概要
車道が右側通行の国や地域で生産、使用される自動車は、左側に運転席とハンドルがあるのが原則である。
世界の過半数の地域で採用されており、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデンなど自動車工業大国のほとんどもそうである。
ただし左側通行右ハンドルの地域には、インド、パキスタン、バングラデシュ、インドネシアなど特に人口の多い国も多数含まれているので、世界の運転人口数からすると実はいい勝負(ただしこれら地域ではハンドルが真ん中にあるオート三輪が非常に多い)。
また香港やマカオなどのように右通行の本土と違って左通行を採用する地域があったり、欧米でも20世期に入ってから左通行から右通行にした地域も多い。カナダなどは地続きなのに地域ごとで左右バラバラだった。
スウェーデンでは右側通行に切り替えた1967年よりはるか前から乗用車は左ハンドルしか売られておらず、一方隣接する国は全て戦前から右側通行で、国境付近での正面衝突が極端に多かったという特殊事情がある。
日本における左ハンドル
国産車が未成熟だった時代には輸入車乗りが多くいた。ウルトラセブンのポインターも左ハンドル。
日本においても沖縄県は、第二次大戦後1972年まで米軍の軍政下に置かれたため、返還後の1978年まで30年以上右側通行であり、左ハンドルが主流であった。乗用車やトラックは返還後順次右ハンドル車への置き換えやハンドル付け替え等で対応したが、路線バス等だけは切替日当日で一気に右ハンドル・左乗降口の新車へ置き換え左側通行に戻したが、昨今の鉄道や高速道のトンネル等は諸事情で一部を右側通行の区間として定めている所も有、計画及び建設箇所でも此の設計をする場所も存在する。
1980年代なると好景気によって、若い頃左ハンドルの輸入車に憧れた世代がそういう車を買いまくった。映像作品にも特に意味もなく左ハンドルが出てくることがよくあった。
しかし右ハンドルを採用する日本においては、左ハンドルは運転しにくかったり、発券機やドライブスルーなどが利用しにくいなどの欠点があり、バブル崩壊もあいまって廃れた。
慣れの問題でもあるが、自分でクラッチ操作するマニュアル車だと右ハンドル車なら左側の手足でシフトレバーとクラッチペダルを操作できるが、左ハンドル車では左足でクラッチを踏みながら右手でレバー操作しなければならない(ただ、シフトレバー位置以外の操作系は、右ハンドル車を含めISO上は左ハンドルの構造・配置を元に標準化されている)。
券売機などについては、近年は左ハンドル対応の施設が増えてはいるものの、助手席者の補助や、運転手が身を伸ばしたり一度停めて降りるなどの必要性も生じるが、高速道等はETC利用によってスムーズな通行情報や電子精算に役立っている。
日本ではかつて輸入外国車=左ハンドルというイメージであったが、現在では多くのメーカーが日本やイギリス、インドなどの市場を念頭に置いた右ハンドル車も作っているため、左ハンドルを選ぶ必然性は減っている。
そのためマニアックなものや特に古いものでもない限り左ハンドルしかない車種は少ないが、左ハンドルに憧れや拘りがあってあえてそちらを選ぶ人も少なくはない。
その一方で左ハンドルの地域(パラオやロシア連邦やモンゴル、朝鮮民主主義人民共和国等で見られる)では、日本車や英国車に憧れて右ハンドル車を選ぶ人も多い。