105ダガー
いちまるごだがー
概要
さて、「ストライクの量産型は何というMS?」という質問に、「ストライクダガー!」と答えるだけでは、半分正解で半分不正解となる。
そう、この「ダガー」の存在を忘れてはならないからだ。
ストライクダガーはあくまでも戦時下における簡易量産型として急造されたものであるが、このダガーはストライクダガーで排除された各種機能を盛り込んだストライクの正式量産機である。
ダガーはストライクのスペックダウンによる量産ではなく、高性能なスペックは極力維持しつつ、それをストライクよりも廉価なものにすることで、既存の量産機とは一線を画す性能を持っている。恐らく、ガンダムシリーズでも(高級量産機も含めた上で)かなり上位ランクのステージの性能を持っているMSであろう。
本機の主な特徴としては、ストライク同様、ストライカーパックシステムを装着・換装することによる汎用性の拡大が挙げられる。戦時急造型の量産機であるストライクダガーでは見送られたストライカーパック用プラグを装備しており、バックパックを換装する事で様々な戦況に対応出来る。
また、コスト面の問題からPS装甲、TP装甲は採用されなかったものの、胴体部やエンジン部分などの主要機関の保護の為にアークエンジェルなどの戦艦に採用されていたDPX-D30融除剤ジェルを使用した対ビーム装甲「ラミネート装甲」を採用。後々のザフトのMSの主力兵器がビーム兵器に変わることを考えれば、ある意味PS装甲を採用するよりかは実用的な判断であったようにも思われる。
加えて、頭部センサーのスペックもストライクとほぼ同レベルまで引き上げられている他、OSにはストライクダガーのものに更に改良を加えた新型を採用している。
このようにストライクのスペックに再検討を加えた上で新型OSを搭載した事で、パイロットの能力を問わない扱いやすい機体となっている。
しかし、コストを試作機よりも削減しているとはいえ、戦時中の生産性ではストライクダガーが勝っており、結果戦時中は試作機、データ検証機含めて23機のみの生産に留まることとなった。それでも戦後は名実ともに地球連合軍の主力MSとして量産・配備がなされ、「ブロック7」までマイナーチェンジが行われたという。
本機の正式名称はダガーだが、ストライクの型式番号「GAT-X105」を取って付けた「105ダガー」(いちまるごだがー)の通称で呼ばれることもある。当初は通称であったが「105シリーズ」として開発された機体には正式名称として105が付けられている。
余談だが、このMSはホビージャパンのMSV人気投票で一位に輝いたこともある上、地球連合軍製でHGに立体化されている。
やっぱりダガーは凄かった!
初期生産モデルは少数生産とはいえ、やはりその性能は高く、機動戦士ガンダムSEEDシリーズの地球連合軍MSの「顔」もしくは「敵役」としてどこかしらにほぼ登場している。
ASTRAYなどの外伝作品ではモーガン・シュバリエが搭乗した機体の活躍がほとんどを占めている。C.E.73 STARGAZERやC.E.73 DELTA ASTRAYでは、マイナーチェンジ版のスローターダガーが主に登場するため、ダガーの出番は無い。
主な登場作品
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
戦後は本格的な量産がされ2年後のC.E.73でもヘブンズベース防衛や、メサイア攻防戦にも実戦投入されていた。特に、第38話で数カットながらランチャーストライカーやジェットストライカーなどのストライカーパック装備の本機が登場している。
また、頻繁なマイナーチェンジが行われ最終的に「ブロック7」まで発展することとなった。基本構造や性能が優秀であるのが理由であろう。
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
本作が『SEED FREEDOM』として発表される以前から制作関係のイベントにおいて3Dモデルがお披露目されていたが、PV第2弾において正式に登場することが明らかとなった。
PVにおいてはデストロイガンダムやジェットストライカー装備のウィンダムと共に戦列を組み、陸上戦力として前進している様子が描かれている。
ストライカーパックは装備しておらず、武装はストライクダガーと同じM703 57mmビームライフルと赤色の耐ビームシールドとなっている。
