ヴィル・シェーンハイト
ゔぃるしぇーんはいと
概要
名前 | Vil Schoenheit |
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学年・クラス | 3年C組23番 |
誕生日 | 4月9日(牡羊座) |
年齢 | 18歳 |
身長 | 183cm |
利き手 | 右 |
出身 | 輝石の国 |
部活 | 映画研究会 |
得意科目 | 魔法薬学 |
趣味 | ヨガ |
嫌いなこと | 手抜き |
好きな食べ物 | お手製スムージー |
嫌いな食べ物 | マヨネーズ |
特技 | 化粧品作り |
個人のロゴは王冠。
人物
一際人目を引く美貌の持ち主で、実際にプロのモデルにして俳優。マジカメのフォロワー数はなんと500万人。
一人称が「アタシ」で女言葉を使うが、れっきとした男性である(現時点ではこの設定に関して公式からの説明は無いが、幼少期は一人称は「僕」で喋り方も少年風だった)。
自らの美しさに絶対の自信を持ち、美に対しての努力を惜しまず、こだわりも強い。魔法で取り繕って一瞬の間だけ得られる美よりも、偽りのない純粋な美しさを得るため日々の生活でも手を抜くことはしない。
また他人に対しても厳しく、手を抜く人間が嫌いだと公言しており、辛口のダメ出しをする事が多い(特に寮長同士であるレオナのだらしなさには憤慨している)。
アズール曰く「自分にも他人にも厳しい人」。しかし(自分程とはいかずとも)美形だったり服のセンスが良かったりと評価に値する相手や物には一定の評価を付す事もあるようで、クルーウェルのファッションセンスやイデアのオルトのデザインなどを認めている(レオナの事も「顔だけはいい」と一応評価はしている)。
見た目も相まって他者に厳しい一面が目立ちがちだが、裏では後輩達に悟られないようにフォローに回ったりなど面倒見は良いタイプであり、決してただの暴君ではなく立派な指導者として寮全体をまとめあげている。(というより彼と同学年の寮長は留年してみたり、自室に引きこもってみたり、そもそも寮の運営にさほど関わっていなかったりといった現状を考えると寮長としてはかなりまともな方である。)
早朝にランニングをするなど体型維持に余念が無いが、ジャックとは異なり筋肉が付きすぎないよう鍛え抜くことはせず程々なところで切り上げている(しかし頭を鷲掴みにされたエペルが「頭が林檎みたいに砕けちまう!」とかなり痛がっていた事から筋力そのものはあるようで、事実それを物語るように彼の部屋には重量級のバーベルが置かれている)。
※ちなみに林檎を潰すには80㎏相当の握力が要るので実際は例えに出せる程そんな簡単な話ではない。
自らの美しさに絶対的なプライドを持ち、長く芸能界に身を置いている事からインフルエンサーとしての自覚と責任を持っており、彼がマジカメに挙げた商品は瞬く間に市場から姿を消すと言われている。
彼の持論に「美しさとは暴力より圧倒的に、演説よりも雄弁に人を跪かせる事が出来る力」があり、本編のある描写で世間への影響力とは自らの”美”から成り立っている事を証明している。
入学式の時にだらしない式典服の着方をしていたエペルに説教をした時に喧嘩を売ってきたことから、実力で返り討ちにして絶対服従を命じている。エペルには自分に勝ったら自由にしてよいと言っているものの何度も返り討ちにしている様子。
ただしエペルのことを全て否定しているわけではなく郷土心は認めており、本編ではエペルからの差し入れの林檎ジュースをマジカメに乗せて売り上げを上げさせている。彼の性格上、評価に値しないものを世間に勧めるとは考えられないので事実美味しかったのだろう。そもそも全くすべての自由を禁じるならばマジフト部への入部を反対した可能性もある。それどころか、とあるパソストではマジカルホイールを運転させているので、ある程度許してはいるようだ。
ジャックとは同郷であり幼少期からの知り合いでもある。
故郷では芸能人という事で敬遠されていたりと良い思い出がないらしいが、ジャックのことは嫌っておらず、故郷でも自分をバカにしなかったからと好意的である。
