あなたに伝説の鐘の音は、届いていますか・・・。
概要
1999年11月25日にコナミより発売されたプレイステーション向けゲームソフト。
「ときめきメモリアル」の続編にあたるシリーズ第二作で、攻略対象となる女の子はシリーズ最多の13人。
キャラクターデザインはアニメーター出身の大塚あきら氏が担当。前作に比べアニメ色の強いビジュアルとなった。
2009年よりゲームアーカイブスで配信が開始した。専用のEVSアペンドディスクも同時に配信開始。(EVSについては後述)
プレイヤーはひびきの高校に入学した主人公として、卒業までの高校生活3年間を送る。
勉学や部活などで魅力的な男性を目指しながら、女の子との仲を深め、卒業式の日に意中の女の子に告白されることがゲームの最終目的である。
登場人物
ヒロイン
陽ノ下光 (CV:野田順子) | 水無月琴子 (CV:小菅真美) |
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寿美幸 (CV:高野直子) | 一文字茜 (CV:野村真弓) |
白雪美帆 (CV:橘ひかり) | 赤井ほむら (CV:くまいもとこ) |
八重花桜梨 (CV:村井かずさ) | 佐倉楓子 (CV:前田千亜紀) |
伊集院メイ (CV:田村ゆかり) | 麻生華澄 (CV:鳥井美沙) |
(以下は隠しキャラ)
男キャラ
※左が穂刈純一郎で右が坂城匠
舞台
ひびきの市
主人公が通うひびきの高校がある街。主人公は小さい頃この街から引っ越し、高校入学を機に戻ってきた。
前作の舞台であったきらめき市の隣街である。そのため、今作には一部きらめき高校の学生も登場する。
伝説の鐘
ひびきの高校の中庭にある時計塔の頂上にある鐘。
「卒業式の日に告白してできたカップルが鐘の祝福を受けると、永遠に幸せになれる」という伝説が伝わっている。
主人公たちが幼い頃に壊れてしまい、今は鳴らないということだが・・・?
新要素
- EVS(Emotional Voice System)
女の子がプレイヤーの名前を呼びかけてくれるというシステム。
当時としては画期的なシステムで、後のシリーズ作品にも引き継がれている。
ただし、名前を呼んでくれる女の子は一度に一人までしか設定できず、専用のデータはメモリーカード容量を大幅に使用する。
また、デフォルトで用意されているのは陽ノ下光と麻生華澄の二人のみである(他のキャラクターはアペンドディスクでの拡張が必要)。
ちなみにこのEVS、NGワードが設定されており卑猥・下品・差別的な単語は入力時点で受け付けない様になっている(抜け穴は一部あったらしいが)。ただし入力で弾かれるだけであり、チートを使ってNG判定を無効にするとEVSデータ作成ができてしまうようだ。
- 幼年期編
ゲーム本編を開始する前に、プロローグとして幼年期(小学2年生時代)を遊ぶことができる。
一部のキャラクターとのエピソードが用意されており、これを発生させるかどうかで本編にも変化が出る。また幼年期での選択が入学直後の初期パラメータにも影響する。
- キャラクター思考ロジック
前作ではコマンドを行うのはプレイヤーのみだったのに対し、今作では他のキャラクターもコマンドを実行する。時には主人公と同じくノイローゼ等にかかることも。
これにより、遊ぶたびにキャラクターのパラメータが変わり、成績が変動したり、進路が変わったりする。
またキャラクターごとに実行するコマンドに偏りがあり、性格や趣味がしっかり反映されている(例えば、赤井ほむらは運動と休息コマンドが多く他のコマンドはしたがらない)。また仲の良いヒロインは主人公と同じコマンドを選ぶ確率が高くなり、その場合はコマンド実行画面で一緒に活動するところが映される。
- ライバルキャラの登場
クラスメイトである坂城匠と穂刈純一郎はコマンドを実行するだけでなく、ヒロインのうちの誰かを攻略しようとする。この二人からのデートの予約が入っていたためにプレイヤーからのデートの誘いが断られることも。
さらに好きな女の子がプレイヤーと同じになった場合、女の子を巡って決闘することになる。
ボリューム
前作「ときめきメモリアル」がCD1枚だったのに対し、今作はCD-ROM5枚組で発売され、PS史上最大のディスク使用数となった。(さらに、アペンドディスクを含めると10枚以上になる)
これにより、ディスクの入れ替え回数が多くなる他、ランダムイベントの発生時期が偏ってしまうため、プレイ毎に違った道を歩めると言う前作の利点が薄くなってしまっている。
また、EVSデータを作成するとメモリーカードの容量を大幅に占有してしまう(15ブロックのうち11ブロック)。
ゲームアーカイブスでダウンロードして遊ぶ場合、メモリーカードの問題は解決されているが、容量が2GBを超えているのでメモリースティックの容量には注意。
不満点
CD-ROM5枚組(+アペンドディスク)を入れ替えながらプレイ
素の状態では陽ノ下光と麻生華澄の二人分しかEVSデータが作れず、他キャラのデータは限定発売のアペンドディスク(全4種)が必要となり、お財布に優しくない商品展開だった。EVSシステムは当時としては初の試み(前年に発売された「バーチャコールS」にも同種のシステムが搭載されているが、メーカーもハードも違う)だったゆえに開発が難航したため、予算的にやむを得なかったのかもしれない。だからこそ移植版や完全版の商品展開が望まれたのだが・・・。
攻略対象が同級生中心に偏重
開発期間がかなりあったのだからもっと抜本的な改善が出来たはずで、既に後発作品がやっていたように下級生や上級生の恋愛対象を広げるべきだった。スタッフはシチュエーションの多様化よりプログラムの簡略化を選択し、それがこのシリーズの未来を決めてしまったと言える。
・・・現実で考えれば高校生の恋人が同級生に偏るのはおかしくなく、また高校生活3年間というほぼ誰もが経験する時間をまるごと追体験できる点もときメモの魅力なので、同級生偏重はある意味リアリティや親しみやすさを重視した結果ともいえる。また、隠しヒロイン3人は全員が学校外の人物で、うち2人が主人公とは年齢も違うため、非同級生ヒロインはこちらに回すという方針だったのだろう。
あまりに早過ぎたシリーズ展開
本作は97年春に発表されるも、組織再編や担当プロダクションのバーチャルキッス解散など、コナミの内部事情で開発は難航、結局発売は2年半後の99年晩秋となった。
そして00年夏から早くも外伝のSubstory1が発売されたが、あまりのボリューム不足からメモラーの失笑を買う。さらに01年春のSubstory2と2ぱずるだまの同月発売となり、性急なシリーズ展開に不安を抱いたまま同年夏のSubstory3で終止符を打った。
その後02年にPS2でミュージッククリップとゲームを合わせた「サーカスで逢いましょう」を出したため、PS2移植版または完全版の発売に望みを託したメモラーもいたが、メーカーはグッズの発売を重視したため結局は前述したゲームアーカイブス配信(2009年)のみに留まった。またグッズについても展開を急ぎすぎたためかデザイン担当が過労気味になってしまい、絵が崩壊していたりと質の良くないものが多かったようだ。結果、メモラーの不満と不信感が募るばかりで終わってしまった。
ときメモ2が性急なシリーズ展開で早死にした理由は、00年末に後のときメモ3やGS1の製作発表があったからだと言われている。
前作ほどではないにせよもっとゆっくりシリーズ展開するか、あるいは適切な時期に移植版などを発売していれば、結果としてときメモシリーズが衰退していくにしても『3』以降の悲惨な末路は無かったかもしれない。