「赤井秀一と安室透は、対照的である。」
「赤井秀一と安室透は、似ている。」
(『赤井秀一&安室透シークレットアーカイブス』より)
概要
pixivにあげられている作品数はおよそ4万件。
原作者はガノタとしても有名であり、赤井秀一と安室透、両者の名前は『機動戦士ガンダム 』のシャア・アズナブル とアムロ・レイ と、それぞれの担当声優から名づけられている。その因縁についても両者の関係がオマージュされている模様。
過去
2人はかつて黒の組織において、ライ(=赤井)、バーボン(=安室)というコードネームで活動していた。その正体は、赤井はFBI、安室は公安からの潜入捜査員であり、所属は違えど共に組織へのスパイだったのである。
『赤井秀一セレクション 赤と黒の攻防』によると、「同じく組織に潜入していた安室とは、行動を共にすることが多かった」とのこと。
当時はスコッチと呼ばれる男(実は安室の親友で公安警察官)を加えてスリーマンセルで任務に当たったこともあり、この頃から安室はライ(赤井)を「いけすかない奴」だと思っていた様子(参考ツイート)。
「裏切りには…制裁をもって答える…」
「だったよな?」
しかしある日、スパイとバレたスコッチの元へ駆けつけた安室が見たのは、心臓を撃ち抜かれて息絶えたスコッチと、頬に返り血を浴び硝煙の上がる拳銃を手に、スコッチの前に立っているライ(赤井) という衝撃的な光景。表向きではライがスパイだと露見したスコッチを殺害したことになっており、後に赤井も安室に「彼の事は今でも悪かったと思っている」と謝罪をしている。だが、この事件にはとある真実が隠されており……。
この事件がきっかけで、安室は赤井を強く憎悪することとなる(詳細は因縁の真相を参照)。
その後、赤井はとある事件をきっかけに組織を脱退。一方で安室は、今も尚組織の幹部として暗躍している。
本編では
FBIの先鋭として黒の組織に恐れられた赤井について、安室は組織の面々に「赤井を殺せるのは自分だけ」と豪語していた。
そしてキールによって赤井が殺害されたと知らされても尚、赤井の死を信じることはせず、ベルモットの変装術により自ら赤井に変装し、周囲の反応を調べるという方法でその生存を確認しようと試みる。
また赤井の方もバーボンが動き出したと知ると、赤井に変装するバーボンの様子を窺っていたり、「漆黒の特急シリーズ 」では赤井の生存を諦めかけた安室の前に自ら沖矢の変装を解いて現れ、本来の姿をちらつかせることで自身の生存を安室に勘付かせて組織に対抗する同志としての協力を得ようとした。しかし安室の憎悪の強さを読み違えていたため協力を得ることはできず、沖矢の姿へと戻った。
「緋色シリーズ 」にて沖矢の正体に迫った安室だが、赤井と工藤家総動員による作戦で誤魔化されてしまう。同時に公安警察という自身の正体を見破られた安室は、以後赤井の生存と「沖矢=赤井」に勘付きながらも、公安のスパイである自らの立場と板挟み状態になり、赤井もまた安室以外の組織の人間に生存と正体を露見されるわけにはいかず、両者の関係は膠着状態が続いていた。
「ぬかったな 赤井秀一…」
「その言葉…そっくりそちらに返すとしようか…」
「バーボン!」
しかし、ラムから工藤新一の情報を求められ工藤邸に侵入した安室は玄関で待ち構えていた赤井と対面。原作に置いては、これが実質初めての邂逅となった。
余談だが、この邂逅シーンは作者療養による休載後初の新章ということで 2018年4月1日0時に公式Twitterでセリフ無しの1ページのみ掲載された。あまりにも突然かつ物語のキーパーソンである2人の邂逅ということでファンは深夜から大騒ぎとなった。
現在の関係
「赤井と対峙しちゃうと、安室は感情が出ちゃうんですよね。赤井の存在は、安室の唯一の弱点ですから」(アニメディア2016年6月号・原作者インタビューより)
〈安室〉