有名な俳優エリック・ヴェニュー(CV:江原正士)を父に持つ。父親の事は嫌いじゃないらしく、思い出や凝り性なところという遺伝を感じる部分など、尊敬しているように語っている。
化粧水などを自作をしていたりする一方、寮長の適性を得ている事から毒薬づくりも得意と思われる。なんでも元々化粧品を自作しておりその為に魔法薬学も研究をしていたらしい。(5章にて「ポムフィオーレの寮長は寮で一番毒薬づくりが得意であるべし」という決まりがあると判明した)。立場故にプライドは高いが、より良い化粧水を求めてアズールと取引するなど美のためなら人に頼るのも躊躇しない(そのことで一名犠牲者が出た)。
化粧水の件もそうだが、こだわりが強い性分が他にも至るところで見られる。
部活動では理想の演出を叶える為なら納得がいくまでリテイクをしたり、たまたまその場に居た後輩を役者にしたりと割と手段を選ばない。飲むスムージーもその日の体調で材料を変えてるという。
ちなみに嫌いな食べ物がマヨネーズなのも、子供の頃にそれが原因で大きなニキビを作ってしまったから。味としては嫌いではないが、その時のことを思い出してしまうため、美味しくいただけないそう。体質に合わないものを摂取していたのは「プロとしてあるまじき失態」と語っている。
こうしたところから一見努力家と形容しても違和感なく思えるが、「努力をすれば成功するとは限らない」とも語っており現実主義者の側面もある。
副寮長のルークからは「毒の君(ロア・ドゥ・ポアゾン)」、フロイドからは「ベタちゃん先輩」(観賞魚としても親しまれる熱帯魚の一種)と呼ばれるが、ヴィル本人は他者を野菜で呼ぶ事もある(エペルを筆頭に1年生を子ジャガ(ジャックは例外、セベクにはキュウリ)、自分以外をカボチャなど。)
主人公には本編で一定期間サポート役を任命していた事から「マネージャー」とも呼んでいた。
ちなみに本人は(作中でもリアルでも)ファンから専ら「ヴィル様」と呼ばれている。
人間観察に長け、VDCオーディション(詳細は後述)ではやはり辛口ではあるものの、それぞれの本質を見抜いた上で候補者を批評している。
VDCの合宿でオンボロ寮に世話になるからとエースとデュースにお手製のお菓子を持たせてくれたとある三年生に対しては「良かれで甘やかして相手をダメにする一番気を付けなきゃいけないタイプの男」とかなり核心をついた発言もしている。
本編・イベントでの動向
本編・第2章
チラッと登場。マジフト大会が近いが大会の事より当日の化粧の事や日焼け対策が重要な様子。
本編・第4章
ラストにて、寮から逃げ出した寮生を捕えるようルークに命じている。
本編・第5章
本格的に登場。全国魔法士養成学校総合文化祭のプログラムの一つ、VDC(ボーカル&ダンスチャンピオンシップ)に参加するということで気合を入れている。
ライバル校であるロイヤルソードアカデミー代表のネージュ・リュバンシェの美貌に嫉妬しているらしく、参加したがらないエペルを半強制的にコンテストに参加するように言いつけ厳しい特訓を課す等、勝利をもぎ獲ろうと躍起になっている。
オーディションではとにかく何でも褒めて100点をつける副寮長のルークと対照的に、手厳しいが相手の本性を看破した上で評価をしている。
メンバー決定後はVDCで優勝したら優勝賞金の自分の取り分はオンボロ寮に寄付するということで、主人公達にマネージャーとしての協力を要請する。
ただしその指示はかなり度が過ぎるほどに厳しく、食生活に関してもショーには参加しない監督生やグリムには多少融通しているものの、ストレスを溜めさせないためにみんなの前での食事を禁止したり、うっかり禁を破らないよう食べ物に呪いをかけておいたりしている(ある意味リドル以上に厳しいと言える)。
この最中に有名な映画への出演オファーが来たが、ネージュが主人公でヴィルは美形悪役という配役に若干不満がある様子を見せた(当人はイメージキャスティングで断るようにマネージャー(CV:城雅子)には常々言っているらしいが……)。結局VDCに集中したい(芸能界デビューのチャンスの大会だが、すでに芸能界入りしているヴィルには利点が薄いはずである)と言って出演を断っており、VDCへの異様なこだわりを見せている。
