185系
ひゃくはちじゅうごけい
概要
国鉄が設計・新製した特急形電車。1981年から翌1982年にかけて、首都圏近郊の急行列車に運用されていた153系・165系電車の置換と特急格上げを主目的として投入された。
特急列車から普通列車まで幅広く運用(それまでの国鉄の特急形車両は特急専用として設計されていた)することを前提に設計されており、幅広の2扉、開閉可能な窓などがそれまでの特急形車両とは違った特徴である。
分割民営化により全車両がJR東日本の所属となった。
走行線区別に暖地仕様0番台(東海道本線方面用)と寒冷仕様200番台(東北本線・高崎線・上越線方面用)が新製されたが、その後200番台の一部が東海道本線方面に転出している。
外見では、ヘッドマーク下のタイフォンカバーの有無で判別可能。(カバーありが200番台)
0番台が、10両(A編成)8本と、5両(C編成)7本が所属。
200番台が7両で、東北・高崎・上越線向け(OM編成)が9本、東海道線向け(B編成)が7本所属。
後に一部編成が波動用として短編成化された。
塗装は関連イラストの項を参考。当時は0番台の斜めストライプは斬新で話題となった。
沿革
デビューから全盛期
3月26日デビュー。初運用は普通列車。
3月28日より急行「伊豆」で使用開始。153系と連結する運用もあった。
10月1日、特急「踊り子」運用開始。踊り子7往復と普通列車10往復で使用。
3月10日、200番台が急行「あかぎ」で運用を開始。増備が進むと、急行「ゆけむり」「草津」「軽井沢」や普通列車などでも使用。
6月23日、東北新幹線開業に伴い、新幹線リレー号を10往復運転。
11月15日、上越新幹線開業に伴い、新幹線リレー号を28往復に増発。特急「谷川」・「白根」・「あかぎ」にも投入。
この年から全編成に対して循環式汚物処理装置が設置された。
3月14日、東北・上越新幹線上野延伸に伴い「新幹線リレー号」廃止。また、上野発着の急行が特急格上げされ、「新特急谷川」「新特急草津」「新特急あかぎ」「新特急なすの」になった。余剰車は踊り子へ転用し、183系踊り子を置き換え。
11月1日、「湘南ライナー」が運行開始。普通運用が減り、ライナー運用が増えた。
この頃から臨時列車「モントレー踊り子」「ホリデー快速」「シュプール」等にも使われるようになる。
1990年8月には、天皇陛下も御乗車になられた「そよかぜ」を中央線で運転。
1995年1月6日から同年3月27日運転の「シュプール」は、「フルフル塗装」と呼ばれる特別な塗装に変更された185系が使用された。
リニューアル工事
1995年から1998年に掛けて、東北・高崎線用の185系にリニューアル工事を実施。評判が悪かった転換クロスシートを回転リクライニングシートに交換した他、内装も貼り直された。塗装もエクスプレス色とよばれるものに変更。
また、この頃に運行番号表示器のLED化と、B3~5編成にATC装置の搭載がされた。
1999年~2002年には踊り子用の185系もリニューアルされ、こちらは湘南ブロック塗装とよばれるものになった。
編成組み替えから引退まで
田町車両センターの所属車両を無くす動きがあり、185系も全て大宮総合車両センターに転属した。
所属が同じになった高崎線用と踊り子用の7両編成を共通で使うため、方向転換や車両組み替えを実施。
また、この頃から一部の編成を組み換えて4、6、8両編成にされる動きがあり、グリーン車や付随車の廃車が発生。
これら編成は波動用として使用されていた183系・189系を置き換えた。「ムーンライトながら」「修学旅行臨時」などで使用。ただし、富士急行への乗り入れは登坂性能などから1回で終わり、引き続き189系が担当。
3月15日、「草津」「あかぎ」に651系1000番台が導入され、OM編成を中心に185系に編成単位での廃車が出るようになった。
この頃から、検査を受けた車両が踊り子のストライプ塗装に変更(リバイバル)されるようになる。
全車両がストライプ塗装に統一された。
3月14日のダイヤ改正で、E257系2000番台が踊り子に投入される。
ダイヤ改正に先立ち、運用離脱した251系スーパービュー踊り子運用が185系になった例も存在する。
3月13日のダイヤ改正で、踊り子がE257系2000番台及び2500番台に統一。また、「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー」が「特急湘南」に格上げ廃止され、185系の定期運用がなくなった。
前日の12日にラストランが行われ、踊り子を中心に多くのファンや関係者が見送った。NHKではヘリコプターで踊り子を空撮し、熱海まで追いかける生放送も行われた。
今後は臨時列車として一部車両が使われる予定だが、2022年までに全車両が廃車・形式消滅となる見込み。
その他
転換クロスシートや開く窓など、急行並みの設備で特急料金を取るため、急行「つやま」と並んでボッタクリの代名詞になっている。ファンはもちろん乗客からもこの車両による急行の特急格上げで不満の声があった。
またデザインや性能が117系に似ているため、「117系1850番台」「有料新快速」と揶揄されることもある。
来歴にもある通り、お召し列車にも使用され、一部のグリーン車は防弾化改造されており窓もあかない。
また、クロ157-1を連結できる編成もいる。