※植物の松についてはこちら。→松
概要
生没:1547~1617年
出身:尾張国
出家名:芳春院
天文16年(1547年)、尾張の篠原一計の娘として生を受ける。
父・一計が早くに他界し、母が尾張守護斯波氏の家臣・高畠直吉と再婚したことにより、まつは母の妹が嫁いでいる前田(利春)の下で養育される。
永禄元年(1558年)、前田家を継承した利春の子・前田利家(当時20歳)の正室として嫁ぐ。
利家とは母方の従兄弟に当たる関係にあり、数え12歳にして利家の子を妊娠する。利家との夫婦仲は良好であったようで、利家との間に多くの子を授かっている(後述)。
家中では学問や武芸に通じた才女として知られ、利家の妻として内助の功を立てよく尽くしたとされる。また、利家と同じく尾張織田家に仕える木下藤吉郎(後の羽柴秀吉・豊臣秀吉)の正室・高台院(ねね)とは、家が垣根を越えた隣同士とあって非常に仲が良く、その仲は終生続いたといわれる。
天正11年(1583年)に起きた羽柴秀吉・柴田勝家による賤ヶ岳の戦いにおいて、当初の利家は兼ねてより恩義があった勝家方に与していたが、利家が敗走すると、まつは越前府中にて自ら秀吉に会って和議を講じ、利家の危機を救っている。
慶長4年(1599年)に利家が病死すると出家し、芳春院(ほうしゅんいん)と号する。
翌年の慶長5年(1600年)、前田家が徳川家康から謀反の嫌疑がかけられ、交戦を主張する長男・前田利長を宥め、それを解消させるため自ら人質となって江戸に下り、14年間をそこで過ごした。その間も、関ヶ原の戦いで西軍に次男・前田利政の赦免や、同じく人質として家康の下に送られた義子・前田利孝の大名取り立てを江戸幕府に直訴するなど、前田家のために奔走。
しかし、利政の赦免が叶わなかったことが心身に疲弊をきたし長年病床に伏してしまい、居城である金沢に戻ったのは長男・利長が死去した慶長19年(1614年)以降だったという。
元和3年(1617年)に金沢城内で死去、享年71。
逸話
利家との子供
1559年──長女・幸姫(前田長種室)
1562年──長男・利長(初代加賀藩主)
1563年──次女・蕭姫(中川光重室)
1573年──三女・摩阿姫(豊臣秀吉側室、後万里小路充房室)
1574年──四女・豪姫(秀吉養女、宇喜多秀家室)
1577年──五女・与免(浅野幸長婚約者、夭折)
1578年──次男・利政
1580年──六女・千世(細川忠隆室、のち村井長次室)
…等、二男九女(合わせて11子)を設けており、戦国大名の妻としては非常に子宝に恵まれた人物として知られ、伊達晴宗の正室・久保姫と並んで最多とされる。
利家とのエピソード
天正12年(1584年)、佐々成政に末森城を強襲された際、兵が思うように集まらないことに悩んでいる利家に対し、彼が常々蓄財に努めていたことから「日頃大事にしている金銀に槍を持たせたら?」と皮肉を言ったという。
高台院とのエピソード
高台院(ねね)と親しく、醍醐の花見では高台院の傍らにいたという。
- 清洲城城下に住んでいた頃から親交があり、利家との婚姻では、ねねが仲人の役割を果たしたと伝わる。
- 子供のいない秀吉夫妻のために、(豪姫を養女にさせた。まだ数え2歳(満1歳)の子供を手放したことから、ねねとの信頼関係が強かったことがうかがえる。
- 蒲生氏郷死後の蒲生家の跡目相続について、氏郷の子・鶴千代(蒲生秀行)が会津を襲封できたのは、まつが高台院に請願したためであったとされる。
創作作品におけるまつ
個別記事有り
- 『戦国BASARA』のキャラクター。→まつ(戦国BASARA)
戦国大戦
夫・利家とともに織田家の武将として参戦。
現在のバージョン「1582 -日輪、本能寺より出ずる-」では、豊臣に籍を移して参戦しており、豊臣では同時に「ココロコネクト」の「稲葉姫子」がモデルの戦国数寄仕様が追加された。
本項では、織田の「SR仕様」、豊臣の「R仕様」と「SS(戦国数寄)仕様」で解説する。
SR仕様解説
織田家に居る時代の姿。
『夫のために、負けられません!』(開戦前)や、『利家様、まつが道を開きました!』(虎口攻め成功)など、やはり夫想いな台詞が多い。
スペックはコスト1 武力2/統率4の槍足軽で、特技は「魅力」。
武力・統率ともにコスト相応の値。
持ち計略「賢妻の手直し」は、範囲内に存在する「最も武力の高い味方武将」に対して武力を底上げし、それが槍足軽であれば槍の長さを延伸する。
一見すると地味だが、槍の長さが伸びることで「槍撃」ダメージの有効範囲が広がる上、複数部隊存在すると同時に槍撃が入る。