なお化粧にも気を遣い、化粧品などを大会参加者にも配っている(アズールの式典服のストーリーを思うとその品の材料は…)。
本番2週間前に、エペルと衝突していた関係から彼にレッスンを抜け出されるトラブルが起きる(但しヴィル自身はあまり意に介していない)。この一件からエペルの中で一つ蟠りが解消されると、改めて宣戦布告され、ヴィルは不敵な笑みで答えた。
そしてVDC当日の本番直前、自信満々でリハーサルに臨んでいたものの、ライバル校のライバルのパフォーマンスを観て表情が曇りだす……。
また、随所でMiraという検索エンジンを使って「今この時最高に美しいのは誰?」と質問していたが………。
ハッピービーンズデー
農民チームに所属。サバナクローの寮生二人を引き連れて敵チームのジャックを取り囲むも逃げられる。
フェアリーガラ
クルーウェル先生と共に、妖精の祭に紛れ込むサバナクロー寮のレオナ・ラギー、スカラビア寮のカリム・ジャミルの為にコーディネートをしたり、作法やウォーキングを厳しく手解きした。→ガラ組
その厳しさはグリムに「鬼コーチ」と呼ばれるほどで、ジャミルは厳しいのは確実だと判断したらしく、苦渋の決断で指導を受けることを決めていた。
ゴースト・マリッジ
高身長ということで花嫁ゴーストイライザに指輪をつける役の第一陣に選ばれる。
普段と違い一人称は「僕」で、他者を君付けするなど理想的な王子様を演じる(本人曰く「プロのモデルであると同時にプロの俳優。また美しき女王も完璧に老婆に化けていた」との事)。
レオナ「気持ち悪ぃ。いつもの方がまだマシだぜ」
しかし花嫁ゴーストの理想がマニアックすぎたために失敗、ビンタを食らって普段の口調でキレていた。
ジャック「あ、いつものヴィル先輩だ」
星に願いを
願い事は特に無いらしい。当人曰く人任せにして努力しないことが嫌いとのことで、願いを言おうとしない。
そのためにトレイやグリムに主人公から例えばという些細な願いを言われて懇願されたことから渋々言うが、その内容も『あんたたちにこれ以上まとわりつかれない』というある意味「ここから出て行け」と言っているようなものだった為、トレイからは「徹底した願い事嫌い」と評された。
スケアリー・モンスターズ!
今回のイベントのメインキャラにしてガチャのSSRの一人。余談だが、恒常の寮服が出るより先にSSRが実装されたのは彼が初である。
ハロウィーンの運営委員長としてナイトレイブンカレッジのハロウィーンを取り仕切り、イベント中でもお客様の要望に対して最高のサービスを返すという、模範とも言える接客を行った。
しかしマジカメでのいいね稼ぎを目的として迷惑行為を繰り返す『マジカメモンスター』の出現により、格好の被写体になってしまう。
そしてマジカメモンスターによってグレート・セブンの石像が倒されたときには絶句していた(当人によるとまだ文字も読めない頃に絵本で父親に”美しき女王”の話を聞いて憧れていたらしい)。
元からモデル・俳優として活躍していることから、悪質なパパラッチやマジカメモンスターといった被写体の都合を考えずに写真を撮る連中には怒っていた為、マジカメモンスター退治も自分が主体となって行動した。
その内容が「実はヴィルは本物の吸血鬼だった!」という寸劇をして相手を怯えさせるもので、エペルからは「本当に信じて噂を流されるとモデルや俳優としての仕事に支障が出るのでは?」と心配されたが、予め吸血鬼姿の写真を撮ってマジカメにUPして”美しすぎる吸血鬼”として人気を博していたので、そんな噂が流れてもこの写真の事と勘違いされるようにしていた(既にマジカメでも話題になっており、来年のハロウィーンイベントの依頼も来ているらしい)。
パーソナルストーリーではメイク係を集め、普段と違うメイクをする為のコツを教える役目を引き受けた。
ルークには「今更必要がない」、オルトには「衣装が顔を隠すからメイクの必要がない」と教えなかったが、オルトには被り物で蒸れるからという理由で代わりに基礎化粧品のおすすめを教えていた。
NRCマスターシェフ~肉の至福~
審査員としてランダムで登場する生徒の一人。
