼働させられる――すなわち当該世代のあらゆる機体に装備できるほど簡素かつ小型であり、さらはに非常に低速ではあるがプロペラントを消費せずに推進力を得ることが可能という画期的な特徴を有している。

帝国の技術陣がビームシールドの改良・発展を研究する中で、シールドを展開したまま基部を回転させると、ビーム周辺にIフィールドよりも更に立方格子形成指向の強い、斥力を持った力場を形成できることが判明した。ミノフスキー粒子は静止状態では質量がゼロに近いながらも物質を透過しない特性を有している事から、当然ながらこの立方格子型力場も陸地とMSというそれぞれの物質を透過することなく、結果として斥力場で機体が空中を浮遊する事になる。

ここまでは、かつてより存在していたミノフスキー・クラフトとほぼ同原理であるが(それでも、モジュールサイズ、力場の強度で大きく勝る)、技術陣は更にこの力場の発生方向を一方向に偏向すると、力場の密度が若干ながらも変化するのを発見した。これを利用して、ビームローターは機体前方斜め方向に基部を傾ける事によって、前後方向のミノフスキー粒子力場に密度差を作り、小さいながらも推進効果を得ているのである。(例えるなら、陸地から組み上げた見えない滑り台を前方に滑り落ちつつ、同時に後方から持ち上げる事で、高度を変化させずに永遠と不可視の滑り台を滑り続けている状態である。)

ミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合路は従来より、反応元素であるヘリウム3によって半永久的に稼働し、加えて宇宙世紀0120年代以降のMSは小型化(省エネルギー化)・高出力化によって自機でのミノフスキー粒子の縮退(ビームの発生)が可能となっている事から、ビームローター装備機は機構上、大気圏内において無限に空中航行を継続できるのである。

重ねて更に、大気圏内でビームローターを使用して空中移動を行うと、ある程度の整流効果がある事もわかった。つまり、MS形態という空力特性の圧倒的に不利な形状であっても、空気抵抗を減免する事で上述で得た推進力をほぼそのまま利用する事ができた。

以上の原理によりゾロは、戦地移動を主とするトップ・ターミナル形態時はプロペラントを消費しない低速航行で運用し、戦闘機動が必要となるMS形態時はローター傾斜角を任意方向かつ急角度としつつ、熱核スラスターと併用する事で機敏な空中戦を実現させた。

これにより中央ヨーロッパ地区を防衛していた、旧来のスラスターによる短時間飛行しかできないジェムズガンを瞬く間に駆逐し、ベスパは占領領域を拡大していった。

変形・合体機構

トップ・ターミナル

前述の通り上半身を形成し、コクピットとジェネレーター、およびビームローターを有する本機のメインメカニック部である。

ビームローターを採用した事もあり、その形状は旧世紀ヘリコプターに酷似しており、コクピットは強化透明素材製のキャノピーが採用されている。このキャノピーは、MS形態時に座席を90度回転させて簡易的な全天周モニターとするため、天井部に至るまで非常に広い透明部を有している(ヘリコの天蓋部がMS形態における背面モニターとなり、被撃墜時には機首全体が脱出ポットにもなる)。この構造がイエロージャケットに選抜され地球降下を許されたパイロットたちに、地球の雄大な自然を観測させる事を許し、士気高揚の一翼を担った。

……というのは、ザンスカール帝国側の建前であり、事実は地球市街地の空爆や、ヘリの機首に装備されたガトリング砲による掃討によって、これまで特権階級にしがみついてきたアースノイド達を“狩る(ハンティング)”する様を『生の視覚』で捉えさせた事こそが、パイロットたちを熱狂させたのである。

かつてのアースノイドがスペースノイドを「宇宙人ども」と蔑んだのと同様、150年と言う月日をスペースコロニーの中だけで世代交代させられてきた『宇宙戦国時代』のスペースノイドにとっては、アースノイドは既に『別種』であり、“狩り”の光景は多くの場合において、凄惨極まるものが形成された。

そしてこのような行為が、ギロチンが用いられる事のほとんどなかった地球においても、抵抗運動が急速に広がる原動力となるという、どこまでも虚しい負の連鎖となったのだった。

なお、操縦系統はヘリコと共用のため、スティックが1本しかない珍しいタイプを採用している。

ボトム・リム

トップ・ターミナルから簡易無線コントロールによって運用される、下半身部の巡行形態。

リガ・ミリティアの運用するVタイプ同様に、ミノフスキー・フライトによって浮遊し、スラスターから推進力を得る事で飛行する。(ミノフスキー・フライトの技術が帝国側でも使用されているのは、双方の勢力にサナリィが関わっているためである。)