赤井に対して非常に根深い恨みと執着心を抱いており、その執念は黒の組織の壊滅という信念すら上回るほど。普段は温厚かつ冷静で、完璧にも見える安室だが、赤井のこととなると行動が非常に過激で感情的なものになり、口調も敬語が崩れて荒々しくなるなど、普段とは異なる雰囲気となる。緋色シリーズでは、赤井と通話した際に一人称が「僕」から「俺」にぶれていた(安室の一人称が「俺」になったのは原作のこのシーンと警察学校編でのモノローグの2回のみ)。
なお、安室の声優である古谷氏は自身のラジオ内で「赤井の前でのみ一人称が『俺』」とこだわりを持っていることを語っており、週刊少年サンデー2022年24号に掲載された原作者の青山氏と古谷氏の対談の際には、青山氏から安室(降谷)の素は『俺』でありその一人称が出るのは「感情が揺さぶられた時」と語られたため、赤井を前にして素の一人称が出た理由が裏付けされた。
赤井に対して強い憎悪と執着を抱いている一方で、赤井の実力については誰よりも認めており、組織すら認めた赤井の死を認めず、彼の生存を唯一信じ続けていた。スコッチ死亡事件で生まれた強い憎悪と執着は、裏を返せば彼へ向けていた信頼を裏切られたことによるものとも考えられる。幾つか例を挙げるなら、スコッチの件で赤井を恨んでいるそもそもの理由が「あれほどの男ならスコッチを救えただろうに」というものであることや、映画『純黒の悪夢』では観覧車内部でコナンへ返事をする際に直前まで体術格闘を繰り広げた赤井に躊躇うことなく背中を向け(この直前まで安室本人は格闘の続きを望んでいたのだが、赤井が黙って首を横に振ったのを見て構えの姿勢を解いている)、アニメでの「迷宮カクテル・後編」では突然現れた工藤夫妻に困惑した様子で赤井を見上げる、などといった無意識に信頼を寄せていると思われる描写がある。
映画『ゼロの執行人』において、安室が「僕には怖い男が2人いる」とコナンを称する台詞があるが、後にもう1人は赤井のことであると原作者から明かされ、また別のインタビューでは「安室は大抵のことはなんでも赤井より上手いが、勝てない。赤井がいると得意なこと(例:料理)でも焦って失敗してしまいそう。」と語られた。
『赤』井、から来ているのか赤色嫌いで、2017年クリスマスイラストで梓から渡されたサンタコスには「僕…赤いのNGって言いましたよね?」と思わず顔を引きつらせるなど、赤い服はまず着ない(そのクリスマスイラストには安室と梓しかいないのだが、それに公式が添えたタグは『#安室と赤井』)。アニメOP映像で一瞬映ったネクタイが赤色だったことがあったが、しばらくして別の色に修正された(OP「タイムライン」)。
『ゼロの日常』では1話ラストで「いつも思う……赤井秀一…お前のことを忘れられたらって───」と独り呟き、風見とバーに行った回ではグレナデン(赤いシロップ)を断る他、ライウイスキーを頼んだ風見に険しい視線を向け、また別の回では風見の目元の隈を見て「赤井のような隈」と発言したり彼が用意した赤い服に苦言を呈したりしている。梓から「赤いケーキを作りたい」と言われた際はあからさまに乗り気ではなさそうな表情を浮かべ、結局ケーキ作りに取り組んだものの「赤くてキレイですね!」という梓の言葉には「……」と無言で返す描写があるなど、赤井を思い浮かべているであろう描写が度々ある。
ちなみに日本国旗にも赤色があるが、それについては「この赤だけは守り抜く」と発言しているあたり別と考えている様子。だが同時に、彼の中での『赤』は「日本国旗の赤」「その他の赤(=赤井)」という構造だということになってしまっていたりする。
〈赤井〉
安室のことを「敵に回したくない男」「日本屈指の捜査官」と称して対立を避ける傾向にあるにもかかわらず、因縁のきっかけとなった事件の真相を『全面的に自分が悪かった』という姿勢を貫き彼に恨まれたまま隠し続けている(赤井の口癖の一つは「過失の割合は50:50」)。
