CV:徳丸完(ドラマCD版)/塩屋浩三(ドラゴンクエストライバルズ)
「夢よりもはるかに恐ろしい現実というものを見せてやろう。」
概要
ドラクエ6において、物語開始の段階で「魔王」と呼ばれるモンスター。人々の『知識』を喰らうとされる。
バラモスと似た設定を持つ。
物語序盤の大ボスであり、世界征服の野望を持つ。主人公たちはこれを阻止するべくムドーと戦うことになる。
物語のプロローグで、いきなり魔王の城手前という展開に驚いたプレーヤーも多かっただろう。
夢の世界でも、現実世界でもレイドック城近くの城に住み、レイドックの兵士たちがたびたび討伐に出てくるが、ことごとく退けていた様子。
フィールド上のドット絵も、真っ黒い巨体に二つの目がギラリと光っているといった魔王に相応しいものである。
印象的なプロローグ、主人公達を二度も退けた強大な魔力、最後まで魔王としての誇りを捨てない精神、堂々とした立ち振る舞い、そしてバトルにおける苦戦必至の圧倒的な強さ…等々、プレーヤーに強烈なインパクトを与えたボスである。
というより、コイツとダークドレアムのせいで、デスタムーアの印象が薄くなっている感じもする。デスタムーアも強力なボスであることは間違いないのだが…。
また、外伝作品でもあるDQM2・イルルカにも登場。
DQ6とのあまりのキャラクターの違いに驚いた人も多いだろう。
能力等
夢の世界
上の世界のレイドックの南東にある地底魔城の最深部に住む。
スカラ、主人公の声真似等での補助も厄介。
ただ後述の本気モードと比べればまだまだ易しい方で、ハッサンの攻撃を軸にしつつ主人公とバーバラのルカニで防御を下げ、さらにミレーユのスクルトを重ね掛けし、バーバラに薬草やアモールの水で回復に回ってもらえば、危な気なく戦えるはずである。
実は「ムドー(幻)」という偽物であり、その正体はレイドック王がムドーによって悪夢を見せられたため変異した存在。
幻を操ってすぐに逃げてしまうため、主人公たちが用意したラーの鏡によって正体が判明した。
そして、これを倒したことがきっかけとなり、主人公たちのもともと居た世界が夢の世界であったことが発覚する。
現実世界
現実のレイドック城北東にあるムドーの島に居城を構えて住んでおり、ムドーの島、ムドーの城の長いダンジョンを経て対峙することになる。
第一ラウンド
手下のきりさきピエロを伴って登場。
かえんのいきの攻撃に加え、ルカナンで防御力を下げてくることも。
手下を先に倒しても、きりさきピエロやデビルアーマーなど仲間を何度でも呼んで補充する。
直前にハッサンが修得する『せいけんづき』(通常攻撃の2倍ダメージ)がよく効く。
このときは普通に倒せる場合も多く、拍子抜けするように思えるが…
第二ラウンド
ドラクエ史上最大の難敵とも言われる、ストーリー序盤の最大の壁。
一度ムドーを倒すと、気合で立ちあがり本気を出して再度勝負を挑んでくる。
通称「本気ムドー」。
行動パターンが第一ラウンドから一変し、こおりのいきやいなずまなど高火力の全体攻撃を、最大2回行動で容赦なく連発してくる。
補助技も、まぶしい光や必中睡眠など非常に厄介な技ぞろい。
初戦では全滅必至ともいえるほど強力な敵だが、なんとここで全滅すると第一ラウンドからやり直しになる。
全体攻撃が容赦なく飛んできて、最悪「こおりのいき→いなずま」と連発されてしまうと1ターンで全員が90~100ダメージをくらう。
そして安定した回復手段の確保が何よりも最重要である。
チャモロの初期装備の「ゲントの杖」によるベホイミの効果も優秀だが、ミレーユとチャモロは自力でベホイミが使えるため、主人公に持たせてベホイミの要因の枚数を増やした方が良い。
またミレーユやチャモロが眠ってしまった時のために、アモールの水を買いだめしてハッサンにも持たせておくと安心。
更に、可能ならチャモロをLv13まで上げザオラルを覚えさせておくと安定感が格段に増す。
(チャモロはLv19で更にベホマを習得するが、ここまで上げるのはさすがに骨が折れるうえ、その頃には主人公らが適正レベルを大幅に超えている可能性が高く、その後の熟練度上げに支障をきたすおそれもあり推奨されない)
なお通常攻撃はチャモロのスクルトで防御可能だが、敵のAIは
「通常攻撃が完全に効かない状況になると、全体攻撃特技だけを連発するようになる」
という賢い仕様を持つため、スクルトは被ダメージが0にならない範囲にとどめておく方が良い。
攻撃が激化している反面、防御性能は全体的に第一ラウンドより低く、特に呪文耐性が下がっている。
ただし第一ラウンドでムドーに特効だった「せいけんづき」の属性に限っては耐性を増しており、命中率が50%まで落ちている。
「通常攻撃2発」と「せいけんづき1発」とで与えるダメージの合計値は同じだが、会心の一撃が発生しうる分、ハッサンは通常攻撃を連発した方がダメージ期待値は高い。
