じゃない方芸人
じゃないほうげいにん
概要
実力はありながらも、相方の明確に立ったキャラの裏で目立たないもう1人の方(俗に言う「地味な方」)の芸人を集めた企画。
メンバーは吉本興業・太田プロ・ナベプロ・人力舎・マセキ芸能・ケイダッシュステージ・アミーパーク・SMA NEET Project・浅井企画・サンミュージックに所属している芸人で豪華ではあるのだが、やはり地味。大半がツッコミだが、向・谷田部・西村・岩尾・山根・相田はボケ担当である。彼らの中では「(覚えてない)かも知れない挨拶」が常識で、「(覚えている)だろう挨拶」はNGらしい。
2009年4月9日に第一弾が放送され、地味なくくりながら妙な感動を覚えさせてくれたためか、翌年正月のゴールデン特番にて第二弾『○○じゃない方芸人2』が放送、2017年6月1日には『○○じゃない方芸人2017』として第三弾も放送され、「じゃない方を卒業した芸人」として博多大吉が出演した。さらに2020年3月12日にはこれのトリオ版ともいえる『トリオの2番手3番手芸人』が放送された。
この反響からか、後にじゃない方芸人を集めた「地味ーズ」というユニットが結成された。
これに先立ち、似たコンセプトの企画として、2006年8月21日には「枠なし芸人のつらさ」という企画が放送されていた。
メンバーは児嶋一哉(アンジャッシュ)、設楽統(バナナマン)、ヒデ(ペナルティ)の3名で、これといったキャラも持ちギャグもない(2006年当時)芸人のつらさを語り合った。メンバーはそれぞれ振り仮名が振られた自分の名前と相方の写真が入ったネームプレートをつけて登場したほか(ヒデは芸名がカタカナなのにも関わらず『ひで』と振り仮名が振られてあった)、オープニングでは「1回分持たないかも知れない」と危惧されており、開始早々エンドロールが流れ出してそれをヒデが止める一幕もあった。
それぞれの特徴としてヒデはキャラの濃い相方の陰に隠れがちで、児嶋はキャラクター性の反映されにくいコント中心の芸風なのでバラエティ番組での立ち位置が見つかりにくく、設楽はその両方という点が挙がっている。ちなみにこのメンバーの所属事務所は児嶋が人力舎、設楽がホリプロコム、ヒデが吉本で、担当はヒデがツッコミで後の2名が基本的にボケ。「オーラがない」「相方と警備の人数が違う」「握手求められるのはいつも相方だけ」「テレビ局の入り口で警備員に止められる」「相方が目立つため、コンビ名はわかってても自分の方は名前言ってもわかってもらえない」「みんな相方の目撃情報をいろいろと教えてくれるが、逆に自分の情報は相方には伝わらない」「番組収録中にもしばしばスタッフに間違えられる」といった愚痴に加え「最近のADがおしゃれすぎる(だからよけい自分たちが地味に見える)」という発言もあった。また、ヒデの「宮迫さん目合わせてくれないじゃないですか?」という発言に宮迫は「お前が『なんにもありません』って、目で知らせてくるからやないか」と返していた。さらに「ヒデは空気みたい」「いてもいなくてもわからない」とも発言していた。
なお、直接の関係はないが、2016年2月には日本テレビの「ネクストブレイク」枠において2週に渡り「普段印象の強い相方の陰に隠れて目立たないが、ネタ書きを担当するなど確かな実力を持つ“じゃない芸人”たち」にスポットを当てた番組「じゃない」が放送されている。これに出演したメンバーは石田明(NON STYLE)、コカドケンタロウ(ロッチ)、瀧上伸一郎(流れ星)、岩井勇気(ハライチ)、菅良太郎(パンサー)、大野大介(マテンロウ)、西野創人(コロコロチキチキペッパーズ)の7名で、また後編ではスペシャルゲスト”じゃないの神”として新道竜巳(馬鹿よ貴方は)が出演。所属事務所はコカドと岩井がナベプロ、瀧上が浅井企画、新道がオフィス北野、後の4名が吉本となっている。また担当は石田・菅・岩井がボケで後の5名がツッコミ。番組の内容はメンバーが座談会形式でトークを行い、“じゃない”が故に普段表に出せない不満、テレビで苦手な事、得意分野、やってみたい事などを発表、それをコントやロケで実現するというものだった。
また余談だが、ここの出演者である瀧上はダ・ヴィンチニュース連載中の自身のエッセイ「肘神様が生まれた街」において、「外を歩いてる時に『ちゅうえいの人だ』『肘神様じゃない方だ』などと言われる」「営業などのコンビでの仕事の後で見た人の感想を検索してみたら、どの感想もちゅうえいの事しか挙げておらず瀧上の存在が空気状態」「仕事先でもスタッフに『たきもと』『おのうえ』などと名前を間違えられる」などと「じゃない方」の苦労を語っている。
