概要
南米のベネズエラやコロンビアに分布しているカブトムシ。標高1500m以上の竹林に生息。
学名 「Golofa porteri」(ゴロファ・ポルテリ)のまま呼ばれたり、ポルテリータテヅノカブトとも呼ばれたりする。
体長は最大85mm程度とされていたが飼育下で100mmを超える個体も報告されている。
他のタテヅノカブト属(Golofa)に属するカブトムシと同じく雄の背中はオレンジ色~茶色で、名の通り胸角が縦に伸びる。異様に長い前脚とノコギリのある頭角が本種の特徴。
ベネズエラでは雨季の6月〜7月に発生し、その時期に出る竹の新芽の汁を吸う。強靭な角で相手を落とす多くのカブトムシとは異なって、長い前脚で相手の足場を無くさせながら、フェンシングのように華奢な頭角で投げ落とすというテクニカルな方法で戦う。
甲虫王者ムシキング
初期シリーズより登場。
つよさ100のアタックタイプで必殺技のすくみはパー。肩書きは「恐怖の前足」。
カードに表記されている体長が65ミリメートルとだいぶ控えめな大きさとなっている。
このことや、(アダー完結編以前の)ゲーム上のグラフィックやカードイラストでは上翅がレモンの皮のような色や質感をしており、特徴的な頭角のノコギリ状の突起も再現されていないことから似た外見の種である「エアクスタテヅノカブト」(後述)をモデルにしてしまっていると誤解するユーザーも散見される。
しかし、公式が発売していた本作のカードイラストとモデルとなった昆虫の標本を比較する児童書『甲虫王者ムシキング カブトムシ・クワガタムシ大ずかん』でのノコギリタテヅノカブトの標本の写真には本種が使用されているためこの説は誤りであることがわかる。
おそらくだが、当時はまだ外国産カブトムシやクワガタが現在以上に大変高価なものであったため資料として角の短い小型個体の標本しか入手できなかった可能性や、体色も標本の色褪せたものを参考にしたこと、技術的な制約が理由であると思われる。
また、本種とエアクスは一見似ているとはいえ角の形状や長さ、全体的なプロポーションは全く異なる。
余談だが、このデマが流布される発端となったツイートは、SEGAとも監修元のむし社とも関係ない一昆虫写真家の発言であることに留意したい。
キプルツヤクワガタの登場していない『甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道DS』においてはムシキング・テリーの相棒として抜擢されていた。
超必殺技は「(スーパー)サイドロックボム」、アダー完結編以降の必殺技は「(スーパー)ソードアンドスフィア」。
新甲虫王者ムシキング
2016 3rdより登場。レアリティはSR(旧作のつよさ160~180相当)。
肩書き、必殺技は旧作(アダー完結編以降)と同じ。
SR甲虫の中では超大型標準値でも65mmと、最も小柄なムシとなっている。
鳴き声に関しては、ロケテストバージョンにて全てのムシの鳴き声として、以降も2016ファーストまではCPUのムシを怒らせた際に発する鳴き声として使用されていた。
肝心の本人の鳴き声はというと、旧作にてカウントダウン中に発する短めな鳴き声の方が採用されておりミヤマクワガタと同様の待遇となってしまった。
2016サード後期より登場した赤目タランドゥスステージ以外には基本的に出現しないというSR甲虫としては珍しい特徴があり、実装当初は入手が極めて困難だった。(ただしバイオリンムシ、アカネクマゼミとは異なり新規記録カードを用いたSR以上確定枠には含まれるため、入手自体は可能ではあった。)
希少性だけで言えばバイオリンムシらにも劣らないものはあったものの、覚醒ヘルクレスオキシデンタリスの完全下位互換に当たる性能も手伝って特に高騰することは無かった。
激闘2弾以降は後述の「ポルテリータテヅノカブト」に統合されSRとしての再登場はしておらず、台湾版にはティティウスヒラタクワガタ共々未登場となってしまった。
そして激闘2弾より「ポルテリータテヅノカブト」が新規参戦することが判明。レアリティはSSR、肩書きは「伝家の大鋸(おおのこ)」、必殺技はパーの「ポルテリーウィップ」。
先述の通り「ポルテリ」はノコギリタテヅノカブトの学名であり、そのノコギリタテヅノカブトは参戦済みなので、だとしたらコイツは一体何なんだと思われていたが、現実のノコギリタテヅノカブトの最大サイズが大きく更新されているために別枠のSSRとする措置が取られた、つまり「SSR:ポルテリータテヅノカブト」と「SR:ノコギリタテヅノカブト」は別枠だが同種であるということが公式HPで明言された。
同種で上位レアリティなので、実質的に覚醒甲虫とも見てとれる。
