国家が相手である別の国家と敵対ている事を認め、相手国及び中立国に対し戦う事を公式に宣言する事。
この状況に至る状況
基本的に何らかの件で外交交渉を行い、それがうまくいかない場合、最後通牒、すなわち「国際交渉において最終的な要求を文書で提示することで交渉の終わりを示唆し、それを相手国が受け入れなければ交渉を打ち切る意思を表明する」行為が行われる。
そして当事者及び第三国に宣戦布告が行われ、開戦となり、戦闘開始となる。
種類としては提出された最後通牒の期限が経過した場合、当事国に対し宣戦布告を行ったとみなされる。
またこれにより他国には戦時国際法、中立等に関する条約による中立国の義務が発生する。
歴史
この行為自体はルネッサンス時代から存在したといわれる。
また近代においては日露戦争において他国に対しこの行為が行われず、戦争が開始されたこと( ただし、日本国はロシア帝国に対し最後通牒は行っているため、違法ではないという扱い )が問題となったことにより、国際法である開戦に関する条約が成立した。
ただし、第一次世界大戦以後において中立国に関することや奇襲を成立させるためにこの行為がなされなかった事例は数多く存在している。例としては太平洋戦争以前の日中戦争、ドイツとソ連によるポーランドへの侵攻、ドイツとソ連が戦争状態に陥った独ソ戦などである。
国際連合においては自衛権の行使に関して国連安全保障理事会への報告義務及び加盟国間の戦争の禁止によりこれのない戦争実質上封鎖している。
その他もろもろ
- モンテネグロは日露戦争の際、日本国に対し宣戦布告を行った。ところが、これは当時日本国に無視されそのまま忘れ去られていた。その状態はユーゴスラビアへの併合まで続いていたが、ユーゴスラビアはその宣戦布告は解除されたとした。ところが、モンテネグロが独立した際、その宣戦布告が復活したことになり、改めて日本国に確認を行う、という事態となった。
- コスタリカは第一次世界大戦においてドイツ帝国に宣戦布告を行った。しかし、戦勝国側が政府自体を承認していなかったことにより講和会議に呼ばれることはなく、その政府自体も決定が無効とされたため、講和が現在でも行われていない。
- ドイツと連合国においてはすべての国がナチスドイツの継承国と認められる政府が1990年のドイツ統一まで存在しなかったため、戦争の外交上の終了が行われなかった。
小説および映画
麻生機が1998年に書かれたポリティカルサスペンス小説。1996年に実際に起こった北朝鮮の韓国への潜水艦侵入事件をモデルにしたもので、作中では北朝鮮によるテロが題材となっているが、刊行直後に北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、タイムリーな題材として注目と人気が高かった。
2002年に映画化されたが、作中では北朝鮮をモデルとした架空国家「北東人民共和国」と変えられ、制作にあたっては防衛庁も自衛隊も協力を拒まれ、スタッフは政府施設セットや備品、制服などを自力で調達や制作することとなった。
内容
福井県敦賀湾で北朝鮮(映画では北東人民共和国)の潜水艦が発見され、特殊工作部隊が原発テロを目的に上陸したことが判明。しかし、総理をはじめ政府は前代未聞の有事に混乱して指示が二転三転し、法律の縛りや世論の意識から対処が後手に回り犠牲者が増え、やっと自衛隊が出動しても苦戦を強いられ次々に死傷者を出してしまう。
ところが件の国は自衛隊出動を自国への「宣戦布告」と見なして艦隊を派遣し、それに呼応するように周辺各国が次々に臨戦態勢に入ってしまう。ついには核ミサイルの発射準備を始め、米軍まで動き出し、事態はアジアを、世界を巻き込んだ世界大戦に発展しようとしていた。