世にはびこる悪を斬る‼️
概要
1978年から2002年にかけてテレビ朝日にて放送された時代劇シリーズ。
1978年に放送された第1作『吉宗評判記 暴れん坊将軍』から2002年まで続いたシリーズ12作、2008年までに放送された3本の特別編を合わせて30年近くも松平健が吉宗役を演じ続けており、彼の代表作と呼べる作品となった。
2019年には若き日の暴れん坊将軍をイメージした作品として『紀州藩主 徳川吉宗』が放送され、山本耕史が吉宗を演じた。
作風
江戸の平和のために徳川吉宗(上様)が世にはびこる悪を「成敗」するストーリー。
白馬にまたがり颯爽と駆けるオープニングや悪党たちを懲らしめる爽快な殺陣シーン、またそれらに使用されるテーマソングが有名。
普段吉宗は江戸の町へお忍びで出向くときには「徳田新之助」という偽名(新之助は実在の吉宗の旧名)を名乗り、肩書きも「貧乏旗本の三男坊」と称し一般人を装っており、ごく一部を除いて彼が将軍であることは知られていない。
顔を見ればどう考えても上様と分かるのだが、写真もTVもネットも存在しない時代、大名やその子弟であってもお目通りが叶う者が限られるような状態であり、江戸の庶民が将軍の顔を知らないのは当然である。
また、初回にて御簾を常に上げ続けて謁見者に必ず素顔を晒し、表舞台に立ち続ける破天荒な将軍であることが描写されており、これが「余の顔を見忘れたか!」という恫喝に繋がっていく。
話数の示すように物語のパターンが非常に多く、いろんな意味で見所(後述)。
善人
ストーリーには、必ずゲスト枠として「善人」が登場する。襲われようとするところを救われる、め組の知り合いといった理由で徳田と知り合い、事件の解決につなぐ糸口ともいわれる重要な存在。善人と言っても、盗賊の一人、結婚詐欺犯、黒幕に仕える者など根から心が良い人とは限らない。
黒幕のしぶとい性格のせいで事件に巻き込まれ、命の危険にさらされるパターンが多い。中には一歩届かず命を落としビターエンドとなる話もある。尤も、善人の要望が叶いハッピーエンドとなることが殆ど。
御庭番
実際に吉宗が設けた、身分を隠してスパイ行動を行う隠密。夫婦、剪定師、はたまた娼婦とたくさんの変装をする。このほか、善人がピンチに遭おうとすれば早急救助に駆け付ける。
シリーズに登場する御庭番は男女のペアで、シリーズ別に異なる。
殺陣では吉宗の命により、黒幕にとどめを刺す。
吉宗の"ラス立ち"
終盤、黒幕らが不穏な盛り上がりを見せたところに吉宗が登場する。基本的には以下の2パターンであるが、併用することもある。
- 一言を言って登場:「その悪行、許すわけにはいかんな」「余の目は節穴ではない」「身内同士の喧嘩はそれまでにしておけ」大体はエコーがかかっている。
- 善人を殺そうと振るう凶器に備品を当てる:殆どは自らの所有する「正義」と書かれた扇子、手投げ弾、事件の証拠品など。吉宗がピンチに陥った時は、御庭番が手投げ弾を仕掛けそのまま殺陣に突入した。
顔を思い出させるパターン
黒幕に犯した罪を述べる後(前もある)、傲慢な態度をとる黒幕に自分の顔を思い出させ、自分が上様であると認識させる。
- 吉宗自ら暗示させる:「余(主)の顔を見忘れたか!」稀に「その(目安箱に書いた)願い、引き受けようと言ったらどうする?」など間接的な一言もある。
- 側近が一喝する:水戸黄門の如く、御庭番、爺、大岡などが「この方をどなたと心得る!」「8代将軍徳川吉宗公にあらせられるぞ!」
- 見せない:尺の都合で新之助=吉宗であることを暗示させず、殺陣に突入する場合。
- 黒幕自ら思い出す:脳裏に上様の顔が過ぎり控える。
「何?」と顔をしかめながら顔を見つめると、カーンの音と共に将軍謁見の記憶が呼び起され、「上様…!」と驚き、恐れ戦け平服する。現場に善人がいた場合「え!?上様!?」と同様平服する。
吉宗は「この場に於いて腹を斬れ!」「天下万民に成り代わり成敗いたす!」などと厳しい沙汰を迫る。
悪人の反逆パターン
黒幕は上様を前にしても改善の余地は全く見せようとせず、寧ろ邪魔な吉宗を暗殺しようとかかってくる。以下はその台詞パターンである。
- すっとぼける:「上様がこのような所に来られるはずがない」 「上様の名を騙る不届き者だ」「上様の顔を忘れた」