機動戦士ガンダムSEED ASTRAY B
ボアズ攻略戦でモーガン機が奮戦、ストライカーパックの機能を活用するべく、複数のガンバレルストライカーを用意して使い切ったら交換することで帰投することなく戦闘を継続してみせた。
SEED MSV戦記
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてモーガン機が5機のダガーを率いる隊長機として奮戦、ドクターことミハイル・コースト含む6機のジン・ハイマニューバ6機と交戦し、モーガンはミハイル機を追い詰めるものの、ジェネシスの発射によって部下を全員失ってしまう。
漫画版機動戦士ガンダムSEED DESTINY
プロローグの第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてモーガン機が登場し、ジェネシスの発射によって部下を失いつつも制圧するべく取り付こうとしたが、ジェネシスの防衛に付いていた火器運用試験型ゲイツ改と交戦、大破して撤退している。
機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY
ユーラシア連邦が大西洋連邦からのダガーシリーズの供給を飲まされた話の際に本機の姿が見られる。
その後、所属不明機から襲撃を受けた月面基地の救援に対してモーガン機が出動、襲撃犯であるカナード・パルスのハイペリオンと会敵したものの、撃墜寸前まで追い詰められてしまう。その時、咄嗟に聞こえたプレアの助言を受けてガンバレルストライカーを切り離した事で難を逃れ、ハイペリオンに勝てないと判断して退いている。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY
南アメリカ合衆国が起こした独立戦争において多数のダガーが登場。
モーガン機は偽情報に釣られて宇宙へと上がってきたエドワード・ハレルソン搭乗のレイダー(制式仕様)と交戦し、ガンバレルストライカーを犠牲にエドワードのレイダーを大気圏へ落としている(なお、エドワードはトランスフェイズ装甲を信じて大気圏を突破してみせた)。
ソードカラミティ同士の戦闘後に凶弾に倒れたエドワードを抱えていたアウトフレームたちの前には、ソードストライカー装備の本機が同じストライカーを装備したダガーLの部隊の隊長機として立ちはだかる形で交戦、部隊ごと壊滅させられている。
さらに、ストライクダガーで抵抗していたバリー・ホーが機体を放棄した際に、着地した彼に対して対人機関砲を撃ち負傷させている。
また、近くの村の防衛任務に就いていた叢雲劾のガンダムアストレイ ブルーフレームセカンドLによって多数の本機が撃破されている。
Remaster版で追加された描き下ろしでは、黒く塗られたダンテ機と赤く塗られたエルザ機が登場。両機ともソードストライカーを装備し、ユーラシア連邦のアメノミハシラ侵攻作戦に参加している。
機動戦士ガンダムSEED VS ASTRAY
月基地に接近していたルドルフ・ヴィトゲンシュタインのグフイグナイテッドと交戦し、彼を捕縛している。
機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女
ウィンダムと共に多数が運用されている。後に公開された劇場版SEED FREEDOMでも同様であるため、ウィンダムへの機種転換後も現役なのだろう。
武装
GAU8M2 52mm機関砲ポッド
最初期に生産されたダガーに装備された実弾武装。
元々はレイダー制式仕様の副翼に搭載されるオプション。
MX703G ビームライフル
本機の主兵装・・・のはずだが、M703k ビームカービンの普及によってスローターダガー等のごく一部の機体にしか配備されていない。外装はGAU8M2 52mm機関砲ポッドだが、中身はほとんど別物。
そもそもの話だが、こちらはスローターダガーを除いてダガーで運用された記録は無い。
Gジェネレーションクロスレイズではスローターダガーとモーションを共有しているため、この作品ではダガーの主兵装となっている。
M703 57mmビームライフル
ストライクダガー等に採用されている量産機用ビームライフル。デュエルのビームライフルを参考に開発されている。MX703G ビームライフルが登場する前はこちらが主兵装として採用されている設定のため、大半の作品(主にASTRAYなどの外伝作品、漫画版SEED DESTINY、劇場版SEED FREEDOM)において装備している。
