概要
地球連邦軍の技術士官で、本作の主人公・カミーユ・ビダンの父親。階級は大尉。
MS工学のスペシャリストであり、ティターンズではガンダムMk-Ⅱの開発主任を務めていた。
家庭を全く顧みない仕事の虫であり、そのくせ家の外では愛人を作っている。しかし、同じく連邦軍の技術者で妻のヒルダ・ビダンの方もフランクリン同様の仕事人間で、夫に愛人が居る事を知っていたのだが、「仕事の邪魔をされないから」という理由で黙認していたらしく、家庭は事実上崩壊してしまっていた。さらには息子のカミーユにも愛人の事は知られており、その為にカミーユからは家庭崩壊の元凶として憎悪に近い感情を抱かれていた。
また、(自宅でも仕事をするつもり、またはしていたのか)仕事上のデータや資料類を自宅に持ち帰るなど、軍属でありながら守秘義務や機密保持に対する意識も低く、実際にカミーユも彼のコンピュータのデータを盗み見る事で、ガンダムMk-Ⅱの操縦方法を把握していたようであり、このように様々な意味で非常に問題の多い人物であると言える。一方で、彼自身も自分が作ったガンダムMk-Ⅱに関しては熟知しており、加えて機体のテストパイロットなどもしていた為に、技術者でありながらカミーユも評価する程の操縦技術を持っている。
しかし、自身が手掛けたガンダムMk-Ⅱの性能には大した評価をしておらず、奪われた事を問題視するティターンズ幹部達に対して、「あんな物くれてやっても構わないでしょう」とまで言い切っている。
カミーユがガンダムMk-Ⅱを盗んだ事によってティターンズに協力を強制され、妻のヒルダが人質として扱われた挙句に死亡した際には流石にそれなりに狼狽えていたが、カミーユに皮肉を言われて激昂してしまう。
「これで若い恋人と上手くいくね。マルガリータとかってさ…!」
「やめないか!」
「本当のことだろ!」
原因を作ったバスク・オムに一応は詰め寄る場面もあったが、カミーユとの会話を聞かれていたせいで、バスクからも「愛人にとっては都合がよかったのではないのかね?」と、馬鹿にしたように言われたのに対して何も言い返せず、ジャマイカン・ダニンガンを含む周囲のティターンズの士官達からさえも冷めた目で見られていた(上記の通り、軍人や組織人としても問題のある人物だったからか、元々バスク達からもガンダム開発計画以外で重視はされていなかったようである)。
その後は、TV版と劇場版で多少経緯は異なるが、エマ・シーンの提案に乗って彼女や息子のカミーユと共に3機のガンダムMk-Ⅱをそれぞれ強奪し、エゥーゴ側に亡命する形でアーガマを訪れるのだが、そこで見たエゥーゴの新鋭機リック・ディアス(クワトロ機)に並々ならぬ興味を抱き、加えて自身の保身や愛人への未練から連邦に持ち帰ろうと機体を盗み出し、アーガマから逃亡した。
しかしその途中で乱戦に巻き込まれ、カミーユの目の前で乗機が被弾し、脱出するも爆発に巻き込まれて死亡した。
TV版・劇場版共にこの時点で、最早妻が死んだ事にも殆ど関心を示さなくなっていたどころか、逃亡中には愛人の姿を思い浮かべていたり、逃亡する自分を制止する為に止む無くビームライフルの銃口を向けたカミーユに対して、自分の事を棚上げして「親に銃を向けるのか!?」と逆上して発砲したり(カミーユの方は一度も発砲していない)、そもそも息子がエゥーゴ側に残留しているにもかかわらず、己の保身や愛人を優先して、息子を置いて機体と共に連邦軍に帰ろうとするなど、家族を顧みない非常に自己中心的かつ身勝手な人物である。その為かカミーユも母・ヒルダの死はその後の物語の中でも長らくトラウマとして引きずっていたのに対して、父である彼の死は当初は涙しながらやり切れない想いを吐露していたが、その後は比較的早く割り切っている。