- 堂々と反逆する:「上様とて構わぬ」「八代将軍もこれで終わりぞ」「ここで死ねばただの徳田新之助」「腹を斬るのは拙者ではなく上様である」
- 自暴自棄になる:「そこまでばれているのなら、毒を食うは皿まで」「もはやこれまで…」
- その他:「我ら幕臣あっての上様ではないか」「上様と太刀交えるは武門の誉れ」
「出合え!出合え出合えーーーーっ!!!」
殺陣
番組最大の見せ場。黒幕が下っ端を呼び「斬れ!斬り捨てい!」と一同が刀を構える。吉宗は無音で太刀を取り出し、立て構えた状態で「カチャ」と回すと殺陣が開始される合図である。
下っ端は基本的に峰打ちで倒しており、黒幕は追い詰めて成敗する。
もっとも隠密は対峙する敵は手加減なしで斬っており、敵組織のボスが吉宗を相手にするので手を出すなと命じたために部下達は皆が隠密に向かっていって全員斬られた事もあった。又側近ぐるみで自身を暗殺するような最上級の悪行に対しては、手下共々マジ切りした。
成敗
- 御庭番にとどめを刺させる:吉宗の「成敗!」という命で、2人の御庭番が黒幕の息の根を止める。大体の成敗はこれが占める。理由としては自分が斬ることで名誉になることをあえて回避するためと言われる。
- 自ら斬る:吉宗の怒りが収まらい程黒幕があまりにも凶悪な場合、自ら斬り捨てる。
- 黒幕が自刃する:所謂切腹に当たるが、手下を巻き込んでいるなどの往生際の悪さから事実上の自殺である。
- 黒幕に殺害された遺族らが敵討ちで成敗する:仇と狙うものが同席した際、確実に仕留めるため吉宗が黒幕の太刀を叩き落とし、遺族らに「(遺族の名前)さん、今だ!」「(犠牲者の名前)の仇を討て!」という言葉を発して実行させる。
- 峰討ちで気絶させ、後に沙汰を言い渡す:Ⅰの大半によく見られた。内容は殺陣終了後のナレーションで説明される。
- その場で切腹を申し付ける:朝右衛門などが介錯をする。
- 叩きつけて屈服させる:黒幕が降参する。
吉宗の裁き
黒幕がその場に居合わせなかった場合、黒幕を城中に呼び出す。大体は「上げて落とす」手段を用いる。
- 下賜品として事件関係の品を出す:事件関係品を出された黒幕が身を固くすると吉宗の態度が一変し、処分を下す。
- 黒幕の表向きの政策を称賛した後悪事を暴く:「一つだけ困った(残念な)ことがあるんだ」などと言ったのち悪事を話題に出し、処分を下す。
- 遠まわしに尋問の末悪事を暴く:大体は証拠品がないことをいいことに白を切るが、承認を突き付けられると吉宗に切りかかろうとして取り押さえられるなどのオチ。
- いきなり処分する:文字通り。尺の都合か。
まさかの客演
2011年の劇場版『仮面ライダーOOO』に上様がゲスト出演することが発表され、松平氏本人もこれにはビックリしたらしい。
PS3ゲーム「仮面ライダー バトライド・ウォーII」にもそのまま登場する事が確定。もしかしたら使用可能キャラになるかも……と思ったらマジで使用キャラになるようである(ただし、ミッション「将軍の日常」と「将軍VS破壊者」の2つのみ)。
作中では最初からレベル99というとんでもない設定となっており、悪の組織からも『仮面ライダーに匹敵する危険な存在』として危険視されている。
余談
本作もテレビ朝日の飛躍・発展に貢献したが、平成のANNネットワーク拡大運動期間中の1994年以降は、予算制限が掛かり特番休止の多発を余儀なくされる。
ネットワーク拡大運動終了後、シリーズ末期は何と木曜夜7時!へ時間帯移動を余儀なくされた。
関連動画
関連イラスト
このゲームに登場したら、やたら適合クラスが多そうである。
関連タグ
大岡越前……こっちでも上様が出てくるが、自由奔放すぎてトラブルメーカーになりやすい困った上様である。
水戸光圀……作中で「水戸光圀公の諸国漫遊の絵草子」をネタにした回がある他、光圀の甥にして養子の徳川綱條が『水戸黄門漫遊記』を読んだ影響で世直しごっこに興じる回がある。また、反対にTBSドラマ『水戸黄門』では、若き日の吉宗が文字通り暴れん坊の放蕩若侍として登場して、光圀から人の上に立つ者としての在り方を説かれる回がある。
響け!ユーフォニアム...暴れん坊将軍の楽曲が使用されたアニメ作品。吹奏楽バージョンが本編中で流れた。
大阪近鉄バファローズ/オリックス・バファローズ...原初のチャンステーマである応援歌・「扇子」の原曲。
中村紀洋...横浜DeNAベイスターズ時代の登場曲。