This time it's war.
(今度は戦争だ)
概要
原題は『Aliens』。題名通り、無数のエイリアンが襲い掛かる。SFホラー映画であった前作に対し、今作はエイリアンと地球人との攻防をメインとした。植民地海兵隊が保有する数々のSF兵器や作業用パワーローダーとエイリアン・クイーンによる決戦も見どころ。監督・脚本はジェームズ・キャメロン。配給は20世紀フォックス。
ストーリー
エイリアンを放逐し、コールドスリープ状態で宇宙空間を彷徨っていたリプリーは漂流から57年後に地球圏で救助された。彼女はエイリアンの危険性を企業に訴えたが誰にも信じられないばかりか、航海士の資格を剥奪された上に狂人のレッテルを張られてしまう。しかもリプリーの同僚が無数のエイリアンの卵を発見していた惑星LV-426は、現在は植民地として開拓されている事、更に住民157人が消息を絶った事を知る。リプリーは己のトラウマと向き合うため、住民の探索・救助を任された植民地海兵隊のアドバイザーとして、再び惑星LV-426に赴く。
登場人物
※日本語吹き替えの声優は前者はVHS・DVD版、後者はBD版。
演:シガニー・ウィーバー/吹:幸田直子
ノストロモ号の惨劇から唯一生き残った人物。今回は前作でエイリアンが発見された惑星LV-426へと赴くことになる。女だてらに相変わらずの男前で、エイリアンに包囲され壊滅状態の海兵隊員を救うべくゴーマンの制止を振り切って兵員輸送車を運転し、襲い来るエイリアンを轢殺。更にはパルスライフルを扱うのは初めてであろうにも関わらず、見事使いこなしエイリアンを迎え撃つ。終いにはパワーローダーを身に纏いクイーンエイリアンと壮絶な殴り合いを繰り広げるなど、戦うヒロインっぷりを見せてくれる。コールドスリープ中に愛娘のアマンダがこの世を去ったせいか、今作では生存者である少女・ニュートに優しく接するなど、母性も見せた。戦うママは、かっこいい。
LV-426開拓者団最後の生き残りの少女。本名はレベッカ・ジョーダンであり、ニュートとはイモリを意味するあだ名。本名のレベッカは兄だけしか使わない。エイリアンが蠢く居住区でたった一人孤独に生き延びていたところをリプリー達と出会い、保護された。当初は家族を失った影響で心を閉ざしていたが、徐々に心を開いていく。LV-426から生還した数少ない生存者の一人。
ドウェイン・ヒックス
植民地海兵隊に所属する伍長。小隊では第二分隊の分隊長だったが、エイリアンとの攻防で部隊が壊滅状態に陥った後に隊長を引き継ぐ事になる。ムラっ気があるが強いリーダーシップを持ち、仲間からの信頼も厚い。海兵達に白い眼で見られていたリプリーとは戦いの中で強い絆を築いていき、パルスライフルの撃ち方を教えたり、最終的にはファーストネームで互いを呼び合う仲になる。エレベーターに乗り込む際にエイリアンの返り血を胸部に浴びて負傷するも、生還を果たす。M37ショットガンを愛用しているが、これは演者のマイケル・ビーンが前年に出演していた『ターミネーター』のメタネタでもある。ボディアーマーには赤いハートマークをペイントしている。
ビショップ
医療従事用のアンドロイド。兵員輸送車の運転も担当し、降下艇の操縦資格も所持。更にはナイフの曲芸を見せるなどマルチな才能を持つ。リプリーは前作でアンドロイドのアッシュに殺されかけるわ、嫌味を言われるわとヒドい目に遭わされており、その影響もあり彼に対して終盤まで嫌悪感をあらわにしていた。人間ではないが恐怖心はあるとのこと。たった一人でエイリアン蠢く屋外で降下艇を呼び戻す、エアロックから吸い出されそうになったニュートを救出するなど、アンドロイドとしての前作での汚名を払拭するかのごとく活躍を見せた。これにより最終的にリプリーも彼を信頼するようになる。降下艇に忍び込んでいたクイーンエイリアンによって半身を裂かれるが、かろうじて生存。
ウィリアム・ハドソン
海兵隊に所属する上等兵。部隊のムードメーカーでお調子者な性格。危機に陥った途端に気弱で悲観的になってしまい、そのたびにリプリーや仲間達からは喝を入れられている。エイリアンの大群が押し寄せてきた時にはパルスライフル片手に奮闘するが、最終的に床下から現れたエイリアンに襲われ戦死した。ボディアーマーには髑髏の絵をペイントしている。この作品の直後の時系列を舞台にしたゲーム『ALIENS COLONIAL MARINES』(日本未発売)の劇中で、エイリアンに連れさらわれた後、エイリアンの巣にて繭にされた上に既にチェストバスターが飛び出した後の彼の遺体を発見する場面がある。