二元ミステリーなどから見て必ずしも物腰柔らかな態度や口調の持ち主ではないのだが、安室に対しては「君」もしくは「名前+君」呼びなど、比較的紳士的な口調や態度を取ることが多い。一度だけ、本誌掲載時に赤井が安室に「お前」と呼ぶシーンがあったが、次週の時点で「君」と修正された(原作者曰く、赤井が安室に「お前」と呼ぶイメージは無いらしい)。『純黒の悪夢』では「赤井は安室にこんな話し方はしない」と原作者自ら、二元ミステリー等を参考にした赤井の(曰く、「チンピラっぽい」)口調を修正した箇所がいくつかあったとのこと。
沖矢の姿の際にバーボンを愛飲している様子が良く見られ、「最近はバーボン一筋」と発言したこともあり(再放送でこのシーンが流れた際は『バーボン一筋』がトレンド入り)、赤井のグッズにバーボン瓶が使われることもある。
単行本95巻(アニメ「迷宮カクテル・後編」)では、工藤夫婦が現れて安室の意識が逸れるとすぐさま銃を下ろし(安室はまだ銃を向けたまま)、アニメでは突然現れた工藤夫妻に困惑した様子で見上げてきた安室へ安心させるかのように頷くシーンがあった。
ちなみに赤井の方が背が高い。
スピンオフ『ゼロの日常』の連載が始まった際には何故か赤井がコメントを出し、沖矢姿での一コマしか登場していない(単行本4巻までの時点)にもかかわらず登場人物紹介に何故か毎巻載っている。
アニマックス&キッズステーションとコナンの合同CMでは、安室がアルバイト中のポアロへ訪れ、「そんな顔をするな安室くん」「ところで2人とも、この後喫茶ポアロでコーヒーでもどうだ?なんならバーボンでも良いが……」「そろそろコーヒーでも頂こうか、安室くん」などのセリフがあった。
*周囲から見た2人
- 『純黒の悪夢』・『ゼロの執行人』・『緋色の弾丸』の脚本を務めた櫻井武晴氏は、2人の共通点は「孤独」だと考え、安室には「一人で孤独を抱えられる強さ」が、赤井には「孤独な人と伴走できる強さ」があると語っている(アニメールvol.46より)。
- コナン役を務める高山みなみ氏は、2人の関係について「ライバル…というんでしょうかねぇ。お互いの立場をわかり過ぎているからこその火花だと思いますね」と答えた。(日本映画navi 2021 vol.92より)
- 赤井秀一役を務める池田秀一氏は安室のことを「侮れない男。真っ正直で直球勝負。それ故に一寸困った感じも…」と評価している。(日本映画navi 2021 vol.92より)
- 『緋色の弾丸』の監督を務めた永岡智佳氏は、赤井は長射程のライフル、安室は小回りのきく拳銃という戦闘スタイルの違いについて触れ、「2人の戦闘スタイルは真逆で、なかなか分かち合うことはできないかもしれませんが、もし、タッグを組むような日が来るならば、コナンにとって最強の味方になってくれるのではないでしょうか」と語り、迷宮カクテルの続きが早く見たいとも話した。(日本映画navi 2021 vol.92より)
その他
- 迷宮カクテル編放送直前ということで赤井&安室特集が組まれ、2人が表紙を飾った「アニメディア」は創刊38年にして初めて発売前に重版決定。
- 『緋色の弾丸』予告編として公開された赤井の自己紹介ムービーのBGMは『ゼロの執行人』アレンジのメインテーマ。
- 『緋色の弾丸』公開前に赤井家を振り返る総集編として公開された『緋色の不在証明』でも、OP(通常映画のコナン自己紹介にあたる部分)で執行人アレンジのメインテーマが使われた。
- 公開延期となっていた『緋色の弾丸』公開日決定と同時に「再装填(リロード)プロジェクト」が始動。公開されたプロジェクトムービーには、公開日決定により針が動き始めた時計と、ライフルの銃身、装填される12発の弾丸が交互に映された。その際、劇場版過去作タイトルが次々と銃身に映る演出があり、最後の“リロード”を決めたのは、赤井が出た(触れられた)『異次元の狙撃手』や『純黒の悪夢』でも前作の『紺青の拳』でもなく、安室メインの『ゼロの執行人』だった。
- Sho-Comi2020年4月20日号でのコナンコラボによるW付録「緋色のクリアファイル」と「安室透ビジュアルボード」は、クリアファイルの中にビジュアルボードを挟むことで安室と赤井が向かい合うようになっているデザイン。