概要
登場作品は機動戦士ガンダムの外伝であるOVA機動戦士ガンダム第08MS小隊。デザイナーは山根公利氏。
アプサラスⅡとの戦闘により大破した極東方面軍コジマ大隊第08MS小隊隊長シロー・アマダ少尉の陸戦型ガンダムを現地仕様に大規模改修した姿である。ワンオフの機体であり、量産はされていない。
Ez8は「Extra-Zero-8」(08小隊特別機)の略。便宜上付与されたもので、地球連邦軍の制式番号ではない。
機体解説
形式番号はRX-79[G]Ez-8。
陸戦型ガンダムはそれ自体が品質検査に適合しなかった余剰パーツで建造された機体であったため、戦線での補修用パーツの供給は十分でなく、改修には陸戦型ジムのパーツや現地調達の各種ジャンクパーツ等が利用された。
本機はそのような現地改修機の一つであり、その際、破損部の補修だけでなく、陸戦型ガンダムの運用により浮上した問題点をフィードバックし固定武装の変更も行われている。
特徴的なのはガンダムのシンボルとも言えるV型アンテナは対アプサラス戦で破損したため廃止し、ロッドアンテナを用いている点である。
ロッドアンテナを採用した理由として、密林での戦闘の際、V型アンテナの破損率が高かったためと言われている。
また吸気口や首関節部への被弾や密林での使用による異物の進入を抑えるため、チンガードなどの増設が行われている。
胸部装甲板には撃破したザクⅡのシールド2枚を利用している。これにより耐弾性能がより高まっており、BDボックス特典アニメ『三次元との戦い』ではオリジナルの陸戦型ガンダムが耐えられなかったマゼラトップ砲の直撃にも耐えている。
ちなみに胸部に描かれた"81"の文字は、08小隊の1号機(隊長機)の意味。
膝アーマーは射撃の際地面に突き刺し機体を安定することができるものに変更されている。
改修により材質のグレードが低下している箇所もあるが、装甲形状の単純化により軽量化と対弾性、整備性の向上が図られている。
武装
固定武装として、脚部にビームサーベルを装備している点には変更は無いが、それ以外の武装の変更が行われている。
コクピット周辺の耐弾性の低下や射角が制限されるなどの理由で問題があった胸部のバルカン砲は再び頭部に2門のバルカン砲へと変更が行われた。口径は35mmであり、RX-78の60mmと比較し威力が低下している他、液体炸薬ではなく薬莢を用いる方式となっており、頭部に排莢口が設けられることとなった。
胸部装甲は丸ごと交換され、マルチランチャーは廃止された。
胸部バルカン砲を廃した替わりに胸部中央に口径12.7mmの対歩兵用の旋回式バルカン砲が設置された。水平角±60度、俯角20度、仰角60度の射角を持ち、併設されたセンサーによって照準を行う。
脚部のニースパイクも改良され、軽量化と耐弾性が向上した。
携行武装は陸戦型ガンダムの改修機ということもあり、同機の兵装はすべて使用可能であった。
シールドは追加装甲が施され、耐弾性能が向上した。
倍返し
元ネタはグフ・カスタムとの戦闘シーンでシローが言った台詞だが、
スパロボ等では全弾発射という必殺技扱いにされている。
頭部バルカン砲、胸部旋回式バルカン砲、100ミリマシンガンを乱射し、敵に対し弾幕を展開するというもの。発動時にシローが「倍返しだああああっ!!」と絶叫していた為、この名前で呼ばれることが多い。
必殺技と言うものの、発射した火器は全て小口径の実弾火器なので「必殺」の威力を持つとは言い難い。また、あくまで敵の注意を護衛対象から逸らす為のものだった為、あえてグフ・カスタムに狙いを定めず移動予測地点を薙ぎ払うように発射している。
だが、この目論見は歴戦のノリス・パッカードに看破され、その場に制止することで全弾回避されてしまった。
その他
- 本機のパイロットであるシローを演じた檜山修之氏は、一番好きなMSにEz-8を挙げている。
- なお「イージーエイト」の呼称は、アメリカ軍が大戦中に開発したM4シャーマン戦車の強化型で、戦後に日本の自衛隊でも使用されたM4A3E8戦車の愛称に由来する。
- ゲーム作品等では「全弾発射」、「強襲攻撃」などと呼称されている。また、弾幕が収束して敵に全弾命中し、大ダメージを与えるという形に改変されている事が多い。