肝心な性能は攻撃力 120・テクニック 110に加えお助け相性がかのアクティオンと同じグー+チョキ+パーと、スマトラオオヒラタクワガタと同等かそれ以上の攻撃特化である。
超神化3弾においてブラック甲虫として再収録。以前と同様のお助け相性に加えて、テクニックが伸びている。
超神化2弾ではチョキに炎のスーパーVブースターを持った激闘2弾仕様のポルテリーがNPC専用のムシとして登場した。
主な他のタテヅノカブト属の種
ヒシガタタテヅノカブト(G claviger)
学名からクラビゲールタテヅノカブトとも呼ばれる。
♂は名前の通り菱形の胸角を持ち前胸が若い個体だとピスタチオのような鮮やかな緑色をしているという派手な外見だが、♀は表は黒色、裏はクリーム色という地味な外見であり、そのことも相まって長らく♀は珍品とされていた。
寿命はカブトムシの中でも断トツに短く、突然ポックリと死んでしまうことも珍しくない。
甲虫王者ムシキングではつよさ120のアタックタイプとして登場。
超必殺技は「カザグルマ」。
新甲虫王者ムシキングではRとして登場した。
ピサロタテヅノカブト(G pizarro)
メキシコに生息する。
胸角が十字架を膨らませたような形をしている。
名前の由来はインカ帝国を侵略した十字軍の隊長だったピサロから。
サレイという前胸が黒くなる亜種が存在する。
甲虫王者ムシキングではアダー完結編から登場していたが、新甲虫王者ムシキングでは未登場に終わった。
エアクスタテヅノカブト(G eacus)
別名ゴロファ・エアクス。
中南米に広く分布する。
ノコギリタテヅノカブトを小さくし、全体的に太短くしたような外見からヒメノコギリタテヅノカブトとも以前は呼ばれていた。
♂の体色は艶消し状のクリーム色で胸角先端が広がる。
同種間でも個体差、地域差が激しく、特に♀は全身が明るい黄土色の個体から羽だけが黄土色で黒い個体、黒みの強い個体という風に同種の♀とは思えないほどカラーバリエーションに富んでいる。
胸角の先端が割れる点以外は瓜二つのビフィドゥスタテヅノカブト(G bifidus)という種もいるが、文献によってはこちらは本種のシノニム(同一種)として扱われていることから亜種レベルの差しか無いと思われる。
また、これまた非常によく似たエクアトリウスタテヅノカブト(G aequatorius)なる種も記載されているが詳細は不明。
植物防疫法にてなぜか有害種判定を受けており、輸入が禁止されている。(ビフィドゥスは2021年10月現在リストインされていないため同じく輸入禁止、エクアトリウスは輸入可能種に該当している。)
ちなみに、よくゴロファspとして流通している種はほぼ本種の密輸入個体であると思われる。(モラル的な問題や前述の分類の混乱もあるため不用意な同定は推奨できない。)
新甲虫王者ムシキングでは激闘1弾より新規参戦。レアリティはN、肩書きは「金毛の縦角」。必殺技はパーの「ドラゴンスロー」。
アエギオンタテヅノカブト(Golofa aegeon)
アエゴンタテヅノカブトや学名に準拠してアエゲオンタテヅノカブトとも呼ばれる。
エクアドル〜ペルーに生息。
タテヅノカブト属ではノコギリタテヅノカブトに次いで大きくなる種で、ノコギリタテヅノカブトとエアクスタテヅノカブトを足して2で割ったような外見をしている。
♂は頭角胸角共に長く、体色は綺麗な飴色。♀はエアクスと似ている。
ガウジョンタテヅノカブト(G gaujoni)
ペルーに生息。
♂は頭角胸角共に長く、胸角は先端が膨らむ。
体色はクリーム色だが地域によって異なり、赤茶色の地域個体群は亜種とされガウジョンsspとして流通している。
スパサタテヅノカブト(G spatha)
ペルーに生息。
♂の胸角はゴルフクラブのような形状になる。
ちなみに某図鑑ではノコギリタテヅノカブトとして本種の画像を載せてしまっているミスがあった。
テルサンデールタテヅノカブト(G tersander)
メキシコに生息。
30mm前後と小型の種で全身が艶がかった黒色。
胸角が無いため、一見サイカブトの仲間のように見えるが立派なタテヅノカブト属である。
ミヌトゥスタテヅノカブト(G minuta)
チリに生息。
こちらもタテヅノカブト属では小型の種で、♂でも角が殆ど無い。
体色は茶褐色。
クロスジタテヅノカブトという別名を持ちその名の通り前胸に黒い筋が入る。
関連タグ
- カブトムシ
- ヘラクレスオオカブト ゾウカブト : 同じく中南米の大型カブトムシ
- ゴホンヅノカブト:上翅が茶褐色、竹の汁が好物、旧ムシキングでは小型甲虫扱いだったが新ムシキングでSRに出世など共通点が多い