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源義平

みなもとのよしひら

源氏の武士。源頼朝の兄。鎌倉悪源太の異名で恐れられた猛将。1141~1160。
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概要編集

河内源氏の棟梁源義朝の長男であり、後の征夷大将軍源頼朝の兄にあたる。母は三浦義明の娘とされる(異説もあり)。

大蔵合戦編集

源為義の長男・義朝は相模国を本拠地として勢力を広げていた。これに対抗して為義は次男・源義賢を北関東に送り込み、義賢は地元の豪族・秩父重隆の婿にして養君となり、武蔵国に勢力を伸ばして相模を脅かしていた。1155年、在京していた義朝に代わって東国を担当していた義平は、まだ15歳の若さにして、畠山重能(重忠の父)らと共に武蔵国比企郡の大蔵館にいた義賢を襲い秩父重隆ともども打ち取った。義賢と言えば京都では東宮帯刀先生(とうぐうたちはきせんじょう)、つまり武芸試験に合格した精鋭である皇太子親衛隊のそのまた隊長を務めていたという武勇の人、それを義平少年が打ち破ったことになる。この武名によって、義平は鎌倉悪源太と呼ばれる。鎌倉の恐ろしく強い源氏の長男、という意味である(→)。またこの時信濃に逃れた義賢の次男・駒王丸は後に成長して木曽義仲となった。

平治の乱編集

保元の乱では関東に留まった義平だったが、平治の乱が勃発すると三浦氏や上総氏といった手勢を率いて上京し、平家方と戦う。この時は義平は僅か十七騎で内裏紫宸殿前庭を守り、待賢門にて攻撃側の総大将である平家の嫡男平重盛の五百騎と戦う。そして庭園の左近の桜、右近の橘を巡って重盛を七、八巡りも追い回し、ついに敗走させたという。重盛は予備兵力を率いて再度待賢門に攻め込むが義平は「そなたも嫡男、我も嫡男、不足なし」と追い回して再び敗走させ、遠く堀川まで追って重盛の馬を撃って落馬させる。だが平氏の増援が入って惜しくも重盛を取り逃がしてしまった。その後義朝と合流して六波羅まで追撃を続け、六条河原で戦況を傍観していた源頼政の三百騎を「不利となれば平家につくつもりか、憎い奴め」と蹴散らす。そしてついには六波羅の平清盛の館にまで攻め入り、清盛が「不甲斐なき味方よ、敵将は誰か。太宰大弐清盛が相手となろう」と堂々と出撃してきたので、「悪源太義平ここにあり、清盛公に出会うとは何たる幸運」と挑むも、平家方の軍が遮り源氏方も加勢して一騎討ちはならなかった。しかし、以上のソースは『平治物語』という源氏の世である鎌倉時代に成立した軍記物語なので、多少割り引く必要がありそう。少なくとも重盛ら平家方が退いたのは計略であった模様で、源氏方は六条河原にて平清盛が率いる平家主力の待ち伏せを受け、潰走。義平は落武者狩りで捕縛され、六条河原で斬首されたという。


義平十七騎編集

義平と共に出撃した面々は以下の通りとされる。

  • 鎌田政家(次郎、兵衛尉、正清)…義朝の乳母子。義朝ともども尾張国野間の長田忠致邸で討たれた。
  • 後藤実基(兵衛)…平治の乱後、義朝の娘・坊門姫(一条能保室)を育てた。
  • 佐々木秀義(源三)…宇多源氏近江源氏の初代。佐々木高綱らの父。三日平氏の乱で討死。
  • 三浦義澄(荒次郎)…義明の次男で義村の父。鎌倉二代将軍・源頼家時代の十三人の宿老の一人となる
  • 山内首藤俊綱(滝口、刑部)…父・俊通ともども平治の乱で討死。
  • 長井斎藤実盛(別当)…のち平家方に属し篠原合戦で木曾義仲の家臣・手塚光盛に討たれる
  • 岡部忠澄(六弥太)…一ノ谷の戦いで平忠度を討ち取る。
  • 猪俣範綱(小平六)…一ノ谷の戦いで平盛俊(平盛国の長男)を騙し討ちにする。
  • 熊谷直実(次郎)…一ノ谷の戦いで平敦盛を討ち取る。
  • 波多野延景(次郎)…義通とも。源朝長の母の兄。東国へ落ち延びた後、病死。
  • 平山季重(武者所)…一ノ谷の戦いで熊谷直実と先陣を争う。
  • 金子家忠(十郎)…保元の乱では源為朝の軍勢相手に活躍。十七騎の中では最も長命。
  • 足立遠元(藤太、右馬允)…義澄同様、源頼家の時代に十三人の宿老の一人となる。
  • 上総広常(介八郎)…源頼朝の命で梶原景時に討たれる。
  • 関時員(次郎)
  • 片切景重(小八郎大夫)…平治の乱で戦死。

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