「信念なき殺意に何の意義がある」
「“英雄”を歪ませる社会のガンだ 誰かが正さねばならないんだ」
概要
CV：井上剛
作中に登場したヴィランの一人で、通称「ヒーロー殺し」。
独自の倫理観・思想に基づいて「偽物の粛清」として各地でヒーローを襲撃してきた凶悪犯。
これまでに17人を殺害・23人を再起不能に追い込んでいる。
オールマイトは死柄木弔に対して「思想犯の眼は静かに燃ゆるもの」と諭したが、まさにその言葉通りのヴィランであると言えよう。
オールマイトに心酔している節があり、「オレを殺っていいのはオールマイトだけだ」と口にしている。それ以外のヒーローはたとえエンデヴァーであろうと贋物と切って捨てる『正義に飢えた悪』。
初登場時は雄英体育祭の裏で東京都保須市に出没し、交戦したプロヒーロー・インゲニウム(飯田天哉の兄)に重傷を負わせ、再起不能にした。直後敵連合と接触し、オールマイトと雄英生徒の殺害の依頼を求められる。
当初は死柄木を「最も嫌悪する人種」と見て襲いかかるが、彼の「現在を壊す」という真意に同意し、手を組むこととなる。
引き受ける前に「偽物の粛清」を済んでいないことで再び保須市を襲撃。兄の仇を討とうとする飯田天哉、合流してきた緑谷出久、轟焦凍と交戦する。
特徴
鋭利な顎とブツブツの舌が特徴。目元を包帯で隠し、赤のマフラーとバンダナ、プロテクターを着用。刃こぼれした日本刀と数本のサバイバルナイフを所持している。
包帯が外れると、削がれた鼻や剥がされた様な傷痕のある上半分の皮膚が露わとなる。
個性
『凝血』
相手の血液を摂取することで、相手の身体の自由を最大で8分間まで奪う個性。
対象者の血液型によって効果時間は異なり、O＜A＜AB＜Bの順で奪える時間は増える。
ステイン自身の血液型がB型であることから、彼に血液型が近いほど効果が効きやすくなるものと思われる。
相手の血液を摂取しなければ効果が発動しないため発動のハードルはやや高く、血液型による効果時間の変動などの弱点も合わせて、轟からは「“個性”だけ見りゃ特別強力ってわけでもねぇ」と評されている。
作中での行動
「論外」
彼の真骨頂は個性以上に、彼自身の身体能力にある。
『ワン・フォー・オール・フルカウル』を発動した緑谷にカウンターを決める、轟の不意打ちを回避するほどの速度と反応、
飯田の『レシプロ・エクステンド』と緑谷の『フルカウル』による同時攻撃を受けてなお反撃に転じるタフネスなど素の実力が規格外であり、
血液摂取という本来発動条件のハードルが高い個性すらその身体能力によって存分に行使が可能。
緑谷・飯田・轟の3人を同時に相手し圧倒してみせた。
自身の信条を優先するあまり少々引き際が悪い所もあるが、戦闘スタイルは頭脳的で分析力も高く、轟の個性と戦いぶりを少し見ただけで、その強さと癖をすぐさま見抜き、戦闘の合間にわざわざ忠告までした。
結果的に飯田の蹴りと轟の燃焼が決め手で撃破されたものの、轟は焦りからのミスがあったためにギリギリ勝てただけと分析しており、彼をして「強え」、緑谷からも「強すぎる」と評された。
戦闘中、緑谷にオールマイトの姿を重ねたか、彼の行動を「ヒーローと認めるに足る」ものとして認めており、粛清対象から外した。
轟も同様に「お前も良い」と認めており、戦闘中はあくまで交戦中だったプロヒーロー及び飯田を始末することを目的に行動し、緑谷と轟に対しては行動不能にする以上の追撃はしていない。
「英雄回帰」
拘束された後、突如現れた翼の脳無が緑谷をさらった際、その場に居合わせた一同よりも真っ先に動き、脳無を斬り殺して緑谷を救出。
一同に自身の思想を叫び、満身創痍のまま立ち向かおうとした直後に気絶(この時、戦闘で折れた肋骨が肺に刺さっていた)。
その叫びは異様な威圧感を感じさせた。
逮捕後、マスメディアによって明かされた彼の思想は「英雄回帰」と呼ばれており、『ヒーローとは見返りを求めてはならない 自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない』という主張である。
つまり、「人を救う」という行為が、真心から起きた「目的」であるのか、はたまた収益や地位、名声を得るための「手段」であるのかという事を問題視しており、前者のみが英雄（ヒーロー）と呼ばれるに値し、後者のヒーローは『贋物』と断言する。
あくまで「贋作が蔓延る世界の粛清」という目的のために動いており、ヒーローのみならず徒に力を振り回すヴィランをも粛清対象としている。
また、彼が出現した町では犯罪発生率が低下しているというデータも明かされた。
これまで作品に登場した多くのヴィランとは異なり、悪なりの信念を持つダークヒーロー的な存在として描かれており、こと飯田には大きな影響を与えた。
また、後に士傑高校の二年生である肉倉精児は彼の思想に似た主張をし、教科担任からは彼からの影響を受けている節を指摘されるなど、作品世界でのその影響力はかなり大きなものである。
この思想と同じくして、彼の経歴も明らかとなる。
本名は「赤黒血染（あかぐろ ちぞめ）」。現在の年齢は31歳。
オールマイトのデビューに感銘を受けてヒーローを志し、私立のヒーロー科高校に入学するが、「ヒーロー観の根本的腐敗」に失望し、1年夏に中退。
10代終盤で「英雄回帰」を訴える街頭演説活動を行うも「言葉に力はない」と諦念。以降の10年を「義務達成」のため、独学で殺人術を鍛錬する(この間に両親は他界、事件性については無しとされている)。
このような過去があり、人気のつかない路地裏で粛清を行っていたため、「英雄回帰」の主張が世間に行き届かず、逮捕後にマスメディアが代弁者となって主張を広めていくことはある意味皮肉なものと思える。
加えてヒーローとヴィランの中間的な存在でありながら、彼の思想と行動は一部のヴィランにも少なからず影響を及ぼしていたようで、後に荼毘、トガヒミコ、スピナーといった彼の信奉者達は彼が一時的でも敵連合に入っていた事実を受けて、“ステインの意思を継ぐ”という名目で連合に流れ、結果的な連合の勢力拡大につながっている。
現在は特殊刑務所「タルタロス」へ収監されている。
余談
前日譚にあたる外伝作品「ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-」では「スタンダール」という名前でヴィジランテ(自警団)活動をしていたことが明らかとなる。
この時から行き過ぎた思想は健在で、ヴィランのみならず(善性からの行動で)助ける者も容赦無く殺す態勢をとっていた。
この時は顔つきや服装も今とは違い、戦闘スタイルも実戦向きではなく侍や忍者の様な型にはまったものとなっていたが、ある人物との戦闘を経た影響によって「ステイン」へと変貌を遂げた。
読者や劇中人物に大きなインパクトを出したステインだがネット上では「独善的で短絡的」と言った思想に対して批判的な意見や「中卒さん」等、馬鹿にする声も少なくない。
前者では「飯田を変えた原因は自身にあるのに棚に上げて贋物扱い」等、後者に関しては「1年も我慢出来なかったのか」(1年待てば共感する可能性のあったイレイザーヘッドが入学する)等がある。
なお、意見を挙げてしまったがステインに関しては作品内の話の様に現実のネット上でもかなり荒れる話になるためむやみに話を持ち出すのは控えた方が良い。
関連イラスト
