概要
かつて存在したコナミ内のゲーム開発会社「コナミコンピュータエンタテインメントジャパン」が制作したアドベンチャーゲーム。ざっくりとした言い回しになるが、KCEジャパンとは今日のコジマプロダクションの前身である小島プロダクションの、そのまた前身である。
(これ以外のときめきメモリアルシリーズは『ときめき3』まで基本的に「コナミコンピュータエンタテインメント東京」製。『ときめき2』ファンには陽ノ下光や寿美幸ボイスの「KCET」が耳に残っているであろう。)
小島秀夫率いる小島組が、過去作ポリスノーツのシステムの可能性を模索、ときめきメモリアルのキャラクターと世界観を採り入れ、SLGからADVへと変化したのが、この「ときめきメモリアルドラマシリーズ」である。
各作品に合わせたミニゲームが舞台を彩るが、基本UIはPS/SS版のポリスノーツほぼそのまま。
「本編3年間の中の数日間をクローズアップ」という触れ込みの割にはやや設定に差異があるが、演出の上手さやミニゲームの面白さから概ね好評であり、Vol.1から3の三部作が制作された。
なお小島氏は監督名義ではなく、Vol.1と3では制作総指揮・演出指導としてクレジットされており、Vol.2に至ってはプロデューサー表記にとどまっている。
本編よりもストーリー性を強調。セーブは一日の終わりに行う(ときメモ本編は3年間に対し週一のセーブ)。
ゲーム画面のフレームは「ときめきメモリアルタイプ(三種類)」「ポリスノーツタイプ(非表示)」と切り替えが可能。
プレイステーションとセガサターンで発売されたが、サターン版Vol.3は通常版が発売されず限定版のみの展開のため、流通数が極めて少ない。
シリーズ一覧
Vol.1、Vol.2のセーブデータ(あるいはポケットステーション)を使用することで、Vol.3にてそれぞれの「卒業式」を出現させる事ができる。
ドラマシリーズ準ヒロイン
初登場ヒロインが2人存在。
ストーリーは各メインヒロイン(虹野、片桐、詩織、館林)とのいわゆる"一本道"の為、2人とも非攻略対象。
秋穂みのり
(メイン画像右 cv:丹下桜)
Vol.1虹色の青春から登場。
きらめき高校サッカー部マネージャーの一年生(Vol.3では二年生)。メインヒロインではないが虹色の青春のみ彼女との交流も必要となる。シリーズを通しての裏のヒロインとも言える立ち位置で、Vol.2以降も登場し物語に花を添える。
美咲鈴音
(メイン画像左 cv:桑島法子)
Vol.2彩のラブソングから登場。
アマチュアバンド『彩(いろどり)』のキーボード担当の一年生(Vol.3では二年生)。
楽曲
BGMの多くは過去に発売された『SOUNDコレクション』や『ピアノコレクション』といったアレンジ盤からの流用が多い。新曲や本編流用曲は少なめであり、Vol.1で特に顕著。
その分、メインテーマとも言えるエンディング曲のアレンジが、各場面で効果的に使われている。各ヒロインに本編で設定されていたキャラBGMもアレンジで採用されているが、虹野・片桐については本作のメインテーマが適用される。
エンディング曲は、先立ってバーチャルアイドルとしてデビューした藤崎詩織に合わせてか、声優ではなくキャラクター名義での発売およびクレジット。その『キャラクターが歌っている』という設定は、Vol.1では台詞から、Vol.2では物語の展開そのものから、それが生かされている。
主題歌収録CD一覧は下記の通り。シングル化されていないものや、サントラ未収録のものもある。
シングル化 | 作品サントラ収録 | キャラクター名義アルバム | |
Vol.1 出会えて良かった | 〇 | × | over the rainbow |
Vol.2 Tomorrow~Beside you~ | 〇 | 〇 | × |
Vol.2 Tomorrow~See you~ | 〇 | 〇 | × |
Vol.2 Tomorrow~Only you~ | × | 〇 | Message |
Vol.3 幸せのイメージ | 〇 | 〇 | 風の扉 / forever with you |
Vol.3 星空のパワー | × | 〇 | × |
よもやま
小島作品ということで、小ネタがちらほらと存在。映画館デートで鑑賞する作品はVol.1では前者、Vol.2.と3では後者。
Vol.1と3に登場するブティック「ベラ・ノッテ」の強烈すぎる店長はポリスノーツに出てくるモブのご婦人が元ネタであり、設定や声優こそ異なるが見た目はほぼそのまま。Vol.3では「エルエスのバッグ」まで持ち出す始末。ポリスノーツ未プレイの人にはいつもの名前もじり程度に思うだろうが、プレイした人はある意味戦慄とトラウマが蘇った事であろう。あっちもこっちもある意味爆弾ゲーだし。
その他、当シリーズのセーブデータも、メタルギアソリッドのあるイベントできちんと認識する。
- サブヒロインを務めた2人のcv
Vol.1・Vol.2のそれぞれのラジオドラマが展開されたラジオのパーソナリティでもあった。
丹下氏はみのりの演技から、(Vol.2のラジオドラマの後番組でもあった)メタルギアソリッドのメイ・リン役の候補でもあったらしいが、最終的には桑島氏に決まった。
- 店長スペシャル
3作通じてデート中に注文できる食べ物。店も商品も異なるが、メインヒロイン3人が同じ感想を述べるという謎の存在。3人とも好きらしい。
(なお、このお約束ネタはファンディスクの『Selection藤崎詩織>https://www.jp.playstation.com/software/title/slpm86029.html』にて先行登場した。)
- 『2』におけるドラマシリーズ、『Substories』
いちAVGとしてドラマシリーズ自体の出来は良かったのだが、ときめきメモリアル本編のスタッフ(KCE東京)にはあまり印象が良くなかったらしく(Vol.3が伝説の樹をほぼ無視していたこと等)、ときめきメモリアル2では本編と同じくKCETスタッフによる外伝が制作された。
『ドラマシリーズ』の仮称を経て制作されたその『Substories』だが、ボリューム不足や尖ったシナリオ構成が批判を呼び、ファンからは小島プロダクションが作った方がよかったのでは?と苦言の声も。
『ドラマシリーズ』が本編から年月を熟し発売され、一方の『Substories』は本編からさほどの時間を要さずの立て続けリリースだったという無茶なスケジュールもあったのだろう。この『Substories』と『2版ぱずるだま』、および『本編3』を経て、男性向けときメモシリーズは衰退していくことになるが、それはまた別の話。