リーン(ビーストテイマー)
ゆうしゃぱーてぃーのりーん
キャラクター像
わずか2歳の頃に、普通の言葉を覚えるより前に原理も知らないまま魔法を扱うという、人類史において極めて珍しいレベルの才能を有していた。
しかし、辺境貴族を両親に持つ彼女は、その才能を両親の出世のダシに使われることになり、ただただそのためだけに英才教育を詰め込まれた結果、大成した暁には自分をすがってくるであろう両親を切り捨てることを決意し、サディスティックな人格へと成長していった。
幼い頃から天才と持て囃されたことから自惚れてはいるし、天才である自分がそれ以下の人間を気遣うなんてありえない事だと本気で考えているが、その根底にあるのは愛情を一切注がなかった両親に対しての、ある種の復讐であった。
そのために己の強さのみを追いかけていった彼女は、(条件が整わないことを理由に)その才能を発揮できなかったレインのポテンシャルを見抜けず、更には戦闘能力(特に攻撃面において)だけでしか有能と無能の区別ができないことを理由に煩わしく扱った末に「お荷物」「ゴミ」と的外れそのものな嘲笑をしながら追放に賛成したほか、上記の経緯から勇者パーティの中でもリーダーである勇者アリオスに次いで口が悪く性根が腐っていった。
同様の理由で、戦闘能力以外の方面でパーティの下支えになる役割の重要性を見落としていた結果、その条件を完璧に満たしつつ最低限の前衛もかねていたレインの価値に気づくはずもなく、迷いの森攻略時にアリオスの提案した『レインを案内人として利用して、用済みになったらまた捨てる』という先見性のないプランについて、加虐的な意味合いを込めて賛成したことも。
勇者パーティは冒険者パーティと違って一般のギルド依頼を受けられないため、世間に関して視野が狭くなりがちで、その上に彼女の性格が加わったことで、一般のビーストテイマーが「一度に1体しか契約できない」という事実をまるで信じることができず「レイン以下の無能」という判断しかできなかった。
勇者パーティが一般ギルドの依頼を受けられないのは魔王討伐を優先するのが使命だからなのだが、彼女は上記の一般ビーストテイマーを代理として受注させるという迂回策を取ったことで、すでに勇者仲間の使命を半ば逸脱しており、この件で商人護衛の依頼を失敗した際には護衛対象を見捨てて逃走するなど、行き当たりばったりな対応に終始したばかりか、この失敗を揉み消すために一般ビーストテイマーに攻撃魔法で脅して全ての責任を押し付けており、冒険者としても最低限あるべき立ち回りができていない。
彼女の人間性は『わがままで何も考えていない』の一言で集約されるが、同時に自らの非や過ちを決して認めず、受け入れることができない弱い人間とも言えるだろう。そして、レイン達の活躍と自分達の悪事が災いして追い詰められたうえ、力を求めてかつての地位にしがみつこうとした結果辿り着いた末路は、人間である事をもやめてしまうモノであった。
戦闘力
天才と持て囃されるに十分な才能を持ち、実際伸び代も高かったようで、作中では千を超える魔法を使えることから「歩く戦略兵器」と呼ばれている。そのうえ、ミナとの魔法連係プレーは抜群で、共に行動すれば攻撃においてはあらゆる場面で即座に息を合わせ、多重魔法攻撃を仕掛けることができる。しかし後衛であるため接近戦では不利であり、魔法を無効化する手段を持つ敵との相性は非常に悪い。
また、才能豊かであったため、大概の敵はパーティの力でやすやす倒してしまえることから、劣勢に陥った時に連係を取る経験を積んでいない。そのうえ、所属したパーティの防御力や戦術がそれまで鉄壁であったのに加え、今までに自身が攻撃やダメージを受けることすらなかったほか、その性格上もあいまって、まともなダメージを受けた時に耐え切る精神力が培われていない盲点があり、最後までそれが弱みになったようだ。
魔法
攻撃魔法
- グラビティバースト
勇者パーティ一行とレイン達一行が対決する事になり、ミナと共に自分の相手であるタニアに向けて使用した攻撃魔法。100匹の魔物を一掃できる威力のある上級魔法なのだが、タニアの超高等技術『マテリアルキャンセラー』で無力化された。
- レッドクリムゾン
紅蓮の炎を飛ばす炎属性(と思われる)の攻撃魔法で、ミナの攻撃魔法『ジャッジメントアロー』と同時にタニアに向けて放つが、結果は同上であった。
- ドラグーンハウリング
アニメ版で初披露された攻撃魔法。
竜の咆哮の如き衝撃波を飛ばす音属性の魔法(と思われる)。
- イグニートゴブリン?
アニメ版で初披露された攻撃魔法。
魔法名を叫んだのみで詳しい描写は不明。
- ゲイルストーム
アニメ版で初披露された攻撃魔法。
魔法名を叫んだのみで詳しい描写は不明だが名称の和訳(疾風の嵐)からして風属性の攻撃魔法であるのは確か。
- ダブルディザスター
アニメ版で初披露された『黒と白の叡智よ、全てを呑み込め』の詠唱で発動する攻撃魔法。
二つの竜巻と電撃を敵めがけてまとめて飛ばす風と雷の複合属性攻撃魔法。
その他の魔法
- 魔力障壁
後衛の弱点を補える、接近戦に対応するためのバリア。規格外の魔力が備われば、何重にも展開して敵の波状攻撃を受けきってもらうこともできる。
- マテリアルキャンセラー
上記のタニアに使われたことで学んだ魔法。とある事件で能力を大幅に強化した際には存分にその性能を発揮した。
人間関係
勇者パーティー
勇者パーティーのリーダー格。アリオスとは『幼い頃から間違った英才教育を受けて育ち、その結果高い能力と悪の心(クズの性根)を兼ね備えた天才』という共通点があるためか気が合うようで、作中では後述の二人と違ってリーンだけはアリオスと口論になることもなかった。
勇者パーティーの仲間。同じ後衛型ということもあってか一緒に行動する事が多い。
勇者パーティーの仲間。だが、前述の二人と違って掛け合いや会話などはない。
レイン達一行
自分達が追放したビーストテイマー。
彼が自分達のパーティに所属していた頃には、(アリオスやアッガス程でなかったにせよ)前衛として助けてもらい、ビーストテイマーとしての貢献を知りながらそれを最期まで認めようとしなかった。また、作中ではレインを役立たず呼ばわりしているが、レインと違って自分は前衛に守ってもらえないと、格下の盗賊にも対抗できずに自分の役目を果たせない役立たずと化すということを微塵も自覚していない。
レインと契約した竜族の少女。
自分達がレインに酷い仕打ちをした挙句追放した事を知っている事からとても嫌悪されており、レインが自分達に協力する事になった際には、彼女からケジメとして土下座を要求されてしまい、それに逆上するアリオスに続いて「このリーン様が土下座なんてするわけねーだろ!!」と激怒した。その後はミナと共に彼女と対決するも、マテリアルキャンセラーでミナ共々無力化され、自分ですら扱えない超級魔法(に見せかけたコケ脅し)で戦意喪失した挙句、命乞いをする(Web・書籍版では恐怖失禁する)醜態をさらした。