概要
東映アニメーションとニトロプラスによるオリジナルフル3Dアニメ映画。
正式名称は『楽園追放 -Expelled from Paradise-』。
本作は、荒廃した地球を舞台に肉体を捨て電脳空間で生きる人類と、肉体を持ったまま地上で生活する人類との価値観の違いを描いたSFアニメである。
アニメーション制作はかつてのGONZOデジタル映像部門の流れを汲む『グラフィニカ』が担当。
監督は「鋼の錬金術師」「機動戦士ガンダム00」等を手掛けた水島精二。脚本は「魔法少女まどか☆マギカ」「仮面ライダー鎧武」等で有名な虚淵玄が手掛けた。
キャラクターデザイン・メインメカニックデザインは新進のデザイナー齋藤将嗣、音楽は「UN-GO」「はなまる幼稚園」で水島と仕事を共にしたNARASAKIの手による。
また、「交響詩篇エウレカセブン」の京田知己が本編演出を手掛け、板野サーカスで知られる巨匠板野一郎がモーションアドバイザーとして京田の補佐を務めた。
本作は水島精二と虚淵玄という二人のクリエイターの作風が融合した作品として評価が高く、また本作のヒロイン、アンジェラ・バルザックのMMDモデルが映画上映に先駆け雑誌「Windows100%」に収録された事も話題を呼んだ。
また、虚淵の手がけたアニメ作品としては、比較的初期段階にシナリオが執筆されたものであるためか、難解な台詞回しが多く、キャスト陣の間では、このことが「何を言ってるのか分からない」と笑い話の種になっている(ただし約一名本気で悩んだ人もいる)。
2017年3月26日には、TOKYOMXで地上波初放送。これは、4月から放送される正解するカドの制作にも東映アニメーションが関わっている為と思われる。
2018年11月19日にはスーパーロボット大戦Tへの参戦が発表された。
ストーリー
われわれはどこから来たのか われわれは何者か
われわれはどこへ行くのか――。
地球はナノハザードにより廃墟と化した。
その後の西暦2400年、大半の人類は知能だけの電脳世界ディーヴァに生きていた。
電脳世界に住む捜査官アンジェラは、
闘力を誇るスーツ・アーハンを身につけ地上に初めて降り立った。
そして地上調査員ディンゴと共に地上のサバイバルな世界に旅立った。
(公式サイトより)
主要キャラクター
アンジェラ・バルザック(CV:釘宮理恵)
ディンゴ(ザリク・カジワラ)(CV:三木眞一郎)
フロンティアセッター(CV:神谷浩史)
登場メカニック
ディーヴァ保安局のエージェントがマテリアルボディを使用して地上へ赴く際に使用する、機動外骨格。
通常は球形の収納形態を採るが、戦闘時に人型形態に変形する。コックピットはバイクスタイルで乗り込む形式を採っており、これは後継機であるニューアーハンも同様。
ディーヴァから衛星回線を経由した演算バックアップによる高い戦闘能力を発揮するが、照準補正を始めとする高度な機能は完全にディーヴァに依存しており、スタンドアローンでの戦闘能力はそれほどでもない。
背部にディーヴァからバックアップを受ける為の通信用アンテナがあり、これを破壊された場合は駆動関連の制御も不可能となり、機能を停止する。
ディーヴァが開発したアーハンの新世代モデル。収納形態は球形であったアーハンに対して卵型となっており、人型形態の体格もアーハンと比較してスマートになっている。
人間一人分の電脳パーソナリティを確保可能な大容量メモリを搭載しており、パイロットがマテリアルボディを持たない状態、すなわち電脳パーソナリティのままであっても運用可能。
専門用語
- ナノハザード
環境改善用ナノマシンの暴走によって地球文明の崩壊と自然環境の激変を招いた、120年前の大災厄。
これによって地球は荒廃した大地となり、サンドワームを始めとする異形の生物が生息する世界へ変容した。
ナノハザード以降人類の98%は「電脳パーソナリティ」と呼ばれるデータ集合体となって電脳空間「ディーヴァ」へ移住しているが、残りの2%は肉体を持ったまま地上で生活を送っている。
地上の工業技術は大幅に衰退しており、旧時代の都市遺跡から発掘される集積回路や合成肥料は貴重品と言える。
- ディーヴァ
月と地球の間にあるラグランジュ1に建造された宇宙ステーション。
肉体を持った人間は居住しておらず、電脳パーソナリティとなった人間達が電脳空間で生活を送っている。一方で、電脳空間で様々な悦楽を得られる事から、地上の人間達とメンタリティに差異が見られる。
ディーヴァ傘下の組織として保安局があり、高度な科学力と軍備力を以ってディーヴァの平和と秩序の下に活動を行う。
人類の98%がこのディーヴァで生活を送っているが、ディーヴァという施設の演算リソースは有限であり、パーソナリティに割り振られるメモリはそのパーソナリティの能力によって上下し、有能なパーソナリティには優先的にメモリが割り当てられるが、怠け者、向上心の無い者は逆にアーカイブ凍結などの処罰が下される。その為、アンジェラ達保安局のエージェントはメモリという報酬を得る為に任務を遂行する(中にはメモリの割り当てが少なくてもルームシェア感覚でメモリを共有する者達も居る)。
地上の人間ともコンタクトは行われており、保安局の任務活動が地上にも及ぶ場合は、鉱物資源などのデータを報酬に地上の人間がエージェントとして徴用される事例もある。
- マテリアルボディ
ディーヴァの住人が地上で活動する為のクローンボディ。
使用者の遺伝子情報をベースに高速で復元されパーソナルデータをこの肉体に移して使用される(これは、ディーヴァの住人達は生まれた瞬間から電脳空間で生きているのではなく、一度は肉体を持った生命として誕生している事を示している)。
パーソナルデータがディーヴァへ帰還した際にはマテリアルボディは昏眠状態となり、任務終了後はテロメア短縮コードが打ち込まれ処分される。これは、ディーヴァの住人達にとって不要品、消耗品を捨てるのと同じ感覚だが、これを処理する地上の人間にとっては遺体を取り扱うのと同義である。
主題歌
「EONIAN -イオニアン-」作詞 - 六ツ見純代 / 作曲 - Mish-Mosh / 編曲 - 前口渉 / 歌 - ELISA
劇中では「ALISE(ELISAのアナグラム)」という歌手の楽曲として設定されており、登場人物が歌う場面がある。
関連イラスト
関連項目
青の6号 - CGの実験的作品である事やGONZOの3DCGの評価を決定づけた事などアニメーションの歴史的な共通項が多い。
うーさーのその日暮らし - 水島精二繋がりとも言えるコラボでアンジェラ・バルザックが夢幻編にゲスト出演。そして、ダスウサの中の人は…。