概要
ルパン三世VS名探偵コナンTHEMOVIEに登場したネタ。
映画の初頭でルパン三世が自分に変装して盗みをした現場を見ていた怪盗キッド(黒羽快斗)が仕返しとして映画のオチでルパンが盗もうとしていたお宝を盗んだ。出し抜かれたルパンがリベンジとして発表した映画のタイトル。
現実では皮肉にも2020年はいずれの映画も公開されないことになった(同年公開予定だった『緋色の弾丸』が新型コロナウイルス感染拡大により1年延期されたため)が、ルパン側は『THE FIRST』が2020年を目前にした2019年12月に公開されている。
実際の2人の差
名だたる大怪盗と呼び称される2人だが、そのスタイルはかなり異なる。予告状を出して、獲物の持ち主や警察を煽るところまでは同じだが、ルパンは音もなく侵入するスタイルなのに対して、キッドは衆人環視の中で堂々と姿を表す、所謂劇場型犯罪のスタイルをとる。
- ルパンが結果大捕物になってしまうのは、ルパンの犯罪経歴を徹底的に研究して待ち受ける銭形の存在が大きい。
と言っても、上記にある通り、ルパンも傾いたスタイルはいくらでも取れるし、一方のキッドもルパンタイプの犯行は鮮やかにやってのける。
キッド追跡の第一人者である中森警部はワルサーP38を抜くまでルパンがキッドに扮していた事に気づかなかったし、一方の銭形もキッドの先回り犯行を見抜けていない。
頭脳の明晰さでは驚くべきことにルパンがキッドに負けている。実はルパンはTV第1シリーズでIQ300とされている。で、対するキッドはIQ400。
しかし、当代のキッドはいかに頭脳明晰とは言え高校生で、先代である亡父から襲名するが、その事実そのものを知ったばかり、つまりデビューしたての新人である。
それに対し、ルパンは幼い頃からアルセーヌ・ルパン(ルパン一世)の一族として、言わば泥棒のエリートとして育ち、自立して活動するようになってからかなり経っている。
この為か、キッドは用心深さに欠けた行動が度々あり(ルパンもまったくない訳ではないが)、それがもとでピンチに陥ったりする。
また、活動期間が長いことに加え、家柄もあってルパンは、世界中に人脈を持っている。アニメや原作、各種作品で設定が異なるものの、その規模は「ルパン帝国」と呼ばれるほど広大なものであるとされるため、あくまで個人規模のキッドに対して、組織力では明確にルパンの方が上回っているといえる。
また、差がついてしまっているのが実戦での身体能力・戦闘力だ。キッドの身体能力は決して低くはない(超人的レベルと言って全く差し支えない。なんならかの京極真と二度相対しなんなら攻めにも回りつつ逃走を成功させている)のだが、ルパンのおおよそ脊椎動物なのかどうかも怪しい柔軟さからの脱出・逃走能力は流石に真似できないといったところ。
また、普段そばに次元がいるためかすみがちだが、ルパンは射撃の技術でも世界屈指の腕前であり、流石にキッドは及ばないといったところ(とはいえキッドも飛行中且つ不安定な姿勢をとっているハンググライダー上から体に小学一年生体型の人物を乗せつつ10メートル以上先にいる戦闘中の人物の右腕に巻かれたミサンガをたった一枚のトランプをもって撃ち抜いた等々の実績があり彼もまた相当な銃の腕前があることは疑いようがないが)。
そしてそんな二人の違いとして決定的なのは、怪盗行為に対するそのスタンスであろう。
キッドは「父の仇である組織への復讐手段」としての窃盗・怪盗行為を働いているのに対し、ルパンの方は「貴重な財宝を盗むという行為そのもの」を目的としている節がある。そのためキッドがコナンに対して挑発的に述べた「怪盗は創造的な芸術家」という視点で見るならば、皮肉にも芸術家としてはルパンの方が純粋という事になってしまう。もっともこれはキッドが父の死の真相を知って二代目を襲名、活動を開始してから極めて短期間しか経っていない事を鑑みると、致し方ないといえる。