バリエーション
Ez8改
Ez8を宇宙戦用に改修したゲームオリジナル機体。
素体である陸戦型ガンダムはガンダムの余剰パーツを流用して作られた機体であり、Ez8は陸戦型ガンダムを現地でジムなどのパーツを流用して改修した機体である。
そしてEz8改はEz8を、更に宇宙用ジムや正規ガンダム(RX-78)のパーツを流用して性能そのままの状態で宇宙対応化した機体である。
そもそもギャザービートではEz8の出自が原作と違い、シロー機とは別の不調な陸戦型ガンダムがニナ・パープルトンが改修し、アルフ・カムラがシローに乗ってもらうのがいいと提案したことでシロー機になった経緯がある。戦場が宇宙に移ることで愛機が宇宙では戦えないと残念がったシローに対し、宇宙用に改造して愛機と宇宙でも戦えるようにしたのがそもそもの登場経緯(陸戦型ガンダム自体、改造さえすれば宇宙でも戦えるという前例はある)。
地味に武装が強化されており、180mmキャノンは200mmキャノンに口径アップしている。
地形適応は初代ギャザービートが「宇宙」、ギャザービート2以降は「汎用」。
ギャザービート2では設定が変わり、陸戦型ガンダムベースのEz8をグリプス戦役期の技術を導入して性能底上げした機体で、一年戦争時からのシロー機である。見た目は全く変わりないが、性能上はグリプス戦役期のMSにも引けを取らない。
Ez8HMC
Ez8改をあり合わせのパーツで高速戦闘用に改修した機体。
HMCとは「ハイ・モビリティー・カスタム」の略称である。
Ez8の分厚い装甲を取り外したり新たに新造した肉抜き穴装甲換装等で減らしての軽量化、可動式スラスター装備、バーニアの増設により、機動力が大きく増している。反面、機動力にのみ特化していることもあり、武装は貧弱、防御力も極めて低いという極端な性能となっている。スラスターの出所はなんとジャンクパーツ。どこぞのジャンク屋も驚きである。
ギャザービート2以降は「解体」でEz8改に戻せるので、状況に応じて使い分けてもいいかもしれない。ただし、どの作品でも軽量化しまくったせいなのか地形適応は「宇宙」なので、地上では出撃できないことに注意。
Ez8HAC
Ez8改をあり合わせのパーツで砲戦仕様に改修した機体。
HACとは「ヘビー・アームド・カスタム」の略称である。
サラミス級巡洋艦の主砲より流用した大きめのビームキャノンを左右の腰に装備しているため、高い火力を持つ。射撃のぶれを防ぐため脚にはボールのマニピュレーターを流用して砲身を支え、大出力を実現するため背面武装コンテナまでも改造してコンデンサーとして使っている。だがHMCと同じく極端な性能になっており、こちらは射撃以外の性能は低く、砲撃支援のみを想定した機体となっている。火力はあのシャア・アズナブルをも驚愕させるほど高い。このパーツもやっぱりどこからともなく調達してきた代物。
初代ギャザービートではサラミス砲は間接攻撃にしか使えないため使い勝手がいまひとつだったが、以降の作品では通常戦闘にも使えるよう改善された。
ゲームでは使用出来ないが、ビームサーベルを装備している。また、マシンガンを装備してMS戦に対応している。HMC同様、ギャザービート2以降は解体で一つ前の段階に戻せるので、パーツさえあればどちらの形態にも変更できる。地形適応は初期は「宇宙」だったが、後期の作品では「汎用」。HMCと違い地上でも出撃できるのが強み。
立体物
1/144 MG1/100 HGUC BB戦士、SDガンダムフルカラーシリーズにてラインナップ。
1/144、HGUCには、ビームライフル、シールド、ビームサーベル、パラシュートパックが同梱しており、劇中同様に装備可能。
MG1/100には、ビームサーベル、100mmマシンガン、シールド、ロケットランチャー、コンテナユニットが同梱、ロケットランチャーは分解しコンテナユニットに収納することができる。
BB戦士には、ビームサーベル、ビームライフル、シールド、ロケットランチャー、ミサイルランチャーが同梱しロケットランチャーとミサイルランチャーは劇中同様にコンテナユニットに収納可能。
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