軍艦が搭載する大砲(艦砲)による砲撃。陸上の目標を海上から攻撃するニュアンスを含んでいることが多いが、本来の意味としては目標が艦船であるか、地上であるか、あるいは航空機であるかは問わない。恐らく第二次大戦中に米英からのこれを陸で喰らったおじいちゃん・おばあちゃん世代の経験そのものや、彼/彼女らから経験談を聞いたイメージが強いためと思われる。
かつては魚雷による雷撃と並んで海戦の花形であったが、近年はミサイルの発達により、第二線に退いている。特に戦艦クラスともなるとその爆風は凄まじく、甲板に残っている人間は爆風で圧死するか、吹き飛ばされることは確実。
艦娘・長門による実演。
艦砲は強烈な破壊力から、浮かぶ砲兵として陸地への砲撃へも用いられ、「戦艦の主砲は4個師団に匹敵する」と言われるほどの大きな効果があった。
砲撃の直撃を浴びた土地には大穴が空き、地下浅いところにある防空壕や地下陣地を破壊することも可能である。到底、戦車で立ち向かえるものでは無い。提督諸氏ならば、様々な陸上型基地を常日頃から相手にしているため、その威力はよくご存じだろう。「三式弾」の記事も参照。
第二次世界大戦中には沖縄戦で大々的に実施されたほか、室蘭市、釜石市などにも大規模な艦砲射撃が行われ、民間人も含めて多くの死傷者を出した。砲弾の炸裂を近くで浴びた人間は、砲弾の破片に切り裂かれる。艦砲射撃の後はバラバラになった肉片、焼け焦げた死体が散乱し、皮がはがれて木に引っかかるなど、飛行機が墜落した後のような凄惨な有り様になった。
釜石市では多くの市民が防空壕に逃れたものの壕の崩壊で圧死する者が相次ぎ、600人以上が死亡した。
さらに時代が下ると、核弾頭を仕込んだ1発が広島型原子爆弾レベルの威力を持つ艦砲用の砲弾が現れ、アメリカ海軍のアイオワ級戦艦は10発程度(3~4斉射分)を第2砲塔に積んでいた時期がある。
現代でも艦砲射撃はミサイルより安価で有効な対地攻撃手段として用いられており、12.7cm砲といった小口径砲が主流となった現代艦の艦砲でも対地攻撃用のGPS誘導弾や射程を延伸するロケット推進弾が搭載されている。