「君ガ見タモノハ正シカッタノサ。ウルトラ警備隊ヤ天文台ガ信用シナカッタノハ無理モナイ。
私タチハ円盤ヲ星ニカモフラージュシタンダカラネ。
君ノ素晴ラシイ直感デ円盤ト見エタモノモ専門家ニハ星トシカ見エナイ。コレデ専門家ヲ油断サセルノガ私タチノ狙イサ。
ツマリウルトラ警備隊ヤウルトラセブンヲネ。私タチハナルタケオダヤカニ事ヲ運ビタイノサ」
「オオカミガ来ターッ!イクドモ言ッテイルウチニ誰モ振リ向キモシナクナル。
本当ノ狼ハソノ隙ニヤッテクル。コンナ地球ノ童話ヲ私タチモ知ッテイルヨ」
データだ!宇宙人だ!
- 別名:サイケ宇宙人
- 身長:1.8メートル
- 体重:80キログラム
- 初出:第45話「円盤が来た」
- 出身地:ペガッサ星雲第68番惑星ペロリンガ星
人間態:高野浩幸
スーツアクター:鈴木邦夫
CV:浦野光(声に加工あり、ナレーションを兼任)
概要だ!宇宙人だ!
大円盤群を率い、地球侵略を狙った宇宙人。円盤を強力な磁気と不透視バリアーで星にカモフラージュし、各地の天文台や観測所から身を隠して地球に接近。アマチュア観測者たちには円盤を観測されるが、彼らはアマチュアであるが故に通報しても信用されなかった。そして、ペロリンガ星人の内の一体が子供の姿をとり、自分達を観測したアマチュア観測者の一人で、星を発見するのが夢な青年・フクシン三郎に近づき、信頼を得た後にその正体を現す。フクシン青年は当然通報するも、日頃から現実逃避気味だった彼は誰にも信じてもらえない。ペロリンガ星人はその事で落ち込む彼に、他の観測者たちを自星に連れて行った事実を明かし、言葉巧みに自星に連れ去ろうとする。しかし、3度目の通報時にうっかり声を出してしまったことから怪しまれ、遂にウルトラ警備隊が出動。ペロリンガ星人はウルトラセブンとの戦闘に敗れ(倒されたのかどうかは明確になっていない)、残りの円盤群も全滅させられた。
通報者のフクシン青年は一転して周囲から称賛されるが、どこか居場所がなさそうな顔をする。そして、工場地帯、ゴミ捨て場、鉄屑、始業のサイレンなど彼の「日常」を構成するものが一通り映った後、いつも通り遅刻気味に職場の工場へと向かう彼の姿が映されて話は終わる。
再登場だ!宇宙人だ!
ウルトラ怪獣散歩
メフィラス星人、ケットル星人とともに川越、大宮鉄道博物館を観光した。
ウルトラマンタイガ
「やあ、君か!」
「長イコト、待タセテシマッタネ」
「そうだねえ。随分と、待ったよ」
「サア帰ロウ。綺麗ナ星ノ世界ヘ」
「……星の世界かぁ……」
「ドウシタンダイ?」
「……やっぱり、やめとくよ」
「エエッ?」
「友達、と言えるかわからないけど、蕎麦を食べに行く約束をしたんだ」
「本当ニ、イイノカイ?」
「うん。もう少し、この星で暮らしてみるよ……ああ、懐かしい円盤が来たね!」
「サヨウナラ」
「……さようなら」
約半世紀を経て、実に51年ぶりに『ウルトラマンタイガ』第6話「円盤が来ない」に登場。
本作では「星に帰りたい男」として登場。かつて『セブン』本編に登場したペロリンガ星人と同一人物であることが示唆されている(曰く「次元を超えてやって来た宇宙人」)。
本人曰く、かつて地球人の友人とともに地球を去ろうとしていたが(それがフクシン青年かは不明)、結局友人の踏ん切りがつかずに彼自身も地球に取り残されてしまい、それから約50年間も人間社会に潜伏して同胞の迎えを待ち望んでいた。
ある日、同胞の乗る円盤を探していたところ、円盤から地球に降り立ったガピヤ星人アベルを見て迎えが来たと勘違いして喜んでいたが、彼の事情を聞いたアベルの方は目撃者であるとして彼の抹殺を図るも、そこへ佐々木カナが現れ救出される。
カナに匿われる中彼女と心を通わせる内に星に帰りたいという心境に変化が生じ始め、アベルが倒された後に迎えに来た同胞に対し、「もう少しこの星で暮らしてみるよ」と地球で暮らすことを決心した旨を伝え、迎えの円盤を見送った。
そしてかつての友人の様に自転車に乗り、何処かへと向かう彼の姿が映し出されて、この話は幕を閉じる。
余談だ!宇宙人だ!
