概要
南海電気鉄道がかつて大阪市内で運行していた、天王寺駅〜天下茶屋駅間2.4kmの路線。
「天王寺支線」と呼ばれることも多い。
南海鉄道(現南海本線の前身)により1900年開業。省線(現JR西日本)〜南海本線・高野線相互間の乗り継ぎ客の輸送と共に、省線との貨物の連絡線としての性格もあった。このため全線が複線だったが、1966年に新今宮駅が開業すると利用客が激減。1970年代には、西成暴動の影響で半日運休を余儀なくされた日もある。
天下茶屋駅の高架化に際して1984年11月18日に今池町駅〜天下茶屋駅を廃止し単線化の上、飛田本通駅を設置する。この際、天王寺駅が西側に100m移設されたことにより、路線も1.2kmに短縮された。残存区間も1992年度末に、OsakaMetro(当時は大阪市営地下鉄)堺筋線の動物園前駅〜天下茶屋駅間の延伸にともない廃止になっている。
接続路線
天王寺駅・・・国鉄〜JR西日本:阪和線、大阪環状線、関西本線/近鉄:南大阪線(大阪阿部野橋駅)/南海〜阪堺電気軌道:上町線(天王寺駅前停留場)
今池町駅・・・南海〜阪堺電気軌道阪堺線(今池停留場)/南海高野線(萩ノ茶屋駅)
天下茶屋駅・・・南海本線、高野線
※飛田本通駅のみ接続路線なし。
使用車両
天下茶屋駅発着だった頃は、1521系と7000系非冷房車の2連だったが、冷房車7100系もまれに使用された。天王寺線内の折り返しのほか、出入庫間合いで住ノ江駅発着もあった。
短縮後は1521系のモハ1524とモハ1526による単行となり、天王寺駅に検車設備を設けて2両を交互に使用していた。
天王寺支線亡き後、天王寺駅の検車設備は汐見橋駅に移設。岸里玉出駅の高架化工事で、既に高野線(本線)と分断されていた汐見橋線が、一時的に南海本線とも分断され住ノ江検車区に使用車両が出入庫できなくなるため、その汐見橋線の検車設備として転用された。1995年8月24日を最後に、この検車設備は廃止され、翌日から汐見橋線は再び南海本線とレールがつながった。ちなみに汐見橋線は現在、冷房車の2200系で運行する。
余談
●南海が同じ大阪市内で運行し、かつ廃止になった路線に平野線があり、こちらもOsakaMetro谷町線の天王寺駅〜八尾南駅間延伸にともなう代替廃止だった。平野線の最終営業日は1980年11月27日。
●天王寺駅の天王寺線ホーム跡は現在、商業施設「天王寺Mio」本館になっている。
関連
大阪シティバス・・・【48】あべの橋〜今池駅前〜地下鉄玉出〜地下鉄住之江公園系統が代替路線になっている。この路線は、堺筋を走る唯一のバスでもある。