濃姫
のうひめ
概要
織田信長の正室。美濃(現在の岐阜県)の戦国大名・斎藤道三の娘。於濃の方とも。
濃姫や於濃の方は、江戸時代中期以降の呼び方で、濃州から嫁いできた女性という意味。
当時は、信長の鷺山殿や北の方(正室の意)と呼ばれいた。
諱(いみな)は不明で、帰蝶(きちょう)とする史料があるが、定かでない。
信長の正室という立場でありながら、斎藤家から嫁いだこと以外、彼女の経歴その他は資料の乏しさから殆どが不明。
容姿も人物も、幼少期も結婚後も、いつどこでどのような最期を遂げたかもわかっていない。
父親に斎藤道三を持ち、母親は明智光継の娘・小見の方で、弟に斎藤利治がいる。明智光秀とは従兄妹に当たる。
天文18年(1549年)に政略結婚という形で、織田信長に嫁いでいる(一説によればこれ以前に美濃守護・土岐頼純に嫁いで死別したとも)。
彼女に子は生まれなかったらしく、信長と側室の間にできた子供である織田信忠が織田家の後継者になるにあたって、濃姫の養子になっている。
信忠を養子にした前後に、弟の斎藤利治が信忠の側近となった。利治は本能寺の変では信忠に従って明智軍と戦い、斎藤利三に討たれている。
結婚後の経歴について有力な説では、
とされている。
その後は出家して江戸幕府成立前後に死去したと言われる。
今日に出来上がったイメージは、夫である信長の影響によるものや、小説やゲームなどの後世の人々が作り出したイメージで出来上がっている。
創作物における濃姫
『戦国BASARA』シリーズ
濃姫(戦国BASARA)の記事を参照。
『殿といっしょ』
CV:沢海陽子
今川氏真の「戦国美女百選」に入る美人でお淑やかな口調で穏やかに笑うが、父親の腹黒ぶりを受け継ぎ過ぎたかなりひどい性格。
自分を溺愛してくれる父・道三に身も心も傷つけるほどからかったり、羽柴秀吉や明智光秀に冷や汗をかかせる一言を言ったりと、さすがの破天荒な信長もツッコミに回るほど。
『信長の忍び』
父・道三が「天下一の美女」と評する、癖毛のある信長の正妻。作中では「帰蝶」と呼ばれている。
義妹のお市を励ます心優しい性格だが、恐るべき超・天然ボケ。心安らぐ存在として帰蝶を愛している信長もその点には頭を痛め、彼女の性格を後世に残さぬよう『信長公記』を著した太田牛一に指示したため、歴史書に彼女に関する記載が少ない理由になっている。
『戦国大戦』
諱とされる帰蝶名義で参戦。
二つ名は「蝮の娘」。
自身含めて3人いる信長の妻の中でツンデレ担当。レアリティは最上位のSR枠。
武将としての能力傾向は夫の信長に似ており、計略は実父である斎藤道三譲りの毒の妨害陣形。
うつけと呼ばれる夫の器量を見極めるような冷静な口振りながら、斎藤義龍や今川義元との戦いに出る信長を心配して動揺することも。
スペックはコスト1.5 武力4/統率5の鉄砲隊。
特技は「防柵」と「魅力」。
持ち計略の「胡蝶の毒」は、陣形の範囲内に入った敵軍兵力を徐々に削る計略で、道三と比べて有効範囲が狭くなった分、削っていくスピードは道三よりも早い。
「うつけ殿が天下を目指すのか?
……面白い。見届けてみよう」
大河ドラマ『麒麟がくる』
演:川口春奈(※)
主人公:明智光秀の従姉弟ということもあり、本作のメインヒロインの1人として扱われている。
馬を乗りこなして野山を駆け回ったり、自ら木に登ってリスを捕まえたりと活発な女性として描写されている。
物語開始時点では土岐頼純の妻であったが、夫が織田との内通を企てたと父に露見して毒殺される。同盟を経て信長のもとに嫁いでからは活発だった面影は形を潜め、「夫と父の会見のために300人の鉄砲隊を用立てる」「夫の政敵を暗殺するよう(夫の叔父に)仕向ける」など、蝮の娘と呼ぶに相応しい合理的・冷徹な手段を取るようになっていく。通称「帰蝶P」とも。
※ 当初は沢尻エリカが演じる予定であったが、覚醒剤所持の容疑で逮捕されたことで降板となり、代役として川口が演じることとなった。なお、沢尻が逮捕された時点で同作は既に10話分までが撮影済みで、帰蝶が登場していたシーンを撮り直す必要性が生じたことから、放送開始が2週間ずれ込んだり、多忙なスケジュール故に一部の出演者が体調を崩すなどの弊害が生じることとなった。