監督はジャミラやメトロン星人の回などを担当した実相寺昭雄で、この作品にもある種の皮肉や問題提起がある。物語のラストシーンは、フクシン青年にとって日常に戻れたグッドエンドとも言えるし、居場所の無い星から離れる機会を失ってしまったバッドエンドとも取れる。
ちなみに実相寺はメトロン星人の回でちゃぶ台をだして当時『セブン』の海外輸出を視野に入れていた上層部から「日本人にしか伝わらないものはNG」としこたま怒られたにも関わらず、懲りずに小さな商店街を舞台にしている。
またこの回に思い入れがあったようで、自著にて「リメイクしたい」と記述しており、その場合星人のデザインは「前衛彫刻のようなシュールなものか、とても醜い姿にしたい」という希望を述べていた。
ペロリンガ星人に使われたスーツは元々は「湖底の叫び声」のタイトルで完成されていた脚本に登場する「水棲人ピニヤ」として作成されたもの。しかし、当時は視聴率などの関係で予算がなく、ストーリーで必要な水中撮影が金と手間の関係でNGとなってしまい、話自体がお蔵入りしてしまった。それを派手にペイントして流用したのがペロリンガ星人である。
デザインは後に同監督と映像集団コダイを設立した池谷仙克。慢性的な予算不足に対応するために着ぐるみの流用ばかりか、大挙して現れる円盤も日用品(実際使用されたのは照明用の樹脂カバーだったが、「クリスタルガラスの灰皿」と記載された書籍もある)を流用した。
後日それを知った実相寺は池谷に怒ったといわれるが、気付かせなかった手際の良さ(あるいは安上がりで誤魔化された鬱憤)が印象に残ったのか、自身をモデルにした小説で、予算不足から紙皿にアルミホイルを巻いた円盤を演出する美術スタッフを登場させている。
戦闘シーンは非常にサイケデリックであり、何が起きているか分かり辛くただ取っ組み合っているだけようにも見えるためストーリーも相まって当時はあまり人気がなかったが、現在ではファン評価の高い作品となっている。
フクシン青年がその後どうなったかは語られていないが、ウルトラマンメビウスの小説版『アンデレスホリゾント』では地球に侵入したサーペント星人の円盤を偶然発見し、GUYSに通報した人物が、かつてのフクシン青年その人であったと語られている。
またフクシン役の冷泉公裕はウルトラマンネオスにおいてヒノ隊員の父親役として出演。セブン本編にも出てきたそば屋が登場したほか、「昔は星を見るのが好きな変わった人だった」と言われている。
『セブン』本編のスーツはチビラくんのワルサー星人に改造された。
『タイガ』第6話で人間態を演じたのは『セブン』本編でペロリンガ星人が変身した少年と同じく高野浩幸氏であり、同作品のペロリンガ星人のその後を思わせるものとなっている。
当初は、2年前にフクシンが『セブン』第45話からずっと多摩川でぼんやりしながら円盤を待つというのを描く物語を構想して本作品で実現させ、フクシンを演じた冷泉公裕に再度演じてもらう予定だったが、オファーを掛けた際には体調を崩しており、その後亡くなったため、大人になったペロリンガ星人が迎えの円盤を待つという物語となった。
そのためペロリンガ星人が迎えを待つという話に改められ、高野も冷泉の追悼として出演を快諾したという。星に帰りたい男の衣裳はフクシンと同様のものである。自転車も装飾倉庫にあった同時代のものを用いており、田口は「当時の本物かもしれない」と述べている。
『タイガ』第6話放送の翌日はペロリンガ星人が初登場した放送日と同じであり、また高野がウルトラシリーズに出演するのは『ウルトラマンティガ』のキリエル人を最終回で演じて以来約22年ぶりである。ちなみに第6話が放送された8年前には奇しくも『ウルトラマン列伝』で『ティガ』第3話が放送されており、キリエル人が初登場した回でもあった。
彼自身はペロリンガ星人の姿になることはなかったが、同胞のペロリンガ星人は『セブン』同様に声を高く加工されていて、声の加工も『セブン』でのピッチの高さを再現している。
スーツはアトラクション用ではなく新規造形。当初は既存のアトラクション用スーツを用いる予定だった。
円盤もCGではなく『セブン』のものを再現したプロップが用いられ、動きも『セブン』本編で登場したものを意識している。
なおこの話で登場したガピヤ星人はペロリンガ星人をイメージしたデザインであり、(本来の姿で)同時に映るシーンこそなかったが、デザイン元との共演が実現した事になる。
第6話のロケ地も『セブン』と同じく小田急線近くの多摩川沿いで行われたが、多摩川の地形自体が当時と変わっているため、高野の記憶を元に当時と同じところに寄せて撮影しており、ラストカットの電車が映り込むシーンも当時のオマージュとなっている。カナとのシーンは、『セブン』最終回を意識している。
関連イラストだ!宇宙人だ!
関連タグだ!宇宙人だ!
メトロン星人 - 同じく初登場回を実相寺監督が手掛け、その続編のサブタイトルが否定形に変わった宇宙人。