概要
ゲーム「ゆめりあ」は、2003年にナムコ(現:バンダイナムコゲームス)から発売されたPS2用3D恋愛アドベンチャーゲームである。
ゲームの企画段階のタイトルは「ねこみみ袋」といい、ねねこに焦点を当てた命名となっている(みづき役の浅野は、このタイトルから『新耳袋』のようなホラーだと思っていたという)。
正式タイトルの「ゆめりあ」は「夢エリア」、「夢」+「リアル」から来ている造語である。
本作品は所謂恋愛アドベンチャーゲームであるが、異世界で少女達と共に敵と戦うというSF的な要素も加わっている。
しかし、それ以上に本作品を特徴づけているのは全てのキャラクターが3Dアニメーションで描かれるという点である。
本作品の脚本を担当したアニメ脚本家の黒田洋介(スタジオオルフェ)によれば、本作品は美少女ゲームとアニメの融合を実現したものとされている。
それは従来の同ジャンルゲームが2Dグラフィックスによるキャラクター画像を状況に応じて切り替えることで各種表現を行っていたことに対し、3Dキャラクターに連続的でより自然な動作をさせることで各種表現を行うという形で実現するものであった。
そして、この3Dキャラクターによるアニメーションを用いるという点で本作品は新しい方向性を示した画期的なゲームであった。
この手法は後の『THEIDOLM@STER』にも受け継がれている。
なお、本作品のキャラクターのモデリング担当は松尾行恵(リッジレーサーVに登場の深水藍のモデリングも担当している)。
さらに本作品には前述の黒田の起用や、各キャラクターのフルボイス化、テレビアニメ風のエピソード区切りなどにより、アニメ的な要素がより一層盛り込まれている。
その他、所謂「お遊び要素」的なものとしてメモリーカードのセーブデータのアイコンが最後にエンディングを迎えたヒロインの画像になったり、起動時の「ナムコ!」という音声がクリア状況によって変わるなどといった細部に至るまでの作りこみも本作の特徴の一つである。
なお、アニメ版がBS-i(現BS-TBS)で2004年1月8日から同年3月25日まで放送(全12回)。
港の見える丘公園が背景となっているシーンがある(第1話の最初のシーン)。
コミックは2003年に桂遊生丸により「月刊コミック電撃大王」で連載。
単行本発売後に続編が短期集中連載され、作者が同誌で発表した他のゲームの読みきりコミックと共に2004年6月27日に「ゆめりあ1/2(にぶんのいち)ゆきまるパック」として発売。
内容は主に現実世界での日常生活を描いたものであった。
その他の出版物として、資料・攻略本「ゆめりあ コンプリートガイド プラス ビジュアルファンブック」(ソフトバンクパブリッシング刊)やコミックアンソロジーがある。
また、携帯電話コンテンツとして待ち受け画像や着信メロディに加え、デフォルメ3Dキャラクターを視点を変えて見ることのできるアプリ「ゆめりあちび」が提供されている(表示される3Dキャラクターはゲーム版のメモリーカード管理画面などで表示されるものとほぼ同じ)。
ストーリー
主人公・三栗智和は16歳の誕生日にモエラと呼ばれる異世界の夢にて1人の少女が敵と戦っている所を目撃する。
彼は夢の世界では不思議な力を持っており、少女が戦っている敵を撃退させる力があった。
智和が目を覚ますと夢の世界で出会った少女・モネが現実世界にいた。
突然現れた謎の少女・モネ。同居人で年上の従姉妹の七瀬。押しかけて来たクラスメートの[吾妻みづき]]らと共に夢世界を侵略してくる敵と戦うことになる。
また、その戦いや彼女らと過ごす生活の中で主人公は少女達との関係を深めていく。
ゲームシステム
本作は全体が11話に分かれており、シリーズ物のテレビアニメのような構成となっている。
- 第1 - 3話
導入部。ここでの選択肢はヒロインの好感度に影響しない。
一度クリアするとこの部分をスキップして4話からゲームを始めることができるようになる。
- 第4 - 8話
中盤。ここでの選択によってヒロインの好感度が変化し、9話以降のルートが決定される。
- 第9 - 11話
クライマックス。各ヒロインごとのルートが用意されている。
ゲームの舞台は現実世界と夢世界(モエラ)に分かれており、現実世界で眠っている間は夢世界が舞台となる。
夢世界では、ヒロインたちの服装がレオタードのような体に密着したものになる。
また、特定のシーンでは視点を変えながらヒロインの体を眺め回すことができる。
プレイヤーの行動という面からは現実世界ではアドベンチャーパートのみであるが、夢世界では敵(フェイドゥム)と遭遇するとバトルパートに移行する。
バトルパートはターン制で、ターンごとにヒロインのうち2名を選び、主人公を加えた3名と敵とで戦闘を行う。
ヒロインの好感度が上がるとヒロインの体の特定の個所に触れてパワーを与える「パワーチャージ」が行えるようになる。
敵のHPが0になったらヒロインのうち1名を選んで必殺技を出させフィニッシュ。
なお、夢世界での敵であるフェイドゥムは立錐や球などの単純な立体が空中に浮遊する姿で表現されている。
また、バトルパートでは主人公も3Dポリゴンで描画されるがそのモデリングはヒロインと比べて明らかに簡素でのっぺりしたものとなっている。
登場人物
主人公であるごく平凡な高校生。カレーとハンバーグが好物で血液型はO型。
幼い頃に両親が他界して親戚の「千条家」で育てられる。
本編は智和が16歳の誕生日を迎えるところから始まるが、その日付についての描写はない。
モネたちとの邂逅と夢世界での戦闘に巻き込まれたことから彼の運命が動き始める。