ジェニット・バスクエス
海兵隊に所属する上等兵。勝ち気で肝が据わっており、リプリーにも負けず劣らずの漢女。仲間思いで頼りになる性格。同じスマートガンの射手であるドレイクとは気が合うようで仲が良いが、新任の上官であるゴーマンのことは快く思っていない。エイリアンの大群相手に大活躍し、仲間が撤退する時間稼ぎをするべく通風孔内で奮戦するも酸の返り血を足に受け負傷。最期は駆けつけたゴーマンと共に自爆し果てた。ボディアーマーに書かれた「El Riesgo Siempre Vive」(リスクのない人生などない)のスローガンは演者のジェニットによる直筆である。吹替版では「バスケス」と呼ばれており、TV放映時の人物・役者紹介テロップでもこの表記を用いられることが多い。
スコット・ゴーマン
海兵隊に所属する中尉。決して悪い奴ではないのだが、指揮官として部隊に着任してまだ日が浅い事もあり隊内の空気を把握しきれておらず、しかも将校としての実戦経験が全くなく、降下艇を使っての降下作戦はたったの1回(一応本人は「シミュレーションなら38回経験した」と言っている)しか経験していないという新米士官であり、前線指揮官としてはかなり心許ない。
LV426降下後も決定的な安全確認すらできていない状態で植民地施設に乗り込んだり、緊張状態の中でうっかり大きな物音を立ててしまうなどの注意力に欠けた言動が見受けられ、さらには原子炉の近くでの戦闘を行う事の危険性についてリプリーやバーグから指摘されるまで気が付かないなど肝心の戦術眼についても素人同然という有様で、元より部下の海兵隊員達からはナメられてしまい、リプリーからは不安視されていたが、原子炉での遭遇戦では判断ミスや想定外の事態を前に狼狽えるなどして指揮の混乱を招いた結果、部隊を壊滅状態に追い込んだ上に撤退の際に頭をぶつけて気絶してしまい、情けなさを存分に見せつけてしまった。
意識回復後は、自分の采配ミスで多くの部下を死なせた事に心疾しさを感じたのかリプリー達から指揮権を委ねられたヒックスに対して口出しする事なく、彼らの作戦に従っている。最期は途中で負傷し動けなくなったバスクエスを助けに引き返すという侠気ある行動をみせるも、手持ちの拳銃の弾が尽きたため、爆弾を使って自爆し、バスクエスと運命を共にした。
カーター・J・バーク
ウェイランド・ユタニ社の社員。救助されたリプリーが意識を取り戻した後に初めて出会った人物。リプリーの監視役として海兵隊の住民救助に同行する。
実は会社からエイリアンを生け捕りにして持ち帰るための指示を受けており、LV-426に調査団を派遣し結果として彼らを全滅に追い込んだ張本人であった。この事を知ったリプリーとニュートに口封じも兼ねてエイリアンを寄生させサンプルとして持ち帰ろうと画策するも、エイリアンの大群が押し寄せてきた際にリプリー達を見殺しにして一人逃げようとしたところで逃げた先に待ち構えていたエイリアンに襲われる。
その後、未公開シーンではエイリアンの巣に連れ去られて繭にされた状態でニュート救出に赴いていたリプリーに助けを求めるも、彼女からは自決用のグレネードをひとつ餞別代わりに押し付けられた上で置いて行かれるという因果応報な末路を辿っている(ノベライズ版に至っては、安全ピンが抜かれた状態のグレネードを押し付けられてしまった)。
アル・エイポーン
海兵隊に所属している軍曹。前線部隊の部隊長であると同時に第一分隊の分隊長を担当している。部隊員には鬼軍曹として恐れられており、ハドソンによく檄を飛ばしていた。反面、ノベライズ版ではエイリアンとの戦闘中に弾薬が無くてパニックに陥っていたハドソンに自分のパルスライフルの弾倉を渡すなど、信頼しているそぶりも見せていた。原子炉でのエイリアンとの遭遇戦で行方不明となるも生存していたが、エイリアンの繭にされたと判断したリプリーは救助しなかった。日本語吹替版では「アポーン」及び「エイポン」と呼ばれている。
マーク・ドレイク
海兵隊に所属する二等兵で機関銃士。バスクエスとは仲が良く、お互いに軽口を叩き合う仲。問題児のようで、ゴーマンの指示も普通に無視していた。原子炉から撤退する際にエイリアンの酸の血液による返り血を顔に浴びて死亡した。