判定はキャラの中でも厳しめで、怪しい料理には首を振って手を付けず、高評価が出る迄笑顔を見せない。目だけでなく舌も肥えているようだ。
番外編
- ニューイヤーキャンペーン2021
五日目のストーリーのポムフィオーレ寮編に登場。
エペルの肌荒れを見てホリデーの間不摂生な生活を送っていた事を看破。特別なデトックスメニューを課せる。相変わらず鋭い御人である。
- 誕生日
セベクに次ぎ、バースデーキャンペーンのキャラクターとなったヴィル。
ストーリーは普通のカードと少し異なり、『誕生日の人へインタビュー特集』というインタビュー形式のものとなっている。
ルークからは誕生日プレゼントとして詩を百篇もらったらしく困惑していた(入学以降毎年貰っているらしいが、年々気合いが入ったものになっているとのこと)。
また、父親からは毎年絵葉書をもらっている。今年貰ったカードにはまだ教えていないヴィルの近況も記されていた。忙しいはずなのに親ばかと苦笑を浮かべていたが、その様はどこか嬉しそうでもあった。
魔法薬学はNRC入学前から取り組んでいた。市販品で満足できなくなった結果化粧品を自作するようになり、その結果化粧品作りが魔法薬学に通じていることに気づいたとのこと。今ではメーカーから商品化の打診が来ているが、将来自分のブランドを立ち上げる予定のため全て断っている。
またこのパーソナルストーリーにて、映画研究会は彼の創設と明らかになった。俳優志望はオーディションがあるため部員は少ない。落選しても裏方として入部できるが、生徒の気質上裏方を嫌う者が多いため人手不足に陥っている。そのため、ルークやエペルを始めとしたポムフィオーレの寮生や、他の生徒に報酬などを払って手伝ってもらっているらしい。
元々は、学生として勉学に集中するために俳優業をセーブしている中でも演技感覚を忘れないために創設したが、裏方業務の経験によりスタッフの負担を考慮した立ち回り等を学べたらしく、良い成長になったと喜んでいる。
マヨネーズは嫌いであるが厳密に言うと肌に合わないとのこと。子供のころにサラダにいつもマヨネーズをかけて食べていた結果、ニキビができたことが理由。その思い出があるために今は自ら進んで食べないようにしている。さすがに料理などで既に使われている奴の場合だと断らないらしいが思い出があるために味が楽しめないらしい。(味そのものは嫌いではないらしい。まあ。そうでなければ好んでかけたりしないだろう)
ユニーク魔法
魔法名 | 【美しき華の毒(フェアレスト・ワン・オブ・オール)】 |
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効果 | 手で触れたものに"呪い"を付与する |
"呪い"は本人にも解くことができないほど強力だが、条件を満たせば解くことができる。
初めて披露した時は昼間に回収した菓子に「これを口にした愚か者は、翌日陽が昇るまで動けなくなる」という呪いをかけており、ヴィルからの言いつけを破って夜中にケーキをこっそり食べたエース、デュース、グリムは翌日まで床に転がる破目になった。
エース曰く「毒より怖い」。
カリムはその話を聞いて魔力などで識別できないかと考えていた(毒殺に常に注意しているゆえの発想。地味に闇が深い…)。
余談
モチーフは「白雪姫」の継母の女王”イーヴィル・クイーン”。
ポムフィオーレの寮長は毒薬作りに最も長けている者がなれる決まりであるが、その設定は女王が毒林檎を作った事に由来するものだろうか。
なお上記のユニーク魔法の名称も、女王の「Who’s the fairest one of all?(世界で一番美しいのは誰?)」という劇中の台詞に由来している。
父親であるエリック・ヴェニューの声を務めている江原正士氏は『美女と野獣』のルミエールを始めとしてディズニー映画本編でも吹き替えとして多数出演している。まさに大御所。
関連タグ
ツイステッドワンダーランド ツイステ ポムフィオーレ 寮長ズ 輝石の国組
ネタバレ注意!!!
逃がさないわ……アタシの醜い姿を見た者は誰一人生かしておくもんですか!
アーハッハッハッハ!!