もちろん夫である利家(織田時代・豊臣時代どちらでも)との相性は抜群だが、織田だけでなく他の武家の槍足軽武将に付加させても遜色ない。
覚えておいて損は無いだろう。
「たとえ何があろうとも
まつはお前様の味方です。」
R仕様解説
「1582 -日輪、本能寺より出ずる-」になり、夫とともに豊臣に移籍した姿。
現在pixiv上ではこちらをモデルにしたイラストが無いため、投稿が待たれる。
スペックはコスト1、武力1/統率5の弓足軽で、特技は「魅力」と「豊国」。
移籍に伴い、得物を槍から弓に持ち替えている。
持ち計略も、SR仕様からうって変わって、「1582 -日輪、本能寺より出ずる-」より実装された「逆計」(計略に対するカウンター計略)を引っ提げての登場となった。
その持ち計略「消失の逆計」は、「盤上カードの向きに合わせて範囲を変えられる長方形」の中で「計略を発動した」武将に対して「付与された効果を無効化する」逆計計略。
三国志大戦の「反計」とベクトルは似ているが、「対象を1体しか取れない」、「発動と効果の付与自体は止められない」、「采配の重ね掛けを掛けられかねない」と、システム的には非常に厳しい逆風にさらされている。
「喜びも悲しみも、
二人で分かち合いましょう」
SS仕様解説
R仕様と同時に追加された、「ココロコネクト」の「稲葉姫子」がモデルの数寄仕様。
CVは本編でも演じた沢城みゆき氏が手掛けており、台詞周りも『お前らはあまりにも注意力が無さ過ぎる!』(計略発動時)や、『自分以外の人間はみんな敵だ』(虎口攻め成功)など、原作同様刺々しいものが多い。
スペックはコスト1.5、武力4/統率7の弓足軽で、特技は「防柵」と「魅力」と「豊国」。
コスト比の武力は少々少ないが、特技3つを有しており、計略も非常に優秀と、コスト比に対しての評価は非常に高く、数寄仕様で出にくいと言うことも相まって、稼働からだいぶ経った今でもレートは1枚4,000~5,000円程度となっている。
持ち計略の「信用できない」は、R仕様と同様に逆計の分類だが、効果が違ってくる。
こちらは「発動した敵」の統率を10程度落とし、その後戦場のおよそ縦半分程度まで吹き飛ばす。
士気2の計略のため手軽に使え、足並みを崩したり、統率を落とすためにダメージ計略の威力大幅増なども見込める。
「そんなこともわからないのか?
あたしが教えてやるよ」
戦国無双
「このまつ、とうに覚悟はできております」(4Empiresでの特殊台詞)
本編には登場しないが、「戦国無双2」にて護衛武将で女武者として登場する(「前田まつ」名義)。
そして『戦国無双3』においては、利家のシナリオにおいて度々名前が出てくる(こちらでは「松」名義になっている)。
『戦国無双Chronicle』にも名前が出てきたが、墓参りに行ってたり、実家に帰ってたりで主人公の前に姿を現すことがなかった。
ねねからは「お松ちゃん」(おまっちゃん)と呼ばれ、秀吉からは「お松殿」と呼ばれている。
ゲームではグラフィックはないものの、知名度としては人気も高く、利家が度々名前を口にするのでファンから新作でのPC化が望まれる。
その後、『4Empires』にて姫武将の1人として登場。この時は「まつ」名義で登場し、使う武器は双剣となっている。
100万人の戦国無双
「前田まつ」名義で利家のレアAとして登場(下記イラストの真ん中の女性)。
「男が一度決めたことを曲げンじゃねぇ!
……アンタは気にせず、戦場に向かいな。前田ン家の中はアタシに任せろ」
前田家の家紋の纏(まとい)を持っている。サラシに法被にスパッツ(?)。
性格は姐御肌で、サバサバとした男勝りな性格で威勢が良い。
一人称は「アタシ」。 利家のことを「アンタ」と呼び、慶次からは「姉御」と呼ばれている。
オリジナル武将総選挙で3位と人気が高かった。
花の慶次
この作品、及び原作小説である「一夢庵風流記」でも描写されているが、夫・前田利家に献身に従う良妻として描かれているものの、実は慶次とひそかに情を通じている事も描かれている(小説と漫画版では多少表現が違うが)。
信長の忍び
おっとりした性格。ねねの親友。夫・前田利家とペアルック(同柄衣装)で周囲を辟易させるほどの熱愛ぶりを見せている。
殿といっしょ
織田家臣団の嫁ーズのまとめ役的存在。非常に筆まめで文才がある。夫の現ポジション同様に常識人枠であり、嫁ーズの中ではツッコミ担当。作中でも五指に入るナイスバディでありどんな服を着ても目立つほどの爆乳の持ち主。
夫婦仲の良さは最早周囲の常識レベルであり子供達からも「またいつものパターンだ」と言われるほど。