銃頭サンバッシュ
じゅうとうさんばっしゅ
「俺に一発、命令してくださいよ。すぐにヤツら Go to Heaven!」
「てめぇこの落とし前付けるまで帰って来るなぁ!!」
概要
宇宙海賊バルバンの幹部の一人で、4つ軍団のうち「サンバッシュ魔人団」を率いる荒くれ者。
特異な形状のヘルメットと、多数のファスナーが目を引くレザージャケットで身を固めた、如何にもなライダーススタイルが外見上の特徴で、実際に専用のバイクを駆って自ら前線に赴くことも多い。左腿には愛用のリボルバー式の拳銃を携行しており、所構わずこれをぶっ放すこともしばしばである。
性格は短気にして騒々しく、派手な行動やキザな言動を好む面もある。配下である魔人団の面々には時に実力行使を交えて発破をかけたり、作戦参謀を務める「樽ジジイ」ことブクラテスに対しても作戦が上手く行かない際には罵倒に及ぶなど、自分よりも立場の弱い相手へは高圧的な姿勢で臨む一方、ゼイハブ船長のように逆に立場が上の存在に対しては徹底して低頭平身な姿勢で接し、自らの立場の保全に努めてもいる。
調子の良い面もあり、ブクラテスに対しても時には「樽学者の大先生」とおだてては、助力を請う場面も少なからず見られた。他の幹部達やその軍団が、基本的にブクラテスの知恵に頼らず作戦活動を進めていたこともあり、ある意味では幹部達の中で彼と最も良好な関係を築けていたのはサンバッシュではないか、と見る向きもない訳ではない。
それでも助言を得られぬ場合は、自ら思い付きやノリで場当たりも同然な作戦を立てることもあり、前述した気質やおよそ知性的とは言い難い配下達の存在、さらには他の幹部たちとの対比もあってか、バルバンの中でも単なる行き当たりばったりの馬鹿と見られがちな節があるのは否めない。
しかしその実、知恵と頭はバルバンの中でもむしろ非常に回る方であり、やろうと思えば頭を使った戦いもできるタイプである。一例を挙げると、
- タグレドーの特殊能力を活用させて一時的とはいえ星獣を完全無力化
- ブクラテスの気付きに反応し、即座に作戦を変更して迅速に準備する
- ネイカー、そしてグリンジーを投入し、ギンガマンをも巧みに利用した最終作戦を展開する
など、全軍団長の中でもトップクラスの策士っぷりを作中では発揮している。
見方を変えれば、配下の魔人達が基本馬鹿か頼りない面子が多いがゆえに、軍団長として無理矢理にでも知恵を絞らないといけない立ち位置である、とも言えなくもないのだが。
作中での動向
「ヒャッホー!! 封印が解けたぜぇ!! 起きろぉー!!」
派手好みで騒々しい側面は、早くも復活直後から存分に発揮されており、幹部の中でもいの一番に目覚めたサンバッシュは、封印が解けたことへの喜びを盛り上げようと乱射に及ぶのだが、周囲からは当然のごとく呆れと怒りを買うのみであった。
もっとも当人はそんなことなどまるで意に介さず、直後に地上に繰り出した際には街中をバイクで暴走し、ここでも所構わず銃撃をお見舞いするに飽き足らず、当代のギンガマンとの初戦でもやはり発砲で、単身挑みかかってきたギンガレッドを迎撃するが、ここでは良いところのないままレッドの炎一閃で他の面々ともども撤退に追い込まれている。
その後、ゼイハブが魔獣ダイタニクスの完全復活を最優先事項と定める中、どの軍団がそれを実行するかをめぐり紛糾、見かねたゼイハブは幹部達に引かせたカードによって、ダイタニクス復活作戦の行動隊長を決する意向を示した。そして、
ゼイハブ「ジョーカーはどいつだ?」
サンバッシュ「フフン、俺だぜ」
これにより第1の行動隊長の座を射止めたサンバッシュは、以降ダイタニクス復活のための「エネルギー」の確保を狙った作戦を展開。時には自らも前線に赴いて配下達に発破をかけたり、それでも進捗の芳しくない場合には身体を張ってサポートに及ぶなど、作戦遂行に並々ならぬ意欲を示し続けたものの、いずれの作戦もギンガマンの邪魔もあって頓挫を余儀なくされた。
のみならず、その作戦の中で配下の背信とも取れる横領行為を把握していなかったり、一度は死に追いやったはずの星獣が復活・パワーアップに至るなど、軍団長としては致命的、かつ組織に明らかな不利益を及ぼす失態が度々露呈しており、それらの要因が積もり重なる中でゼイハブ達からの心証は次第に悪化。
ついには切り札であるネイカーを投入しての、地震によるダイタニクス復活作戦までもが失敗に終わったことを契機として、ゼイハブからも三行半を突きつけられるに至った。だがしかし、それでサンバッシュがすんなりと引き下がるはずもなく・・・。
最後の策略と壮絶な最期
「これが俺の最後の、そして、完璧な作戦だ!」