上手く使えば「すてみ」も有効ではあるが、被ダメージ状況によっては
最も効果的な攻撃手段は、ムドーの城の宝箱にあるほのおのツメを道具として使うと発動するメラミで、ノーコストで80~90のダメージを与えられる。
…というかこれがないと適正レベルではほぼ勝てないと言えるほど、本バトルにおける攻撃の要である。が、初見ではその存在に気づきにくかったりする。
以上より「主人公が炎のツメ兼ゲントの杖役、ハッサンが通常攻撃兼壁役、ミレーユとチャモロが回復・サポート役」として立ち回るのが最も安定する。
しかしそれでも運悪く全体攻撃の連発、攻撃ミスの連発、回復役の睡眠などが重なればどうしようもなくなって負けてしまうことは十分にあり得る。
余談
少年ガンガン連載の神崎まさおみによる漫画版では第2形態が登場する。
こちらは衣装を脱ぎ捨て、羽を生えた二足歩行のドラゴンになった厳つい姿となっている。見た目通りにブレス系の攻撃と強大なパワーを軸にボッツたちを追い詰めた。
最後は逆転されメガンテで道連れにしようとするが、突如現れた黄金の竜に阻止され、ボッツにとどめを刺された。
また、ライバルズにおいてムドーの声を担当する塩屋浩三はドラマCD版ドラゴンクエストⅤにおいてサンチョの声を務めていた。
専用バトルBGMについて
他の中ボス達と違い、この本気モードのムドーと戦う時は「敢然と立ち向かう」という専用BGMが流れる。
(ちなみに他の中ボスのBGMは「魔物出現」、ザコ敵との戦闘は「勇気ある戦い」)
ゲーム中、ムドー戦以外にこの曲が流れる機会はなく、純粋に彼の専用BGMとなっている。
ドラクエ史上、ラスボスでもないのに純粋な専用BGMが用意されたのは、後にも先にもムドーだけ。
(『VIII』に「ドルマゲス」という曲があるが、あちらはドルマゲス以外の強敵との戦闘でも普通に流れている)
曲自体のカッコ良さは当然として、ドラクエのボスにありがちな「変身」ではなく根性で本気を出して立ち上がり再戦するという異例の演出や、その本気ムドーの尋常でない強さなども相まって非常に印象深い一曲となっており、今なおシリーズ屈指の人気を誇る一曲である。
なおこの曲は、作中でドラゴンに乗ってムドーの城へ向かう場面で流れる曲と20小節が完全に共通しており混同されがちだが、
あちらはそのまんま「ムドーの城へ向かう」という名前の別楽曲で、イントロや後半部分が大きく異なっている。
関連モンスター
- ブースカ
作中では魔王ムドーを元に創造された量産型とされるモンスター。
名前が某快獣と丸被りだが多分関係ない。
ムドーのいわゆる色違いで、紺色である。
ラストダンジョンであるムーアの城やクリア後のお楽しみダンジョン等に登場する。
イオナズンやこごえるふぶきの攻撃、マジックバリアの防御やベホマスライムを呼び寄せたりしてくるなど多彩で、ラスダンでは最強クラスのモンスターである。
マイナーすぎる故にあまり他作品には顔を出さないが、DQMJ3Pで久々に再登場した。
前作ラスボスとの関係
ムドーとブースカはそのデザインの意匠が前作『V』のラスボスの最終形態とよく似ており、以前から関連性がささやかれていた。
特にブースカの行動内容が同ラスボス第一形態の行動と酷似していること、「6→4→5」の作品時系列したことなどから、「一匹のブースカが特殊な進化をとげたなれの果てがミルドラース」といった俗説が流れたことがある。
その後リメイク版『V』での設定追加により、この説自体は公式に否定されている。
しかし2016年に発売された公式設定画集「鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ」にて「『V』ラスボス第一形態の没デザインの流用がブースカで、ブースカの色を変えたのがムドー」であることが明らかにされた。
つまり開発的には「前作ラスボスとブースカの原案が同時期に作られ、それを活かしてムドーが作られた」ということになる。
やはり、前作ラスボス第二形態とムドーのデザインの共通性は単なる偶然ではなかったのである。
関連項目
デスタムーア:6のラスボス
ムーア:ムドーに似たデザインの個体
ハーゴン バラモス ゲマ ドルマゲス:歴代ナンバリングタイトルの中ボス
ダーマ神殿:現実世界で滅ぼした後夢の世界において封印していた施設
もしかして?
織田無道:シドーと並び定番のネタの一つ。
ポケモンの一種・エアームドの略称・愛称。此方はエアムドー、エアムード等と誤記されたのが由来。
ネタバレ
実は魔王の中でも下位の存在であり、真の黒幕デスタムーアの隠れ蓑に過ぎない。表向きは世界征服のために動いているとされるが、真の目的はダーマ神殿を封印し続けることにあった。
冒頭のイベントでは幻術によって主人公、ハッサン、ミレーユを返り討ちにする。しかもこの幻術によって三人は「肉体が石化し、精神体がどこかへ飛ばされてしまった」という状況になった。