アニメ版ではエロい妄想をしており成績が最悪(正解しても0点にされている)で、周りの人に弄ばれているダメ男だが根は優しい。
智和が夢世界で出会った謎の少女。誕生日は7月7日、血液型はO型。
はっきりとした感情と素直な性格の持ち主で、自らにパワーを与えてくれた智和を「運命の人」と思い込み強く慕うようになる。
長い間異世界で生きていたらしく難しい言葉は話せず、身振りと「もね」という単語だけで感情を表現する(そのためモネと呼ばれることになった)。
現実世界では智和の家に同居するようになりテレビ鑑賞の趣味を持った。
アニメ第4話では『ドルアーガの塔』のヒロイン・カイのコスプレをした。
また、喫茶ア・ソビーナの日常の第5話にてゲスト出演した。
智和のクラスメイト。誕生日は4月15日、血液型はA型、16歳。
両親が共働きのため勉強も運動も家事全般もソツなくこなす才色兼備の優等生で隠れファンも多い。
やや引っ込み思案で目立つ存在ではない。映画鑑賞と小物集めを好む。智和のことを気にしているそぶりを見せる。
- 千条七瀬(CV:井上喜久子)
智和が居候している千条家の長女。誕生日は2月23日、血液型はO型。22歳。
両親と妹が外国へ行っているため、現在は智和と2人暮らしが続いている大学院生。
家事全般が得意で、特に掃除は"趣味"とも言えるほど好き。
おっとりとしていて包容力があるが、かなりの天然ボケ。
- 千条九葉(CV:中山さら)
智和の従妹&七瀬の妹であるおませな中学生。誕生日は12月24日、血液型はB型。14歳。
序盤は外国に住んでいるが、千条夫婦が仕事の都合で外国に行くまでは智和と一緒に暮らしていた。そのこともあり智和に対しては親近感を抱いており少々生意気。
数年間外国で過ごしていたが帰国、智和に積極的にアプローチする。
智和を「智兄ぃ(ともにい)」、七瀬を「七姉ぇ(ななねえ)」と呼ぶ。
「謎」を追及しているミステリアスな少女。誕生日は6月4日、血液型はAB型。
語尾は「~のだ」。猫耳風の大きな頭巾をかぶっており、感情に合わせて微妙に動く。
街中でたびたび会う事になる智和を「ダーリン」と呼ぶ。
頭巾はゲーム内では一度も外したことはないが、アニメ版のエンディングで頭巾が干してあるシーンがある。
アニメ第4話では『ドルアーガの塔』の主人公・ギルのコスプレをし、商店街からは大人気で色々なものをもらっている。
- シルク
夢世界でのみ登場する謎の女性。素顔は不明。
冷静沈着で夢世界での智和たちの指南役となる。
ねねこと瓜二つの謎の少女。瞳の色がねねこの紫に対し緑色である。
みづきの友人。みづきとは対照的に活発なタイプ。
なお、ゲーム版では苗字の設定がなく声のみの登場である。
アニメオリジナルキャラクター。ねねこが連れている黒い子猫。
- 石狩先生(CV:稲田徹)
智和たちの担任。やたらとテンションが高く、何かにつけて智和にからむ。
なお、ゲーム版では苗字の設定がなく、声のみの登場である。
アニメではハイテンション以外にロリ好きで智和いじりを趣味にしている。
ドッジボールで爆弾を使うもスイッチを押して10秒後に爆発するため周りの全員を巻き込んだ。
なお、ゲーム版ではメグミ・石狩先生などサブキャラにはグラフィックがない。
主題歌
ゲーム版
オープニングテーマ
「君がそばにいるから」
作詞・作曲:大津美紀 / 編曲:有澤孝紀 / 歌:有島モユ
オープニングテーマ
「永い夢」
作詞・作曲・編曲:大津美紀 / 歌:有島モユ
アニメ版
オープニングテーマ
「24時間あいしてる」
作詞 - 大森祥子 / 作曲・編曲 - SONIC DOVE / 歌 - 有島モユ・仲西環
エンディングテーマ
「precious treasure」
作詞 - 大森祥子 / 作曲・編曲 - SONIC DOVE / 歌 - 浅野真澄
アニメ各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | バースデイ・16 |
第2話 | 智和0点 |
第3話 | ブルマ―V(ファイブ) |
第4話 | スク水大作戦 |
第5話 | 夢ビーチでウォッチ |
第6話 | 浴衣の達人 |
第7話 | 逆輪廻の女 |
第8話 | 僕たちの理 |
第9話 | ウサギマン |
第10話 | カツ丼の味 |
第11話 | 運命変革 |
第12話 | 智和100点 |
ゆめりあベンチ
当作品は上記の通りPS2用ゲームなのだが、それとは別にWindows用のベンチマークソフト(※パソコンの性能を計測し数値化するソフト)が配布されている。
内容としてはゲーム中での水着お披露目シーンを利用したものであり、一種のファンアイテムである……はずだった。
実はこのベンチマークソフト、CPUの性能に左右されず純粋にグラフィックボードの性能を測ることが出来る非常に優秀なツールであり、自作PC界隈等では結構有名なのである。
下手をすれば、いや下手をしなくとも元のゲームは一切やったことはないが「ゆめりあベンチ」は何度も使用している、というようなユーザーは多いのではないかと思われる。
……開発陣も、まさかこのような形で何年も名が残ることになろうとは、夢にも思わなかったに違いない。
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デ・ジ・キャラットにょ:ナムコがスポンサーに関わっていないが、当作品のCMを流していた。
プロジェクトクロスゾーン:2012年10月11日発売の3DS用ソフトにねねことネイトが参戦キャラクターとして、フェイドゥムが敵キャラクターとして登場した。