概要
リントとは、特撮作品『仮面ライダークウガ』に登場する部族、及びその部族の人々そのものを指す名称である。超古代の日本に暮らしていた部族で、現代の日本人の祖先とされる。
同じく超古代の日本の住人であったグロンギ族からはゲゲル(=狩り)の対象として殺戮の魔の手を向けられており、敵対関係にある。そのグロンギ族からは、リントの末裔である現代日本人も「リント」と呼称され、ゲゲルの対象となっている。
戦士クウガの登場により全グロンギが封印された事で滅亡は免れ、子孫(=現代日本人)を残しているものの、『クウガ』本編の時間軸では既に滅びを迎えており、僅かに遺跡を残すのみとなっている。
しかし、現代日本人は悲しいかな、後述するリントの倫理観とは違い、殺人などの悪行を犯す種族になってしまっており、クウガにも封印エネルギーを送った対象を爆死させるなどの変化を及ぼした。グロンギは彼らの変化を受けて「リントは変わった」あるいは「グロンギと等しくなった」と評している。
なお、現代のクウガは古代のクウガと比べて「骨がある」らしい(その割に基本4形態で全グロンギを封印しているわけだが)。
文化
城南大学考古学研究室でリント族について研究する沢渡桜子曰く「争いを好まない」部族であり、グロンギの侵攻に対抗せざるを得ない状況に陥るまで「戦士」という概念を持たなかった。
霊石アマダムを用いてアークルや馬の鎧ゴウラムを開発し、長野県の九郎ヶ岳に大規模かつ広範囲な遺跡を建造するなど、非常に高い技術力を持つ。
先述の倫理観故に古代のクウガはグロンギを殺すのではなく、封印することでその脅威を防いだという(必殺技がヒットした事を表すエネルギーが「封印エネルギー」と呼ばれるのもその為)。
「リント文字」(「古代リント文字」とも)と呼ばれる特徴的な文字体系を持ち、様々な事象を図柄に描いた表意文字と、一文字ずつで一音を表す表音文字の2種に大別される。
現代日本人の祖先らしく文法は日本語と大して変わらないようで、文字を逐語訳していく事でそのまま日本語として通じる文章になるのが特徴。
表音文字のモチーフの一例として炎はそのまま漢字の炎、「水龍」は龍の顔、「天馬」はペガサスの顔、「巨人」は筋骨隆々とした巨人、「甲虫」ならばクワガタムシ、「雷」は迸る稲妻が挙げられる。
マイナーなものであれば「死」は骸骨、「永遠」はウロボロス、「歌」は大きく開けた口がモデルである。
清純なものや優しさを水に例える文化があったようで、アルティメットフォームになる兆候を「聖なる泉 枯れ果てし時」はその最たる例である。
他国の伝承に通じる龍や天馬、巨人などの文字も残されているが、これがリント独自の伝承か、なんらかの文化交流によりもたらされたものかは不明(特に巨人は大地を支えると伝承されているようで、どう考えてもギリシャのアトラスを表したものとしか思えない)。
また、時々ゴウラムは言語のような音声を発する事もあり、これはリント語を音読したものであると考察される場合もある(もっとも、ゴウラムの言語は英語文法に則った言語体系であるという解読結果が出てはいるのだが)。
リント文字の特徴としては何らかの行為を表す字には漢字の人偏やタレのような人型の文字が配置される部首のようなものを用いている点が特徴的である。大抵は座っている/立っている棒人間の姿で描かれる(以下、酷似した部首で書き表す)。
例えば、方向を表す文字の場合は人偏+矢印で表記する。例えば下であれば、矢印は下を向いているのである。
また、棒人間だけで構成される文字も存在する。例えば「汝」であれば相手を指す人、「心優しき」であれば手を繋ぐ人を表している。
つまり、形態としては数ある表音文字の中でも漢字に近いと推測される。
作中での碑文の一例
- 汝 これを見る時 部屋を明るくし 出来る限り離れよ(番組開始時のテロップ)
- 警告 戦士の屍に触れることなかれ 戦士 姿を消す時 死と邪悪の恐怖再び大地に蔓延らん(第1話)
- 戦士の瞼の下 大いなる瞳になりし時 何人もその眠り妨げるなかれ(第19話)
- 戦士の瞼の 下 大いなる瞳が現れても 汝涙する事なかれ(同上)
- 戦士 苦難を思う時 そこに神の御使いあり(第22話)
- 新たなる未来が来ることを祝った、クウガの特別な作品を贈る(新春スペシャル)
- クウガを十分に見直した特別な作品を贈る(特別編)
- この作品は小学館の提供でお送りします(クウガ超ひみつビデオ)
- この碑文だけ小学館のロゴが使われている。
その他の作品での登場
- 『MASKED RIDER KUUGA EDITION -オデッセイ-』
リント族の時代を舞台としており、古代の戦士に「リク」、その妹に「ミオ」という名前が与えられた(「空我」に対する「陸」と「澪」からのネーミングか)。
高寺Pが監修を行った外伝作品だが、HEROSAGA自体が公式設定に含まれない外典扱いなので、この作品のリント=『本編のリント族』というわけではない(ただし、便宜的に本編の古代クウガもリクと呼ぶファンもいるので注意)。
というのも、本編のリント族が争いを好まない種族であったのに対し、こちらは争い事を好まないリク=当代のクウガが疎まれ、その妹も盲目故に村に馴染めない、青銅器を武具にしているなどの点があるから。これが本作最大の矛盾点である。
…とはいえ、本編のリントも争いを好まない/戦士を持たない種族だったにしては不可解な点も散見されているのも事実である(例として超変身したクウガの持つ"武器"に対応するリント文字があるなど)。
また、集落内部にはグロンギが祈祷師として潜り込んでおり、戦士に一番相応しくないリクが選ばれる原因となった(また、彼らの両親もズ・ザイン・ダに殺されている)。
リマジ世界である『クウガの世界』でも現代日本人がこう呼ばれ、おそらくはこちらでも存在したものと思われる。
なお、ン・ガミオ・ゼダ曰く、門矢士はグロンギにもリントにも該当しないとの事である。
あくまでもクウガ世界の人間ではない事を表しているものと思われるが、ここから士が本当に人間を辞めているのでは?と勘ぐるファンも少なくない。
- 漫画版『仮面ライダークウガ』
こちらでもリントは存在するが、クウガはリント族の戦士ではなく、あくまでもグロンギの叛逆者という扱い。
なので、仮面ライダーアギトがリント族におけるクウガポジションという扱い。
余談
リント族の子孫とされる現代人の倫理観はどちらかといえばグロンギ寄りであるなど、「リント族は争いを好まなかった」という特徴を疑問視する声もあるにはある(封印エネルギーの特質からある程度までは事実と思われるが…)。
『アニヲタwiki』でも「高い技術力を持つにも関わらず、クウガに変身し続けるリスクを知りながらグロンギとの戦いをクウガ一人(とゴウラム)に丸投げし、封印の守番まで押し付けた挙げ句その裏でぬくぬくと平穏を貪っていた」(原文ママ)という解釈もされている。
皮肉にも「クウガの力を持たないリント」は「グロンギと等しくなった」事で彼だけに無責任に頼ろうとはせずに共に戦う事が出来たのだが、果たしてどちらが本当に良かったかは視聴者に委ねられている。