リッコ・フロスト
海兵隊に所属する二等兵。装甲車の運転も行える。原子炉での遭遇戦で、エイポーンにメインアームである火炎放射器を奪われた上、哀れにもディートリックが放った火炎放射器の火炎に巻き込まれて戦死。更にこの時全員分のパルスライフルの弾倉を預かっていたため、爆発が起きクロウとウィズボウスキーが巻き込まれてしまう。装甲には白いハートマークをペイントしている。
シンシア・ディートリック
海兵隊に所属する伍長で衛生兵。最初にエイリアンの犠牲となった。エイリアンの繭として生きたまま寄生されたらしく、そう判断したリプリーは彼女を救助しなかった。戦闘で火炎放射器を暴発させてしまい、このせいでフロストとクロウが戦死している。
ティム・クロウ
演:ティップ・ティッピング/吹:荒川太郎/小野大輔
海兵隊所属の二等兵。出番がほとんどなく影が薄い。火だるまになったフロストが所持していた弾倉の爆発に巻き込まれて死亡。ノベライズではフロストが弾倉を預かる描写がないため爆死せず、エイリアンに攫われてエイポーン、ディートリック共々繭にされている。
トレヴァー・ウィズボウスキー
海兵隊所属の二等兵。出番がなく、台詞もない(但し吹替版では死に際の台詞有り)。フロストの所持していた弾倉が爆発した際にクロウと共に巻き込まれ負傷、直後にエイリアンに襲われ死亡した。ノベライズ版では出番が増えており、リプリーの護衛をヒックスから任されるなどした(台詞も僅かだがある)。そのため彼の死をリプリーが悲しむ描写がある。映画ではヒックスはフロストとの絡みが多かったが、ノベライズでは彼との絡みが多い。装甲車を運転するのもフロストではなく彼である。
コレット・フェッロ
海兵隊に所属している伍長で、降下艇の操縦士。ヒックスから撤収命令を受け、リプリー達を回収するべく降下艇を操縦するが、操縦中に既に機内に潜んでいたエイリアンに背後から襲われ、拳銃で抵抗しようとするものの殺害される。ホバリングではなく着陸待機を行っていたことが仇となった。
ダニエル・スパンクマイヤー
演:ダニエル・カッシュ/吹:稲葉実・上田燿司
降下艇の副操縦士兼兵站担当。フェイスハガーを解剖していたビショップに必要な機材を渡している。核融合炉での戦闘の後、フェッロと共に揚陸艇で救助に向かう際、機内にエイリアンの粘液が付着している事に気づく。直接的な描写は無いが、その後カーゴルームに潜んでいたエイリアンに殺されたようだ。
ヴァン・リューエン
星間通商委員会委員長。ノストロモ号爆破の件でリプリーを査問会にかける。リプリーがノストロモ号で起きた悲劇を証言するも、エイリアンの存在を頑なに否定し、LV-426が入植地になっている事を告げる。
救助隊隊長
演:スチュアート・ミリガン/吹:稲葉実・小野大輔
物語冒頭でリプリーの乗った脱出艇と休眠カプセルを発見した救援隊の男性。
完全版のみの登場人物
ラス・ジョーダン
演:ジェイ・ベネディクト/吹:河野智之・上田燿司
ニュートの父親。家族で入植地の遠くにある異星人の遺棄船を探索。しかし、探索中にフェイスハガーに寄生され、ニュート以外の住民が全滅する引き金を作ってしまった。
アン・ジョーダン
ニュートの母親。夫と共に遺棄船を捜索し、夫がフェイスハガーに寄生されたため救援を求める。その後は登場しなかったことや、ニュートの発言からエイリアンに殺害されてしまったようだ。
ティモシー・ジョーダン
ニュートの兄。車の中でニュートと共に留守番をし、遺棄船の探索に向かったまま戻ってこない両親の身を案じるニュートに「パパが付いてるから大丈夫だよ」と励ましていた。その後は登場しなかったことや、ニュートの発言から母親共々エイリアンに殺害されたと思われる。
アル・シンプソン
演:マック・マクドナルド/吹:稲葉実・酒井敬幸
植民地のウェイランド・ユタニ社の駐在員の一人。
ライデッカー
演:ウィリアム・アームストロング/吹:星野充昭・小野大輔
植民地のウェイランド・ユタニ社の駐在員の一人。アルの部下。
エイリアン
エイリアン・ウォーリアー