M703k ビームカービン
ダガーL等で運用されている単銃身のビームライフル。ヘブンズベース防衛隊のジェットストライカー装備機の主兵装として新たに装備されている。
ES01 ビームサーベル
設置箇所は両腰に1基ずつ装備されている接近戦武装。ビームの色はイージスと同じく黄色。
40mm口径近接自動防御機関砲「イーゲルシュテルンII」
頭部両側面に内蔵されているバルカン砲。小口径化したが、弾数増加と弾芯の改良によって貫通力の低下を抑えている。
12.5mm対人機関銃
足の甲部に内蔵された機関銃。対歩兵・装甲車用の装備。
ガンダムシリーズにおけるこの手の装備としては珍しく、『C.E.73 STARGAZER』や『DESTINY ASTRAY』等で実際に人に向けて発砲されるシーンが多数描写されている。
対ビームシールド
耐ビームコーティングを施したシールド。カラーリングが2種類あり、初期生産モデルの青いシールドはストライクダガーの物と同等の耐久力を持つ。SEED DESTINY以降はストライクダガーと同じ赤いシールドに統一されている。
GジェネレーションクロスレイズではSEED DESTINY以降のダガーが青いシールドを装備している。
本機最大の特徴でもあるストライクと共通の換装システム。
AQM/E-X01 エールストライカー
巨大なスラスターと主翼が目を引く、高機動型ストライカーパック。 多くの機体で最も使用されている。
可変式スラスターバインダーの技術が導入されており、大推力による直線的機動能力はMS本体の持つ姿勢制御能力と合わさり高い運動性をもたらす。C.E.73では改良が進み、飛行能力を得ている。
AQM/E-X03 ランチャーストライカー
バスターの流れをくむ砲撃戦用のストライカーパックで、重武装故に機動力は低下するが(重量はエールよりは軽いが、その重量を動かすだけの推力を持ち合わせていないために機動力が低い)、ストライカーパックの中でも屈指の大火力を誇る。
AQM/E-X04 ガンバレルストライカー
地球連合軍の戦闘機メビウスゼロを参考に開発した有線式のガンバレルユニットを四基装備するストライカーパック。
バリエーション
ストライクダガー
戦時下において機能を最低限までオミットした、いわゆる簡易量産機という位置づけの機体。
ダガーL
ダガーの機能とストライクダガーに準じた簡略化でのコストダウンを両立した量産機。
105スローターダガー
第81独立機動群「ファントムペイン」の主力機として配備されたダガーの改修機。
NダガーN
ダガーをベースにGAT-X207 ブリッツのデータを組み込んで開発された特殊戦用機。
立体物
2004年9月にSEED HG MSVシリーズの一つとして立体化。
本放送当時発売のガンプラではコレクションシリーズのみだったストライクダガーを差し置いてのHG化であり、2020年にHGCEでウィンダムが発売するまで唯一の地球軍の量産型MSでHG化された機体だった。
モーガン・シュバリエ搭乗機としての商品化で、ガンバレルストライカーと専用の台座が付属する。コレクションシリーズのランチャー/ソードストライカー、ウィンダムのジェットストライカーを使えばヘブンズベースの105ダガーを再現可能(ソードのみ一部の接続ピンをカットする必要がある)。
2006年8月にはバリエーション機として機動戦士ガンダムSEEDC.E.73STARGAZERに登場するスローターダガーが発売。
こちらは成形色を黒色ベースに変更して台座とガンバレルストライカーの代わりにエールストライカーを付属させたもの。
先述の通り、2020年にウィンダムがHGCE化されたのを皮切りに2021年にダガーL、2022年にストライクダガー(プレミアムバンダイ限定)がHGCE化され本編に登場したMSV以外の地球軍の量産型MSは一通りHG化を果たしたので、MSV出身ではあるが細部の形状の違いはあれどダガー系のバリエーションとして出しやすいであろう本機のリニューアルも期待されている。
ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。ガンバレルストライカーが装備されており、ビームライフルが装備されている。 ※現在、入手困難