しかしながら、帝国のミノフスキー・フライトは技術的完成度が低い事もあり、既述の通り長距離侵攻などの任務では、むしろ「邪魔」となってしまうほどであった。

加えて、合体の際には数秒間の致命的な隙を晒してしまうため、イエロージャケットは小隊で行動し、変形・合体時にはフォーメーションを組んで僚機の隙をガードしながら順次MS形態へ移行する事で、この弱点をなんとかカバーしていた。

これらの理由により、後継機であるトムリアットでは分離機構が廃されている。

ミノフスキー・コントロールの精度も良好ではないが、トップ・ターミナル1機から複数機のボトム・リムの操作を可能とするため、ラゲーンに駐留していたマチス・ワーカー大尉は、基地に残されていた全ての残存パーツを質量弾兼かく乱幕としてV2ガンダムに特攻をかけた。

武装

ビームライフル

宇宙世紀0120年代以降は一般的となった、ジェネレーター直結・Eパック併用型のビームライフル。

既述の通り、ビームを自機のジェネレーターで縮退・生成できるため、Eパックはフェイルセーフのためにセットされている。

ゾロのジェネレーター出力はVタイプ(4,970kW)よりも高いが、発振・収束率に劣るのか、ビームのゲインはリガ・ミリティアの標準装備よりも低い。

変形時においても、トップ・ターミナルの左前腕ハードポイン(MS形態ではビームローター基部が接続される個所)にセットされ、武装として使用できる。

ビームサーベル

一般的なビームサーベル。宇宙世紀0150年代のサーベルは収束率が非常に高いため、全勢力ともあたかも“糸”のような細さとなっている。

トップ・ターミナル形態時は、ウィング下部に配置されたビームガンとして運用される。

ビームバズーカ

大口径のビーム砲。肩に担いで保持、射撃する。

威力、射程、取り回しの全てのバランスが良く、トムリアットの主兵装として採用された。

ロングバレルだが、非使用時は中央部から折り畳んで懸架する。

ガトリングガン

実弾兵器。

射撃時の反動が激しく、両手で支持しなければ射線が安定しないほどであったため、制式採用には至らず、少数が運用されたのみとなった。

ビームローター

航行システムであると同時に、ビームシールドとしての役割も果たす。

MS形態では左前腕に装着され、巡行時はこれを頭上に掲げる事で『力場に乗る』が、敵機からの攻撃を防御する際にはシールドのように機体前面に向ける。

この間の飛行用浮力は、オートで熱核スラスターに切り替わる(カタログスペックの通り、パワー・ウェイト・レシオは2倍を超えているため、スラスターのみでも問題なく自由飛行が可能)。

これもまたビームシールドと同様に、武装としても利用可能であり、4ヶ所のビーム発振部の任意ヶ所からソードのように発生させる用法もあれば、回転させたままビームソーとして使用する場合もある。

機首三連ガトリング砲

トップ・ターミナル形態時に使用可能となるガトリング砲。

主には対MSではなく、対人、対建造物用として用いられた。

対地爆雷コンテナ

ゾロの股間部に増設するポッド。ボトム・リム形態時に空爆として使い切り、空になったポッドを切り離してから変形。MS戦に移行する。

ウーイッグを始めとして、多数の地球特別居住区を焼き払った。

バリエーション

クロノクル・アシャー専用機

ザンスカール帝国女王マリア・ピア・アーモニアの実弟である、クロノクル・アシャー中尉のために用意された専用機。(配属先のラゲーン基地司令ファラ・グリフォン中佐が、「姉上様によろしく願います」という意味合いを込めて用意させたと思われる。)

カラーリングが赤系統に変更されているが、性能的には一般機との差異は無い。

ゾロ改

地球クリーン作戦後の休戦協定中に、ラゲーン基地に所属していたマチス・ワーカー大尉が使用した、現地改造機。

メインカメラ左側のセンサーが強化されており、頭部がモノクルを掛けたような外観となっている。

余談

主役機デザインコンペ

本機は、大河原邦男氏が『機動戦士Vガンダム』の主役機デザインコンペに提出したデザインが原型になっている。このため、コンペ課題であった「変形・合体する事」の名残をとどめている。

なお、カトキハジメ氏の「徹底的に機能性を追求したコア・ファイター」というに対して、大河原氏は「今までになかった、ヘリコプター型の変形にすれば、オモチャとして面白くなりそう」というアプローチであった。

ミノフスキー・エフェクトによる飛行

第39話において、V2の「光の翼」の両翼間を通り抜けた多数のトップ・ターミナル、ボトム・リムが突如墜落し、その光景を見たマチス大尉は、「メガ粒子が通っているのか!?」と驚愕したが、全く異なる理由によるものである。

V2ガンダムの「光の翼」の項に詳細が記載されているが、ミノフスキー・ドライブは原理上、周囲のIフィールド(立方格子状の力場)を爆発的に乱すため、ビームローター、ミノフスキー・フライトで飛行/浮遊していた各機は『突如足場を叩き壊された』に等しく、このため墜落したのである。

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