非情な処刑宣告を前に、サンバッシュは先の作戦があくまでも前段階に過ぎず、本当の最終作戦はこれからであるとゼイハブに食い下がり、ギリギリのところでラストチャンスを得ることに成功する。
その上でサンバッシュは、死んだと思われていたヒュウガの身柄を示すことで、先の作戦で姿を現した陽炎岬の洞窟へとギンガマンを誘き出し、彼らに救い出させたヒュウガをも利用してその動きを巧みに誘導、洞窟の中にあったとあるアイテムを入手せしめた。
そのアイテムこそ、サンバッシュが「いつかドデカイことをする」のを期してゼイハブにも存在を秘匿していた超エネルギー・ギンガの光であり、首尾よくそれが収められている小箱を手中に収めたサンバッシュは、さらにヒュウガの正体が自身の最後の配下・グリンジーであると明かし、まんまと騙される格好となったギンガマンを始末しようとする。
が、この卑劣な作戦は却ってギンガマン、とりわけヒュウガの弟であるリョウマの激しい怒りを買う結果となり、彼らからの反攻でグリンジーを喪うと共に、サンバッシュ自身もまたレッド(=リョウマ)との一騎討ちにもつれ込んだ末に相打ちという形で深手を負ってしまう。それでもなお、傷付いた身を引きずり執念で小箱へと手を伸ばすとこれを開けるのだが・・・
「く・・・はは・・・ははははは・・・そうか・・・そういうことかよ・・・。ははははは、ははは・・・」
一発逆転を狙い、サンバッシュが一縷の望みを託したギンガの光はしかし、小箱の中には影も形も存在していなかった。
かつてギンガの光を地球に持ち込んだ者を始末し、その隠し場所を聞き出すまではよかったものの、その場当たり的な性格が災いして情報の裏を取らずにいたことが、作戦破綻という最悪の事態を招いてしまったのである。
「俺にもう後は無ぇ・・・こうなりゃテメェも道連れだぁぁぁぁぁっ!」
完全にラストチャンスをふいにし、最早バルバンに戻れぬ身となったサンバッシュは、レッドに対し自棄も同然な特攻を仕掛けるも、そのレッドにはすんでのところでかわされた上に、すれ違いざまに繰り出された二刀一閃が炸裂。これにより大ダメージを受け乗っていたバイクと共にそのまま崖下へと転落し、敢え無い最期を遂げたのであった。
備考
ネーミングはプロデューサーの髙寺成紀によるもので、他の幹部達と同様に海や水棲生物に関連する語句である、「桟橋」に由来したものとなっている。
デザインは野崎明が担当。ガンマンという設定は割と早い時期からあったようで、全身にジッパーや革ベルトの意匠を散りばめるとともに、立て襟に硬質感を持たせることでアクセントを付けている。ヘルメット状の頭部については、それを外すと本来の顔があるかどうかまでは考えていなかったといい、また配下の魔人達のような明確な生物モチーフは特に定められていないとも後に語っている。
デザイン画稿では、露出した金色の胸元に五芒星を象ったマークが配されているが、実際の造形物ではオミットされ、左胸に魔人団のシンボルマークが配される形へと変更されている。
CV担当の檜山は、スーパー戦隊シリーズへは『超力戦隊オーレンジャー』(ボンバー・ザ・グレート)以来の参加となった。シリーズ初参加となった『五星戦隊ダイレンジャー』での神風大将を皮切りに、本作に至るまで荒くれ者的なキャラクターを連続して演じてきたこともあってか、以降のシリーズ(および東映特撮)への参加においても、一部の例外を除いてこうした系統のキャラクターが檜山の基本路線として定着していくこととなる。
海外版
『ギンガマン』の英語版ローカライズ作品『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』にも、ビラマックスの名でサンバッシュが登場している。
同作では、原典におけるサンバッシュの役割がオリジナルキャラクターのフリオに割り振られている都合上、作中での立ち位置も後述の通り大幅に変更され、武器も現地での規制に配慮して銃から剣に、そして人物造形も正々堂々とした戦いを好む性格へとそれぞれ改められている。
序盤のみの出番であったサンバッシュとは逆に、登場時期も物語中盤から終盤とされており、相棒のケグラー(ブクラテス)と共にオニックス星の酒場に屯していたところ、敵のボスの娘であるトラキーナと遭遇し、彼女の懇願を受け宇宙一の女戦士へと鍛え上げると、以降もトラキーナのナイトと称して彼女と行動を共にすることとなる。
しかしそのトラキーナが、物語終盤のとあるアクシデントで精神に異常を来し、一般人の犠牲も厭わない作戦に踏み切るとそのやり方に疑問を抱くようになり、さらに作戦遂行のために赴いたテラ・ベンチャーで少女を救ったことも影響し、最終的にトラキーナの命令に異を唱えるに至るが、そのために彼女の手で処刑されるという末路を迎えた。