概要
文化や宗教、哲学、常識などの定義に反したり、有害であったり、異なった存在や概念を意味する。その漢字表記で、英語では"Evil"。哲学や宗教では教義において良い行い「善」と対比する位置に置かれ、物語ではその関係を内容に取り上げられることが数多あり、必ず善が悪を除外する「勧善懲悪」は有名な題材。
ただし悪の定義は相対的なものであり、それを判断する者の立場や価値観によって主観的に判断されるものが多い。
また悪と善は本来等価であることから、悪=外道とは必ずしも言えず、悪党でも独自の思想や信念によって行動し、それが時に賞賛される場合もある。
悪とはその社会における少数派でもあるため、時に悪と批難されようとその信念や価値観を貫き通し、何かを成したものはカリスマとして取り上げられることもある。
歴史的変化に注意
中世・古代における「悪」は現代とニュアンスが異なるので注意が必要。秩序に敵対し秩序を破壊する者という意味だけでなく、慣習よりも理論を尊重するという意味、性質や能力があまりに優れていることを恐れた表現でもある。
例えば鎌倉時代に活躍した「悪党」とは、鎌倉幕府に従わない賊という意味と人並み外れて強い者という意味がある。それゆえ楠木正成や名和長年等は悪党と考えられたのだ。また源義平が「悪源太」と呼ばれたのもその恐るべき武勇故である。藤原頼長に至っては、貴族社会の秩序を破壊し、理論派であり、学識にも優れてまさに悪左府の異名にふさわしいと言える。
関連タグ
度合・状態など
生物・人物など
対義語