「『ときめきメモリアル』がちょっと照れるのは、本当にときめくから…だったりする」
「鯉を揚げる。ときめきメモリアル3」
概要
恋愛シミュレーションゲーム・ときめきメモリアルシリーズの三作目。
キャラクターグラフィックにシリーズ初の3DCG(トゥーンレンダリング)を採用している他、デート前の服装選択が追加されるなど、前作と比較して基本システムが大幅に変更された。
正式タイトルは「ときめきメモリアル3 〜約束のあの場所で〜」
EVSが完全実装されヒロイン全員に名前を呼んでもらうことができるようになり、楽しい喫茶店デートやアイテムの収集などの要素も採用された。
近年リリースされたオレカバトルやオトカドールの礎・土台となった作品だと言えるものであり、キャラ設定やストーリーもオレカやオトカとの繋がりを彷彿とさせるため、それらを遊んでいれば、この作品も従来の数倍は楽しめるはずである。
主人公や登場キャラクターは、架空の街『もえぎの市』にある架空の学校私立もえぎの高校に通い、高校3年間を過ごす。
シリーズ恒例の、恋愛に纏わる「伝説の場所」が学校近くに存在しており(1作目では校庭のはずれにある伝説の樹、2作目では校舎にある伝説の鐘)、今作では学校の旧通学路の途中にある桜の舞い散る伝説の坂になっている。
登場キャラクター
攻略キャラ
牧原優紀子(CV:神田朱未) | 相沢ちとせ(CV:川口宰曜子) |
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河合理佳(CV:服部加奈子) | 御田万里(CV:橋本涼子) |
橘恵美(CV:安田未央) | 神条芹華(CV:皆川純子) |
渡井かずみ(CV:町井美紀) | 和泉穂多琉(CV:片岡千珠) |
男性キャラ
主人公の友人の1人で二枚目でキザ、成績優秀、スポーツ万能というライバルキャラであるが見た目や発言とはうらはらに女性コンプレックスがあるらしい。
主人公の友人の1人で多趣味で話題が広く特に写真が好き。太っていて眼鏡をかけており見た目はいわゆるオタクのイメージだが、社交的な性格である。
苗字こそ矢部だが彼とは関係ない。
サブキャラ
ジョニーとボブ(CV:不明)
通販番組に出てくる2人組。
試作機1号、2号
理佳が作った主人公とそっくりな容姿のロボットで1号が小型で2号機が等身大。1号・2号とも作中では3DCGで描かれている。
森(声:不明)
恵美の合気道部の後輩である女子生徒。苗字以外は一切不明だが、レギュラーキャラクターと同様の3DCGで描かれている。
駄菓子屋のおばあさん
牧原優紀子の攻略過程で登場する、もえぎの市で駄菓子屋を営む女性。
ノベライズに登場するキャラクター
坂井知公
第1巻に登場する、牧原優紀子の恋愛対象者。もえぎの高校生徒会長。
新川春人
第2巻に登場する、渡井かずみの恋愛対象者。かずみのクラスメイト。
鑓水三咲
第1巻に登場する、もえぎの高校の野球部マネージャー。優紀子や知公達より1学年下で、マネージャーの仕事を完璧にこなす優紀子に憧れている。
かずみの父
第2巻に登場する、渡井かずみの父。名前は不明。
かずみの母
第2巻の回想シーンにのみ登場する、渡井かずみの母。
渡井柚子
第2巻に登場する、渡井かずみのおば。さっぱりした明るい性格で、かずみの良き理解者。
新川秋一
第2巻に登場する、新川春人の兄。春人より6歳上。
問題点
プレイステーション2初期の作品であることを考慮に入れてもなお、問題点が多く粗の目立つ作品である。
同年PS2でリリースされたコナミ作品に限定しても、「MGS2」「サイレントヒル2」「シャドウオブメモリーズ」等といった名作・良作が揃っている分余計にそう感じられる。
しかし、3DCGや服装システム等の新機軸に挑戦したこと自体は評価されており、問題点を克服しシステムを発展させた次回作を望むユーザーは少なくなかった。
売り(であったはず)の3Dグラフィック
キャラクターデザインにシャープさが皆無で、顔がハンコ絵かつパーツが小さく中央に寄りがちで、輪郭が下膨れ気味で個性が無く、しかも横顔は潰れて平べったくなっており、そして骨格も同じような感じで、しかも歪んでいるため、体形すらもおかしい。兎にも角にもないないづくしである。
…『慣れれば可愛く見える』という声もあるが、逆を言えば『慣れないと可愛く見えない』ということになる。
この手のモデリングが得意なバンダイやナムコ(一例)と違って、この時代のコナミはどちらかと言えばリアル調の3Dモデリング(MGS2等)の方が得意だったため、こういった歪んだ3Dモデルになるのも仕方ないと言える。
攻略キャラ数がちょっと少ない。
歴代の女子キャラ数は、隠しキャラを含めて
- “ときめきメモリアルが13人(+α)”
- “ときめきメモリアル2が13人(+α)”
- “ときめきメモリアル3(この作品)が8人”
- “ときめきメモリアル4が12人”
- “オトカドールが27人(+α)”
ただし、3が特段少ないというわけではない。ラブプラスは3人しかいない。