ネージュに自らのユニーク魔法で呪いをかけた林檎ジュースを飲ませることに失敗し、カリムたちにその愚行を窘められたことで、自らのしでかしたことが自分のポリシーを歪めてしまったことに気付き、ヴィルは己の醜い姿に絶望する。そして、自分以外がいなくなれば自分は1番美しくなれると自棄になり、オーバーブロットしてしまう。
右目からは青紫色の炎が出ており、泣き濡れたようなペイントが右目から垂れている。クジャクの羽をモチーフにした頭飾りと修道女のような黒のヴェールを付け、両手には鋭いかぎ爪がある。ドレスはところどころ破けており、薄汚れている。
背後には王冠を着け、ボロの服を着て、リンゴのかごを持った怪物が控えている。
更にネタバレ注意
子役のころから有名だったヴィル。しかし、回ってくる役はいつも主人公に敵対する側の悪役だった。大物俳優である父は、「悪役は主人公よりも綿密にキャスティングされることもある重要な役だから、誇りを持って演じるとよい」と幼いヴィルに語る。しかし、ヴィルはどうしても主役になりたかった。
でも……悪役(ヴィラン)は いつも最後まで舞台に立っていられない。
役目を終えたら 後は物陰でハッピーエンドを 眺めているだけ。
アタシは ———— 誰よりも舞台に長く立っていたいの。
悪役を演じることで時にはいじめられることもあった。
そんなある時、ジャックが現れていじめっ子たちを追い払った。
そのことに対してお礼は言いつつ、自分でも返り討ちにできる術は身に着けているとヴィルはジャックに言う。そして次のオーディションで主役の座をもぎ取っていじめっ子たちを見返してやるとジャックに誓った。
狙う席は、いつだって主役ただひとつ。
でも ———— アタシが選ばれるのは いつだって悪役(ヴィラン)。
ヴィルの浮世離れした美しさは視聴者に親しみやリアリティーが感じられにくくなってしまう。
それでも主役に抜擢されたいがために美しくなるよう類稀なる努力を人一倍重ねるヴィル。
自身の努力が報われない悔しさと、主役に選ばれ続けるネージュへの嫉妬が、今回の騒動を引き起こしてしまった。
アタシはただ ———— 最後まで舞台に立っていたいだけなのに。
収束後、目覚めたヴィルは自らの過ちを「みっともない」と恥じていた。
事件が起きて収まったのは本番2時間前だったがヴィルは暴走の反動で立っているのもやっとな程に疲労しており、エペルからも心配されてセンターを譲るよう頼まれる。しかしヴィルはそれを拒否し、「スポットライトがアタシを照らしているのなら、たとえ頭上から大岩が落ちてきたって舞台を降りはしない」と”悪役の誇り”を主張した。嫌気がさしていた”悪役”というものにも自分の中で答えは出ていたのかもしれない。
そして本番、彼は限界を迎えるどころか音程も振付けも一切のミスも無く、最後まで舞台に立ってみせていたのである。
――――しかし、結果は1票差でロイヤルソードアカデミーに敗退。
当然メンバーは悔しがり、涙を流す者も居た。ヴィル自身も、平静を装いつつもやはり悔しがっており、「今すぐロイヤルソードアカデミーのヤツら全員舞台から蹴り落としてやりたいわよ!!」「アタシがアイツらを罵る下品な言葉を口走る前に誰か気絶させてちょうだい!」などと誰よりも苦痛を訴えていた。
そんなヴィルにルークが告げる。自分はロイヤルソードアカデミーに投票した事を。
しかしルークは「キミの美(パワー)を誰よりも信じなければならないのは、キミ自身だ」「己を信じる強さ、誇りこそが世界で一番の美しさ(パワー)なんだ」と進言。ルークの選択肢を決めたのはネージュ達に自分と仲間の力を信じていた姿に美(パワー)を感じたからだ、と認めていたのだった。
まさかの背信行為にヴィルは気を失いかける程のショックを受けたが、ルークの事を自分の感情論で相手を評価する人物ではないと知っている為、この言葉には胸を打たれたようで静かにも珍しく涙した。
ネージュ自身も「君達だって君達にしか出来ない素晴らしいパフォーマンスだったよ」「ヴィーくん達に投票した人にとっては、君らが”世界一”なんだ」と称賛しており、その後彼に誘われてヴィル達も一緒になって『みんなでヤッホー!』を披露させられた。
一応彼に合わせて笑顔で対応していた……が、「やっぱり誰か今すぐアタシを気絶させて!!」と今一度苦痛の叫びを訴えたのだった。
ちなみに今回は外部の者も多く集まる総合文化祭でそれも野外のコロシアムで事件が起きてしまったのだが、ヴィルのユニーク魔法で生み出した強力な毒霧とコロシアムの特殊な結界で密閉空間状態になった事で表沙汰にならずに終わっている。
更には(開場2時間前に)内部に入ったマレウスの介入で崩壊したステージが何も無かったかの様に修復された事で予定通りVDCの幕が上げられた為この事件も関係者以外に知られる事もないだろう(但し証拠は残っており照明関係のプログラムデータだけが消えていたり大掛かりな魔力を使った痕跡が残されていた為、勘の良い者達は”何か”があった事を察していたようだ)。
なおこれまでオーバーブロットしたキャラクターはオーバーブロット前にも被害者を出したり特定の人物を貶めようとしていたりとそれなりの予兆を見せていたが、現時点では(周囲の助けもあり)オーバーブロット前には被害者を出していない唯一のキャラクターである。