またメタ的な事を言えば、作中で「怪盗キッド=黒羽快斗」としてその詳細な来歴や素顔について事細かに描写されているキッドに対して、「ルパン三世」の正体や素顔、本名については謎に包まれたままであるというのも、二人の大きな差である。
結局、怪盗としてのトータルスペックは、「高い素質を持つルーキーのキッド」と、「豊富な経験とコネを兼ね備えたベテランのルパン」、というところに落ち着くのだろう。
共通する設定・接点
ルパン三世とキッドには、いくつか共演する上での接点ともなり得る設定が存在している。
- フランスを拠点とした怪盗が登場。…『まじっく快斗』側は、怪盗淑女や怪盗黒猫や怪盗コルボーなど、多くの怪盗がフランスで盗みをしている。一方で『ルパン三世』では、ルパン三世が祖父同様にフランスなどのヨーロッパ圏で若かりし頃活躍していたなどの設定がある反面、フランスの敵怪盗となる者は少ない。
- ラスプーチンの子孫が登場。…『ルパン三世』の『ロシアより愛をこめて』では、孫としてラスプートンが登場。『まじっく快斗』ではなくキッドがゲスト出演した『名探偵コナン』での設定となるが、『世紀末の魔術師』に子孫として浦思青蘭が登場。
- ICPOに怪盗専門の捜査官が存在。…『ルパン三世』では言わずと知られたルパン三世専門捜査官の銭形警部(解任され別の者が着任したり、ゲストヒロインが助っ人捜査官になったこともあるが)。『まじっく快斗』でも同様にナイトメア専門の捜査官として、ジャック・コネリーが登場している。
- 2019年にシンガポールを舞台とした作品が制作。…予告された2020年の前年の2019年に、『ルパン三世』は『グッバイ・パートナー』が、『名探偵コナン』は『紺青の拳』がそれぞれ公開されている。世界各地を舞台にする『ルパン三世』はともかく、あまり海外を舞台としない(できない)『名探偵コナン』で「予告の前年」に「キッドが登場する映画」で「同じシンガポールを舞台にした作品」が制作された事は、2020年に向けて何かが動いていた可能性も否定できない。
- さらに、「裁かれたか不明な悪人」「本来の力を出しきれない味方キャラ」などの共通点もあり、これらの点を伏線とした作品が…とまではすこし考えすぎかもしれないが、テレビスペシャルの『ルパン三世VS名探偵コナン』以前から、『ルパン三世』の『炎の記憶』や『GREEN vs RED』、『名探偵コナン』の『紺碧の棺』をコラボの布石として用意していた過去もあるため、可能性がゼロとも言いきれない。
『YAIBA』との共通点
『まじっく快斗』と共演した『名探偵コナン』と『ルパン三世』との共通点や共演歴は、『ルパン三世VS名探偵コナン』の方を見てもらうとして。
『まじっく快斗』と共演した同じ作者の作品として、『YAIBA』が存在しており、『ルパン三世』の十三代目石川五ェ門関連のキャラクターは、『まじっく快斗』や『名探偵コナン』よりも『YAIBA』の方が共通点が多かったりする。
- 石川五右衛門の子孫が登場。…『ルパン三世』では、知っての通り、十三代目石川五ェ門が登場。アニメパート2第120話『フランケンシュタイン ルパンを襲う』の回では、初代石川五右衛門が十三代目石川五ェ門に憑依して登場。一方の『YAIBA』でも、初代石川五右衛門が熊に憑依して登場している。
- 沖田総司の子孫が登場。…『ルパン三世』では、アニメパート2第71話『ルパン対新撰組』の回で、ルパンや五ェ門の敵として三代目が登場。一方の『YAIBA』では、鉄刃たちの敵として六代目が登場。その後、平次のライバルとして『名探偵コナン』にも登場している。三代目と六代目で一見矛盾して思えるが、制作された時期の違いや、別の家系であったと考えることもできるため、同じ世界観でも矛盾はしない。
関連タグ
ルパン三世VSキャッツ・アイ…本作品より一足先に制作された『ルパン三世』と他作品の怪盗の対決を描いたコラボ作品。