女子キャラの攻略難易度が恐ろしく高い。
キャラ数はともかく、情報入手が「女子からの直接入手」となったため(最初から連絡先を知っている子以外は)、まず下校イベントでデートの約束を取り付けなければ話にならず、目当ての女子が必ず現れるとは限らないし、会っても一緒に帰ってくれない、一緒に帰ってくれてもデート出来ないの三重苦なので、運が悪い人間にはお勧めできない。
そのため……目当ての娘とは、なるべく“伝説の坂”で出会うようにしたい。
攻略サイトの情報を頼りにプレイヤー情報(プロフィール)を入力し終わるタイミングで本体の時計の時間が一定の数字になるようにすれば…目当ての娘と伝説の坂で出会えるはず。
今回は『登場キャラを抑えると爆弾発生率が上昇する』という恐ろしい仕様変更が行われている。
そのため…ヘタをすると、これまでのシリーズ以上に爆弾処理のデートに追われると言われている。
手助けとなるべく搭載されたはずだった服装システムだが、この作品では「身に着けている服が女の子の好みに合わないと、それだけで失望され即帰宅されてしまうというシステム」である上に服装の好みの判定も雑かつシビアであるため、このシステムについても攻略本は必須である。
歴代最高難易度のストーリー展開
そして、今作品の売りの一つでもある、それぞれのキャラに用意された【ストーリーイベント】はみつめてナイト並に内容的にも難易度的にもプレイヤーの心を折りに来るので攻略本は必須である上に、鬱展開にも耐えられるほどの精神力を持って挑む必要がある。
ついでに、そのイベントに絡んでくる2人の男子が完全に悪役として描かれていることもプレイヤーに追い討ちをかけ、しかもプレイヤーキャラは【ストーリーイベント】中に女子に深く関わることが出来ない。とどめに、数多くの伏線が回収されずにストーリーが終わってしまう。
ここまで説明すれば、いかにこの作品の【ストーリーイベント】が内容的にも難易度的にもプレイヤーの心を折りに来ているかがわかるだろう。
『弱者は人に頼らず、天に頼るしか術はありません』__血煙のゼールビス
つまり、そういうことなのだろう。
だが、『本当に弱者がすべきことは天に祈らずに、自らの力で自らの運命に抗うこと』である。
攻略本を片手に、めげずに攻略していこう。
ゲームファンドさえ無ければ~!
表題は林一夫氏のバイオハンター・シルバの「バルジオンさえあれば~」の口調で読んで戴ければ宜しいかと。
そう、『3』最大の悲劇と言えば、ユーザーから開発資金を集めるゲームファンドの対象にされた事である。
コナミは2、及びあいたくて…が共に開発が難航した前例を忘れたのだろうか?況してや全ジャンルを通じ比較的開発が難航し易いギャルゲー及び乙女ゲーを投機対象にしたのが大きな誤りだった。
ゲームファンドのせいで開発スケジュールが十分に確保出来ず、見切り発車で発売→売上爆死の悲惨な結果となった。
悲劇はそれだけに終わらず、何とGirls Sideが裏で開発されており、ある意味『3』はGirls Sideの当て馬にされた様にも思え、結局ファンドも元本割れは避けられたものの利益は出なかった。
この出来事で男性版も09年の4まで発売されない事態が起き、歴史を決める出来事となってしまった。
歴史にifは禁物だが、もしもゲームファンドが無かったら、発売は史実よりやや遅れたかも知れないが、完成度も高く、一定の売上を挙げ、本編+外伝のトータルセールスも定着したかも知れなかった。
尤も、ギャルゲーと乙女ゲーは0から作るのが難しいジャンルであり、ゲームよりキャラクターを優先した作り(アドベンチャーやサウンドノベル)が主流になった為、新たな要素やゲームシステムを生み出せない限り、史実通りギャルゲーと乙女ゲーは衰退したであろう。
遣る事為す事全て裏目に出る
本作は無印ドラマシリーズや2のサブストーリーズに似た外伝発売を視野に入れた数々の伏線が張られていたが、結局生かされる事は無く、外伝発売を見越し本編を薄くした事が裏目に出てしまった。
余談
本作のサブタイトルは『約束のあの場所で』だが、このタイトルは発売前の2001年8月31日にフジテレビのテレビ番組『プレゼンタイガー』で決定されたものである。
この番組で候補に挙がったのが「約束のあの場所で」と「The Last Confession」(「最後の告白」の意)であり、前者が採用された。後者は、ラストと思わせておいて続きを発売すればファンを安心させられるといった理由で命名されたものであると主張されていた。
なお、「約束のあの場所」というのはゲーム内のヒロインの優紀子のルートを進めていくと約束の内容と場所が明かされる。
2の発売から2年後に発売された為、余りに早い発売に不安を抱いたユーザーもいたが、案の定あいたくて…のゲームシステムを流用していた所もあり、開発が早かったのも道理に思えた。
上映している映画がコナミの歴代ゲームのパロディーであり、「せつなくて…」は言うまでもなく当て馬にされたアレのパロディーで、実際内容がその作品のイベントのシチュエーションが展開された。
関連イラスト