燕
つばめ
いくつか意味があるが、いずれも鳥のツバメに由来する。ここでは鳥のツバメについて解説する。
概要 (鳥)
鳥綱スズメ目ツバメ科に属する鳥。古くは『ツバクラメ』『ツバクロ』とも呼ばれた。
背は光沢のある藍黒色で、腹は白く、喉と額が赤い。尾は長く切れ込みの深い二股形を為す(この尾の形を俗に燕尾形と呼ぶ)。飛行に適した大きな翼と退化した短い脚を持ち、地上には殆ど降りない(水を飲む時でさえ水面を飛びながら嘴で掬い取るようにして飲む)。非常に素早く飛ぶ事から、戦闘機や夜行バスなどでツバメの意匠や名称がシンボリックに用いられる事がある。
昆虫食。日本ではイネの害虫を食べてくれる事から、古来より益鳥として大事にされてきた。
スズメと並んで代表的な小鳥で、スズメ目の鳥を俗に「燕雀類」(えんじゃくるい)と呼ぶ事もある。
日本人にとって最も身近な渡り鳥でもあり、春に東南アジアから飛来して産卵と子育てをし、夏の終わりに再び東南アジアに帰っていく。
民家の軒下や門の下に、泥と植物の茎を唾液で練ってお椀状に成形した巣をつくり、そこで産卵と子育てをおこなう。
「燕が巣を作る家は栄える」という迷信がある一方、巣によって乃家の外観が損なわれたり、素の泥や糞によって軒先や門の敷石が汚れるといった被害が出るため、近年は疎まれる傾向にもある。
因みに中華料理で高級食材として用いられる「燕の巣」は実際にはアマツバメ目アマツバメ科に属するショクヨウアナツバメが作った巣の事であり、本来のツバメとは無関係。