『1』のメンバー
田村亮(ロンドンブーツ1号2号の田村淳じゃない方)
ご存じMr.いい人(ただし現在は謹慎歴あり)。メンバーの中ではトップクラスの知名度だが扱いがひどく、「ロンドンブーツじゃない方」、「あっ、淳!」と言われることがよくある、楽屋でスタッフが淳とこそこそ話で打ち合わせをする、インタビューで録音する際機材が淳に近いところに置かれるなど。ロンハー(現在は事実上の降板状態)のSPが近いと普通は忙しくなるのだが、亮だけはめちゃめちゃ暇になって子供と遊ぶ時間が増えるとのこと。
亮のアピールポイントはロンハーの格付けにおける抽選で見せる彼の笑顔。
若林正恭(オードリーの春日じゃない方)
「オードリーの相方さんです」と営業で紹介されたり、塙宣之(ナイツ)と一緒に立っていたら「ナイツのお二人でーす」と言われたり、長年一緒に仕事をしてきたマネージャーに気づいてもらえない、インタビューで自分が喋ったことが相方が喋ったように記事に書かれる、番組内で昔の写真が紹介された際一般人の友達と間違えられて若林の方にモザイクがかかっていた、広告代理店の人に間違えられるなど、この企画に相応しいエピソードを語った。
「人見知り芸人」などでキャラが確立しても、司会者やCM出演など活躍の場が広がって出演本数で春日を大きく上回っても、未だに「春日じゃない方」と呼ばれ続けているという悲しい男。
川島章良(はんにゃの金田じゃない方)
インタビューの時に記者の質問が金田が9割の川島が1割で、最後の方になって「じゃあ、そっちの人は」と名前すら呼んでもらえないという。「コンビの目立たない方は何かもっていなくては」という思いから仲本工事のモノマネを練習中。RGから「俺に似てるわ」と言われるほどハートが強く、多少スベっても全然心が折れない。
彼が注目してほしいところは合気道のネタの際、60歳の老人になりきりボケ・ツッコミを一切やらず金田を引き立たせること。
土屋伸之(ナイツのヤホーじゃない方)
松尾陽介(ザブングル)と間違えられたり、ひどい時にはマネージャーが土屋と間違えられてマネージャーの方が先に握手を求められたりする(本人曰く「『塙の横にいる眼鏡』という認識」)。さらに藤本敏史(FUJIWARA)に挨拶に行った際、何度も一緒に仕事をしているのにも関わらず、「お前誰や!?」とキレられたことがある。挙げ句の果てには同じ事務所の先輩出川哲朗からずっと「メガネ君」と呼ばれ続けているが、ホトちゃん曰く、「出川さんは特殊」と話している。
そんな彼のアピールポイントは塙のボケ「ヤホー」に対するツッコミのバリエーションの多さと、ここぞという時のためのツーブロックの髪型とジョニーデップっぽい眼鏡だが、見た者からは「サラリーマン」「若かりし頃の山田五郎さん」と言われてしまった。
向清太朗(天津のエロ詩吟じゃない方)
相方の木村に比べ明らかにインパクトがあるが、木村がエロ詩吟でブレイクしてしまったため、じゃない方に。昔は人気があったが、今では街を歩いていると「エロ詩吟じゃない方。でもアイツの方がエロそう」と言われてしまう。漫才をやっても目立ちたがり屋と思われ受けない、コンビ名が「天津・木村」だと勘違いされる、プリキュアショーにゲストで来た際の出番でも乱入してきた一般人のオタクと間違えられて警備員に止められる、相方の着替えの間の2分の繋ぎの際に暗転される等、不満が非常にあるらしい。自分の扱いの悪さを吉本の先輩達は理解してくれており、レイザーラモンRGが向を見るなり「ようこそ❤」と受け止めてくれたのだとか。
アピールポイントは木村がエロ詩吟の終わりに発する「あると思います」に対して入れる「立派なモンです」「素敵なことです」という合いの手。
松尾陽介(ザブングルのブサイクじゃない方)
相方の加藤ですら、ナイツ土屋と区別がつかないほどよく間違えられるらしく、さらにはハイキングウォーキング松田も松尾と間違えられることがよくあるとのこと。街を歩いていても一度も「あっ!」と言われたことがないが、女の子と一緒に歩いていても全く気づかれないのでフライデーに3回写真を撮られたが全部目の部分に黒線が引かれており、プライバシーを守られた。
アピールポイントは加藤の「カッチカチやぞ」のギャグの際に取るリズム。
後に「運動神経悪い芸人」でキャラが確立することに。
