「ピケットが弱いのは危険だ」
「ならば、滅多に沈みそうもない艦を」
「そんな艦がどこにある」
「呉にモスボールしてあるじゃないか、一隻」
────『征途』 第九章
概要
佐藤大輔著作の仮想戦記『征途』に登場する架空の海上自衛隊護衛艦。
その艦名から分かる通り、日本帝国海軍から海上自衛隊に引き継がれた、正真正銘の戦艦大和である。
経歴
第二次世界大戦
作中世界の第二次世界大戦では、史実のレイテ沖海戦で撃沈された戦艦武蔵の代わりに戦艦長門が沈み、その後の沖縄水上特攻には大和ではなく武蔵が出撃したことで、史実と違い大和が戦争を生き残ってしまった。
さらに戦時中、北海道北部に上陸して同地を占領したソヴィエト連邦は、北海道北部と南樺太に自国の傀儡国家、日本民主主義人民共和国(北日本)を建国。日本は史実の東西ドイツや韓国・北朝鮮のような分断国家となり、東西冷戦の最前線となってしまった。
米国はソ連と北日本に対抗すべく、米国寄りの日本国(南日本)に発足した海上保安庁海上警備隊に対し、接収していた大和を引き継がせたことで、大和は海上警備隊所属超甲型警備艦〈やまと〉として再就役したのである。
1950年代~
その後、日本版朝鮮戦争となった南北日本間の戦争「北海道戦争」に参加。米海軍とともにソ連義勇艦隊と北日本の赤衛艦隊を迎撃した後、新たに発足した海上自衛隊へ超大型護衛艦〈やまと〉として編入。
その間、各種の小改装を受けつつヴェトナム戦争にも参加し、対地艦砲射撃を行った。しかしヴェトナム戦後は予備艦に指定され、海上自衛隊基地のある呉でモスボール保管されることとなった。
1980年代~
ところが1980年代、海自空母機動部隊の護衛として打撃護衛艦(艦対空ミサイル専用のアーセナルシップ)にデータを共有するイージス艦が必要となったのだが、そのイージス艦はレーダーピケット艦として集中攻撃を浴びる危険性があること。
さらに米国が対ソ強硬策でアイオワ級戦艦を現役復帰させた所、北日本がソ連から購入後、予備艦として放置していたソビエツキー・ソユーズ級戦艦を米国への対抗で現役復帰させてしまったこと。
これらの要因により強力なイージス艦と北日本への対抗から戦艦が必要になってしまい、呉でモスボール保管されていた予備艦の〈やまと〉はイージス艦に改造されて現役復帰。
この結果、1990年代にもなって現役かつ世にも奇妙な「イージス戦艦」となってしまった戦艦大和が本艦である。
余談
オンラインゲーム『Modern Warships』に登場する戦艦「JS Yamato Aegis」は、Vtuberの宮間めさのが「戦艦大和が世界大戦を生き抜き改装され続けたらどうなるのか」をコンセプトに、『征途』の本艦をリスペクトする形で制作し、それがゲームに実装されたものとなっている。
これらの経緯は宮間めさの本人が下の動画にて、Modern Warships公式がSNSへの投稿で語っている。