八重花桜梨
やえかおり
メインヒロイン格の陽ノ下光・麻生華澄と並んでビッグスリー的扱いをされる事が多かったが、事実上『2』では光と双璧を成すと言っていい人気の高いキャラである。
別冊Hibikino Watcher 2000Vol.3号における岩田靖弘氏(シナリオ・音響担当)のインタビューによれば、彼女がこれほど人気が出たのは全くの予想外だったという。
公式の人物紹介では、過去の出来事から人間不信に陥り他人を避けているが、元々は明るいスポーツ少女…となっている。
しかし、先述の岩田氏も認めている通り、彼女からは少しもスポーツ少女の匂いがしない。
氏によれば「仮に清川さんが過去に同じ目にあったとしても絶対にこうはならないが、花桜梨には元々そうなる下地のある文学少女系体育会少女であった」という裏設定が付与されていたとの事である。
そのためか彼女は学力も非常に高く、期末試験では常に好成績を取る。「好感度が高いと主人公と同じ行動を取る」という仕様の影響で3年目は成績が落ちやすいのだが、それでも絶対に赤点を取ることがない(仕様上取れない)。
何の予備知識も無く偶然彼女を登場させてしまい、最初の試験で彼女の成績を見たプレイヤーが、彼女の事を運動系キャラだと見抜くのは難しいと思われる。
その後彼女が運動能力も極めて高い事が明らかになっていくため、こんなとこに隠れラスボスがいたかと身構えたプレイヤーも多かった(隠れラスボス的ポジションは後に『4』で龍光寺カイ〔特にお嬢様ルート〕が実現している)。
実際には彼女が参照しているパラメータは「運動」だけであり、『2』の全キャラ中で参照パラが一つだけなのは彼女だけという、紛うこと無き運動系キャラなのである。
彼女の攻略を困難たらしめているのは、主人公をめげさせる数々のトラップである。
最初のデートはすっぽかされる、休日のデートに高校の制服を着て来る、いきなり別れを告げられる、いくらデートに誘っても他のキャラに比べ外見上は少しも好感度が上がっているように見えない、一緒に下校出来ても彼女に限っては伝統の「◯◯さんと楽しく下校した」から「楽しく」が抜け落ちている、だからと言って構わないでいると退学してしまう(エンディングに至っても行方知れずのまま、しかも開発当初には自殺案まであったという)等など。
3年目の4月8日に起こるイベントにより彼女の過去が明らかになり、この日を境に完全に心を開いてくれるようになる。
これまでの苦労が報われる瞬間であり、これにより彼女に転んだプレイヤーは数多い。
さらにこれ以降はBGMも明るい曲調に変化する。メロディーラインは全く同じながら雰囲気が180°変化する演出は必見(必聴?)。
ちなみに彼女を作中で登場させるかどうかについては、条件を満たしていてもプレーヤーの選択次第なので、それが分かっていれば他のキャラを攻略する場合では障壁となる事は無い、という点では有難いキャラである。
もっとも、「卒業後の進路が心に刺さりすぎて、たとえ本命プレイでなくても放っておけない」というプレーヤーも少なくない模様。
全くの余談だが、心を開いた後の彼女は友好度/ときめき度の回復力が尋常ではなく、普通状態から2回デートしただけでときめき状態になってしまうほど。それでいて傷心度の上がり方や爆弾による影響は他ヒロインと大差ないため、もはや引き離すほうが難しいレベル。
開く前は逆に好感度を上げにくいうえ初期値も低く、上述したイベントの存在もあり攻略難易度の高いヒロインとされる。
バレーボールを志すだけあって『2』に登場するヒロインの中では最も長身である。
『2』の発売時点ではシリーズ全体でも伊集院レイに次いで2番目の身長であったが、その後171cmの藤堂竜子(GS2)、170cmの郡山知姫(4)・花椿カレン(GS3)に抜かれている。同身長に有沢志穂(GS1)・七河瑠依(4)がいる(『4』『GS3』発売時点)。
ただし心を開いてくれるまでは、長身ゆえに目立つ事を避けるためか軽い猫背で、自分を守るような立ちポーズをとっている場合が多い。これらは心を開くことで解消される。
表情も常に無表情だったのが大分豊かになるのだが、前述のように明るいスポーツ少女という感じではなく物静かなままである。元々こういう性格なのだろう。
髪はやや紫がかったピンク、肩の辺りまでの長さの所謂ウルフカットで無造作かつワイルドな印象を受ける。
本人にこだわりがあるのかどうかは分からないが、この辺はスポーツ少女らしさを感じさせる。
長身のスレンダー系のスタイルであるが、3年時のバストは87と胸もそれなりにある。
海水浴・プールのデートでは2年時までは学校指定のスクール水着であるが、3年時の場合はやや薄緑のかかった白いワンピースの水着を着てくることになり、彼女のスタイルの良さがよく分かる。
人気キャラである為、グッズ展開でも水着になる回数は光に次いで多い。
人間不信に陥っているので他人との交流はほとんど無い。システム的なヒロイン間相性も大半が最悪という状態だが、『2』のヒロインで彼女だけは進級するごとに相性が良くなっていく。
どのような経緯で仲良くなったのかは謎だが佐倉楓子とは最初から友達の関係にあり、匠とのダブルデートでは必ずペアでやってくる。他には赤井ほむらとも相性が良い。(ドラマCDでは名前が読めないというマジボケをかましていたが)
ちなみに花桜梨を攻略する場合、パラメーターの関係(運動が上昇=根性も上昇)で楓子を登場させないのは不可能に近く、またデートを断られやすい(=ストレスが溜まる)のでほむらも登場しやすい。
なぜ主人公の呼び掛けに関心を示したのかは不明であるが、見るからに朴念仁な主人公を見て少なくとも裏表の無い人畜無害な人間であるらしいと感じ取ったのかも知れない。
本来は孤独を愛するようなタイプでは無く、心を許せる相手を欲していたのであろうと思われる。
一方で、メインヒロインである光とは相性が良くないと描写されることが多い。
これは彼女が犬嫌いであることと、ゲーム中でも仲が悪くなることが原因だろう。(『2』には「お互いが主人公に対して評価が高い場合は相性は悪くなっていく」仕様があり、光は主人公に対する評価がかなり上がりやすい)
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