安田和博(デンジャラスのオバマじゃない方)
第一回キングオブじゃない方。芸歴は雨上がりの二人よりも上。トークが優れており上島竜兵のブレインとしても活躍する実力の持ち主ではあるが、相方ノッチの強烈すぎるキャラクターの前では霞んでしまう。さがね正裕(X-GUN)や河田貴一(BOOMER)とよく間違えられており(なお、2010年にはこの3名で有吉弘行プロデュースの「元祖・じゃない方芸人」によるユニット「有吉命名☆ゴーストバスターズ」が結成され、阿佐ヶ谷ロフトAで3回に渡りトークライブを行っている)、さらに一般人には「今いる?」、「古い人」、「ノッチの相方の人ってなんか亡くなっちゃったんだよね〜」などと言われる始末。営業では自分の名前当てクイズを10分ぐらいやるが、お客さんがシーンとなり、サングラスを外すと余計にシーンとなるらしい。最近ではサングラスばかりかけているので親から「解散したの?」と言われてしまう。「じゃない方」と言われるのを打破したいのだが、一個上の先輩のダチョウ倶楽部に相談しても10分後には相手がベロベロになって「俺たちどうしたらいいんだ?」と結局相談に乗る羽目になるため、「あんなモン相談したってしょーがない」と相談するのを諦めている。
アピールポイントはノッチに対する強力なツッコミ。このツッコミに対してノッチは「耐えられないので、3回以上は叩かないでくれ」と述べている。
『2』のメンバー
『1』からは土屋、向、安田が続投。
川田広樹(ガレッジセールのゴリじゃない方)
亮同様、知名度は高いがマネージャーに名前を「ゴリ田さん」と言い間違えられたり、番組スタッフに「ゴリさん達入りま〜す」と言われ名前すら呼んでもらえないなど、扱いは悲惨。相方の名前のインパクトに負けないため、「カワチャイチャイ」という芸名で一時活動していたが、全く効果がなかった。
アピールポイントはゴリのブレイクダンスの終わりにちょっとポーズを決めること。
博多大吉(博多華丸・大吉のアタックチャンスじゃない方)
「中学の時イケてないグループに属していた芸人」で「捕虜(バスケ部でほぼ補欠なのにずっと在籍していたため、他校の生徒から「何か弱味を握られているのだろう」と思われた事が由来)」や「焼却炉の魔術師」という強烈なあだ名をつけられたというエピソードがあったにも関わらず、名前を言ってもらえない。また、スタジオに入ったらまず音声さんの周りをぐるぐる回ってピンマイクをもらいに行く。芸名通り九州を中心に活動している芸人であり、彼ら2人は飛行機利用で年間相当な往復数で東京・九州間を行き来しているので、JALのクラスJのようないい席が結構取れやすいのだが、時には片方がクラスJが確保できて、片方ができなかったりすることもあり、華丸がクラスJの席に座れないと周りの客が「逆じゃないの?」、「お前天狗か」といった不審な目で見てくるとのこと。
しかし近年では「大吉先生」などの公務員キャラが確立し、2016年の「好きな芸人ランキング」で単独で7位を獲得するなどじゃない方芸人を脱却、2017年の当企画では「じゃない方芸人の卒業生」として出演した。
彼が注目してほしいポイントは華丸がアタックチャンスのモノマネをする際に一歩下がること。これによって上手側(大吉の方)のお客さんにアタックチャンスの拳が見えるようになる。
福田薫(U字工事のごめんねごめんね〜じゃない方)
本番では衣装を着ているので大丈夫だが、リハーサルで私服だと普通すぎて芸人と気づかれず、ピンマイクを渡してもらえないらしい。
益子の「ごめんねごめんね〜」というボケに対してツッコミが3パターンあり、自身のコンディションで毎回変えているが悲しいことに全部映っていなかった。
松田洋昌(ハイキングウォーキングの卑弥呼様じゃない方)
営業の際、人が集まってくると危険なのでコンビ揃って警備員さんが4〜5人ついてくれているのだが、松田の方に人が来ないのでただ連行されている人にしか見えない。さらにはサインを書いてあげた人に「ザブングル松尾からもらったサイン」と間違えられてしまっている。
「卑弥呼様〜〜〜」って叫んでいるQちゃんを引き立たせるために必要以上にビビッた振りをするのが彼の注目してほしいポイント。また、前述の地味ーズには「ハンサムだから」という地味な理由で入れてもらえないのだとか。
鈴木拓(ドランクドラゴンの塚地じゃない方)