今作で大量に登場し、リプリー達を追い詰めるエイリアンの種類名で、前作に登場したビッグチャップとは細部のデザインが異なっている。寄生対象となる獲物の捕獲と拘束、産卵中のクイーンの護衛および居住場所に近づく外敵の排除などを行う。前作は1体のみだが、常にどこに潜んでいるわからず、まともな対抗策もない圧倒的恐怖の権化であったのに対し、今作では今作は銃火器を装備した軍隊が相手という事もあり、普通に倒されている。だが、その分、エイリアン側も今作では大量に登場し、数の暴力で襲い掛かる。また、人間側も、仲間内での不手際や裏切りなどが原因で様々な面で不利な状況に立たされる為、恐ろしい存在である事には変わりはない。
エイリアン・クイーン
今作で登場するエイリアンの産みの親。エイリアン社会のトップに君臨する種類である。通常のエイリアンを遥かに上回る巨体を誇り、腕は4本もある。身体は天井や柱に固定され、下腹部に繋がる巨大な卵嚢から産卵管を伸ばしてひたすらエッグチェンバーを産み落とす産卵行動を続けている。基本的に移動は不可能であるが、緊急時には卵嚢を切り離すことで移動可能となる。自分が産み落としたエイリアンに対する愛情は持ち合わせている模様。
登場兵器
M41Aパルスライフル
M56スマートガン
動体探知機
動体の存在を感知し、距離と方位を画面表示する小型電子装置。優れものではあるものの、二次元面(水平方向)での探知表示しか行えず、上下方向の位置把握が難しいという欠点がある。また”動体”探知機である故に相手が動かないと反応しない。
スラコ号
植民地海兵隊所属のコネストーガ級強襲揚陸艦。惑星降下作戦のための降下艇を搭載しており、調査命令を受けLV-426へ急行した。設定上では粒子ビーム砲やASAT(対衛星ミサイル)、レールガン等の武装を装備。また、艦内倉庫の作業用備品としてパワーローダーを搭載している。終盤ではクイーンとの決戦の場となった。
降下艇
植民地海兵隊が運用するVTOL(垂直離着陸)機能を有した降下艇。ドロップシップとも呼ばれる。形式番号はUD-4Lで、ペットネームはシャイアン(Cheyenne)。単機での大気圏突入・離脱能力を持ち、スラコ号の下部ハッチから発進する。機体下部にはカーゴスペースや補充用の武器庫があり、武装した海兵隊員を乗せた兵員輸送車を格納して出撃する事が可能。
劇中では使用されなかったが、機首のガトリング砲や背部の展開式ポッドに搭載されたミサイルやロケット弾など様々な武装を搭載しており、隊員を降ろした後で支援に回る事も想定されているようだ。劇中では2機の降下艇が確認されており、序盤でフェッロが操縦していた1号機には"Bug Stomper"、ビショップがスラコ号から遠隔操縦で呼び寄せた2号機には"Smart Ass"のそれぞれ鳥を擬人化したエンブレムがスローガンと共に描かれている。
パワーローダー
今作の花形兵器。パワードスーツに分類される。本来は重量物を運搬するための作業用機械であり、言うなれば未来のフォークリフトといった趣きで、ロールバーで保護された剥き出しのコックピットに直立姿勢で搭乗して操作する。鈍重ながらも二足歩行で移動でき、2本のマニピュレータを備え、コンテナや降下艇に積むミサイルなどの重量のある物を掴んだまま移動することができる。操作方法は非常に簡単で、腕はジョイスティックで操作し、脚は搭乗者の足の動きに追従するようになっている。各種オプションはボタンを押して使う。二足歩行式である事から移動速度はお世辞にもあまり速くないが、その反面各部関節の自由度は広い。狭い環境での重量物の上げ下ろしには抜群の活躍をする。
また、馬力も高く、終盤でのクイーンとの殴り合いでもそのパワーを大いに活かしている。過酷な作業環境に耐えうるためか頑丈で、戦闘でボコボコにされても問題なく稼働する。元来は兵器ではないため、武器になるようなものはマニピュレーターとコックピットの前面に備え付けられているガスバーナーのみである。航海士の資格を剥奪されたリプリーは物資運搬の業務で生計を立てるためにローダーの2級免許を取得しており、出撃前の搬入作業を手伝うシーンが見られる。また、ゲーム等では装甲や火器を備え戦闘用に改造されたパワーローダーも登場している。
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余談ではあるが、近未来の世界観であるものの(撮影当時の時代情勢もあり、現在での視点では)登場人物の喫煙率がかなり高い。