ゲーム概要
『あいたくて… 〜your smiles in my heart〜』はコナミから発売された恋愛シミュレーションゲーム。
ときメモ全盛期にときメモとラブプラスを足して割ったようなシステムで発売された。
97年11月に先行体験版が発売され、当初はときめきメモリアル2と共にみつめてナイト、青山ラブストーリーズ、と「ポストときメモ」を期待された。
しかし、98年のコナミ再編を期に情勢は一変。青山ラブストーリーズは発売中止の上、かってに桃天使が代替製作。みつめてナイトは発売に漕ぎ着けるも、値崩れを起こす程の大量の在庫を残しただけでなく、その後のシリーズも不振になり早期にシリーズ展開終了。あいたくて…はメインスタッフがときメモ2の開発に引き抜かれ、ディレクター降板、開発スタジオ解散が重なり開発は難航。結局ときメモ2の方が先に発売され、00年春のPS2フィーバーに隠れひっそり発売された。
ゲームシステム
プレイヤーキャラクターを育成し、目当ての女の子と仲良くなる事を目的とした恋愛シミュレーションゲーム。
女の子と恋人同士になった後もゲームが続行し、真EDへのフラグが立つと高校3年間を待たずにEDになる等、当時としてはなかなか斬新なシステムだった。
可愛い双子姉妹など真っ当な攻略キャラクターの他に男の娘や女好きの親友まで落とせる等攻略キャラクターも色々と斬新だった。
ストーリー
高校入学直前に両親が仕事の都合で海外に行くことになった主人公は祖母の家から高校に通うこととなった。
その後、何故か海外から父親が『お前の許嫁を決めたやった』と送りつけてきた写真が色々と問題ありだったため、高校時代に自分で可愛い彼女を作ってその結婚を阻止する事を決意する。
しかし、この設定はその後BAD ED以外では全く出てこない。
登場キャラクター
主人公の父(CV/立木文彦)
直人の兄(CV/山野井仁)
絢の父&修学旅行先の土産物屋の店長(CV/茶風林)
様々な思惑に振り回された不運の傑作
本作はコナミが作ったゲームで一番開発が難航し、(二番目に開発が難航したのはときメモ2)、やはり舵取りのディレクター降板と開発スタジオ・バーチャルキッスの解散、組織改編の際にときメモ優先の姿勢となり、様々な思惑に振り回された。(その「ときメモ優先・偏重」が後年の没落の一因と言えるかも知れない。)
当初はときメモの後継作としての大きな期待があったのに、ときメモ優先と言うよりときメモ贔屓のせいで、セールスポイントを奪われ、挙げ句の果てににはPS2フィーバーの中ひっそり発売され、ゲーム雑誌でも取り上げられない程、散々な扱いを受けた。コナミのゲームで実子なのに継子扱いされたのは、本作が最初だったに違いない
ゲーム自体も開発が難航しただけあって、キャラによっては難易度が高く、遣り応えがあったが、如何せん取っ付き難い絵と、ときメモ2にも言えたが、開発が難航した割に何処かしら手抜きの点、肝心のコナミの売る気があるか疑わしい姿勢(正直、体験版の熱意と本編発売時の熱意の無さと、ときメモ2の当て馬にされた感が否めず、みつめてナイトでもゲームショウで試遊台1台のみの前例あり)、が重なり、一般には余り評価されなかった。
本作の不発(寧ろ「発売前に潰された」と言いたい)は、折角育てた筈だったコナミギャルゲーのノウハウと発展の芽を摘み取る事になり、以後初作ラブプラスとときメモGSを除き、コナミギャルゲーと乙女ゲーは不発が多くなった。
あいたくて…のコンセプトが後のときメモ3やラブプラスシリーズにそれぞれ生かされた事から、仮にときメモ2より先に発売されたとしても、ときメモを超える事は無かったにせよ、ときメモと並ぶ日本のギャルゲー史の歴史に名を残したかも知れなかっただけに、大きな失策と言え、再評価が望まれる。
なお、2があいたくて…を当て馬にしたときメモが、4ではラブプラスの当て馬にされたのは皮肉な巡り合わせと言える。
余談
本編で二番煎隊パクレンジャーなるスーパー戦隊のパロディが登場するが、本作に対するときめきメモリアルへの皮肉に思えてならない。
主人公が一ノ瀬で、ヒロイン姉妹が二宮、ライバルが三好、先輩が篠崎(4)、下級生が楠木(9)、期間限定ヒロインが柳原&早瀬(8)、大野(0)だった事から、めぞん一刻の影響を受けた事は想像に難くなく、ときめきメモリアルがうる星やつらの様なワンダーランドを目指したなら、本作はめぞん一刻の様なリアリティ重視の作風を目指したと言える。
なお、想定の範疇になるが、欠番の5.6.7は初期構想では人物名に入れる予定だったと思われ、特に下級生トリオは当初7.8.9の数字を使うつもりだったのではと思われる。
関連作品
みつめてナイト・本来ならあいたくて…は本作と同期に発売される筈だった。完成度は高かったものの、売った時期が悪かった為、値崩れを起こす程の在庫を残し、ポストときメモ政策は序盤から躓く事となった。
かってに桃天使・お蔵入りした青山ラブストーリーズの代替作品で、ギャグありシリアスありのやるドラに似たゲーム。実は三作目の構想もあったらしいが、ときめきメモリアルのセルフパロディーが原因で闇に葬られた様である。
ときめきメモリアル2・あいたくて…と同時に開発されるも、バーチャルキッス解散、及びコナミ組織再編で優先されヒットしたものの、発売後の性急なシリーズ展開で早死にさせられる。
ときめきメモリアル3・あいたくて…のゲームシステムを流用した事もあり、早期に完成するも、ゲームファンドが原因で開発期間が十分に取れなかった為調整が出来ず、シリーズ初の不発に終わる。
ときめきメモリアル4・忘れた頃に発売されたナンバリングタイトル。あいたくて…がときメモ2の当て馬にされたのに対し、本作は逆にラブプラスの当て馬にされただけで無く、ラブプラスの後に発売されたのが災いし、売り上げは大幅に引き離され、メディアミックス展開も早期終了の憂き目に遭う。
ラブプラス・コナミギャルゲーの完成形で当初こそは良かったが、12年のNEWラブプラスの不発で評価を大幅に下げてしまう。なお、NEWラブプラス中の映画であいたくて…のエンディングテーマが流れるイベントがあった。
めぐり愛して・ときメモ初代最高責任者だった永山義明氏がSMEで製作。あいたくて…と同じポストときメモを模索するも、永山氏の手掛けたゲームの最終作となってしまった。
センチメンタルプレリュード・あの悪名高い多部田俊男が生み出したセンチシリーズ第3作目で、此方も開発が難航し本作を上回る4年も掛かる。そして、内容・評価共に戴けない結果となってしまった。
めぞん一刻 キャラクターの造形に影響を与えた。