ピンではなくドランクドラゴンのスケジュール表に「19時テレ朝(鈴木も)」と書かれてしまい、「何だ、コンビじゃねーのか(怒)」と不満を露わにした。じゃない方仲間である向に「ムカイーナ」という芸名を提案したが、即却下された。ネタを全く書かないので、この企画のスピンオフである「ネタ書いてない方芸人」にも出演している。
アピールポイントは塚地が仕事をしているときに釣りをすることだが、スタジオでは完全に事故っていた。
佐藤満春(どきどきキャンプのジャック・バウアーじゃない方)
第二回キングオブじゃない方。じゃない方仲間、若林の親友兼理解者。音声さんに間違えられ、使い終わったピンマイクを渡されてしまうことが多々あり、人違いと言わずにそっと本物の音声さんに返しているらしい。苗字は非常にメジャーだが、知名度チェックの際に一般の人から「普通」、「今後も覚えられない」と言われてしまう。
岸がジャックバウアーの真似を始めた頃、24は知っていてもジャックバウアーという名前の認知度が低かった為、「ジャックバウアーって『24』のジャックバウアーですか?」というところが彼の工夫。
後に「トイレの紙様芸人」や「お風呂大好き芸人」で水回りに関する豊富な知識を披露し、「水回り芸人」として活躍の場を広めている。若林曰く、「トイレの仕事しかしてない」らしい。
小林優介(響のデブじゃない方)
知り合いと食事をしているときに女の子を呼ばれ、その女の子が「めちゃくちゃファンなコンビがいるんです。響さんってご存知ですか?」と本人を目の前にして発言。それに対し、お客さんが「かわいそう…」と同情してしまうほど悲しいエピソードを語った。
ツッコミで普通におでこや後頭部を叩くと相方のカツラが取れてしまうので、取れないように押さえつける感じで真上から叩くという、気遣いのツッコミを入れるのが彼のアピールポイント。
『2017』のメンバー
岩尾望(フットボールアワーの後藤じゃない方)
コンビで離島ロケの仕事があったのだが、放送時の見出しでは後藤の名前しか出されておらず、この点にはこの回のゲストだった大吉も共感していた。
アピールポイントはコンビでMCをする番組などの際、最初の挨拶で意識的に後頭部のハゲを見せるようにして後藤の「ハゲとるやないか!」というツッコミを引き立たせる所。
福田充徳(チュートリアルの徳井じゃない方)
鹿児島に鶏の卵を取りに行くコンビでのロケの仕事の時、自身はちゃんと来ていたのに徳井の遅刻を理由にロケが中止になってしまった(しかもこの時福田は『一人でもがんばります』とスタッフにアピールしていた)という悲しいエピソードがあった。
アピールポイントは漫才のツッコミの際、徳井の髪形が崩れないよう頭でなく腕を叩くこと。
山根良顕(アンガールズの田中じゃない方)
相方田中のモノマネしている芸人と一緒にロケを行くことになり、その芸人はテンション上がったが本物はこんなにテンション上がらないと寂しくなった(大吉先生曰く見たことない世界)。
アピールポイントは田中の気持ち悪さを引き立たせるために、なるべく自分の存在感を薄くすること。
相田周二(三四郎の小宮じゃない方)
ボケ担当のじゃない方芸人。2016年9月7日放送の「水曜日のダウンタウン」にて行われた『芸人知名度格差コンビランキング』という企画で渋谷で行われた「名前を知っているかアンケート」の結果が、小宮が500人中151人(30%)で対する相田は0人(0%)だった。その企画のおかげで「三四郎の0%の方ですよね?」と声をかけられるようになり、少しだけ知名度が上がったらしい。相方のモノマネが一番ウケるのが悩み。
アピールポイントは、小宮の聞き取りにくいセリフをなるべく観客にわかりやすいようフォローすること。
西野創人(コロコロチキチキペッパーズのナダルじゃない方)
アピールポイントは、コント内でナダルの動きがよく見えるように、さりげなく机を動かすこと。
たかし(トレンディエンジェルの斎藤さんじゃない方)
斎藤がインフルエンザで休養した際にルミネtheよしもとのライブにピンで出る事になったが、その際の持ち時間が同様にピンで出ていた中川パラダイス(ウーマンラッシュアワー)と水田信二(和牛)の5分に対し1分しかもらえなかった。
アピールポイントは、斎藤がセンターで目立つ場面と、戻った後のつかず離れずの距離感。
相方にはあるのにWikipediaに個別記事が存在しない人その1。
トリオの2番手3番手芸人
便宜上「○○じゃない方」と表記。この企画では所謂1番手の「エース」も登場した。