小説版では彼の内心の葛藤についても一応は掘り下げられてはおり、展開も細かい部分が変更されている。しかし結局は私欲や愛人への未練の為にリック・ディアスを強奪して逃走しようとするなど、作中での行動や本質的な部分はやはり変わってはいない。さらにこちらではその結果、レコア・ロンドによって事故に近い形で射殺される事になり、彼女にカミーユに対して無用な罪悪感を抱かせて、その後のジャブロー攻略戦での彼女の無茶な行動などにも繋がるなど、ある意味TV版・劇場版以上に余計な事をやらかしている(当のカミーユの方は、そうなった経緯を聞いてレコアが悪い訳ではないと、半ば諦め交じりに割り切っている)。
このように基本的にどの媒体でもろくでもない人物であり、Gジェネのプロフィール等でも「いかにも『Zガンダム』らしい、完全無欠のダメ人間」などと徹底的にこき下ろされているのだが、その一方で漫画『機動戦士Ζガンダム Define』では設定回りがかなり弄られている。
フランクリンに愛人の姿はかけらも見られず、寧ろ双方ともに仕事の合間を縫って家族として息子と接していたが、カミーユがジェリドやカクリコンの悪辣な言動に耐え切れなくなりブライトやファと共に脱出したところ、それに対する報復措置として妻のヒルダとともに人質作戦の末に殺されてしまう。
人格そのものは双方ともにまともな部類に入るのに、住んでいた場所がティターンズの拠点だったばかりに悲劇に見舞われる形となった(ちなみにリック・ディアス奪還任務に就いたのはカクリコンである)。
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機動戦士Ζガンダム カミーユ・ビダン ヒルダ・ビダン ガンダムMk-Ⅱ
テム・レイ…前作の主人公の父親。ガンダムを開発した技術者であるなど共通点は多いが、彼の方は彼なりに息子に対する愛情はちゃんと持っており、私室に彼の写真を置いていたり、ガンダムのパイロットとなった息子の事を気にかけたり心配する描写もあった。また、子供を戦わせる事に心を痛めており、軍属として戦争を一刻も早く終わらせようという強い想いもあるなど、決して技術一辺倒の人物でもない。
レズリー・アノー…『機動戦士ガンダムF91』に登場した主人公の父親。やはり技術者の父親であるのだが、こちらは家族との時間や子供をどう育てるかに腐心するガンダムシリーズでも随一の良き父親であり、夫としても仕事に理解を持つ良き夫である為に、比較対象にすらならない。
ユーレン・ヒビキ…『機動戦士ガンダムSEED』の主人公の血縁上の父親。……なのだが、こちらは自分の目指す技術の革新の為なら、他人の子供の命はおろか自分の血のつながった赤ん坊すら平気で人体実験の道具にするという外道であり、ベクトルは異なるものの基本的にこいつとフランクリンの2人がガンダム毒親界隈の双璧と見なされる事が多い。一方でこちらは妻が彼よりは数段まともな感性の人物で彼を非難していた点が異なる他、昔は命の為に研究に取り組んでいた真っ当な科学者だった時期もあった模様。ちなみに出産直後に研究所を襲撃され死亡した為にキラとの直接的な面識はない。
シュンカ・ザマ…監督が同じ異世界ロボットアニメ『聖戦士ダンバイン』の主人公の父親。家庭を顧みず、秘書を愛人にしているあまり褒められた父親ではないという点はフランクリンと同じだが、こっちの場合は母親が擁護不可能レベルのダメ親なのと他ならぬ愛人がショウに親身に接してくれる人物だったりする、最終決戦ではその愛人と共にショウの闘う姿をTVの上とはいえ見届けるなど、少なくともフランクリンよりは父親としての情がある人物として描写されている。
アデナウアー・パラヤ…逆襲のシャアの登場人物。こちらも家庭をほったらかしにして愛人を作り娘からは嫌悪され、最後は死亡する(しかも娘に殺される)など、父親としても公人としてもフランクリンと大差のない情けない人物繋がり。