概要
ルパン三世VS名探偵コナンTHEMOVIEに登場したネタ。
映画の初頭でルパン三世が自分に変装して盗みをした現場を見ていた怪盗キッド(黒羽快斗)が仕返しとして映画のオチでルパンが盗もうとしていたお宝を盗んだ。出し抜かれたルパンがリベンジとして発表した映画のタイトル。
現実では皮肉にも2020年はいずれの映画も公開されないことになった(同年公開予定だった『緋色の弾丸』が新型コロナウイルス感染拡大により1年延期されたため)が、ルパン側は『THE FIRST』が2020年を目前にした2019年12月に公開されている。
関係性
共通する設定・接点
ルパン三世とキッドには、いくつか共演する上での接点ともなり得る設定が存在している。
- アルセーヌ・ルパン(ルパンの孫と平成のルパン)
- ルパン三世は、言わずと知れたアルセーヌ・ルパンの孫。
- 一方の怪盗キッドも、「平成のルパン」という異名が付けられている。
- 先代となる存在
- フランスを拠点とした怪盗が登場
- 『まじっく快斗』側は、怪盗淑女や怪盗黒猫や怪盗コルボーなど、多くの怪盗がフランスで盗みをしている。
- 『ルパン三世』では、ルパン三世が祖父同様にフランスなどのヨーロッパ圏で若かりし頃活躍していたなどの設定がある反面、フランスで活躍する敵怪盗となる者は少ない。初期の頃登場のファントマ・マークⅢ(フランスなどヨーロッパ圏の怪盗の怪盗ファントマの子孫)などいくつかの例が存在する程度、ヨーロッパ全体で見ると、イタリアのレベッカ・ロッセリーニなどがヒットする。
- ラスプーチンの子孫が登場
- 『ルパン三世』の『ロシアより愛をこめて』では、孫としてラスプートンが登場。
- 『まじっく快斗』ではなくキッドがゲスト出演した『名探偵コナン』での設定となるが、『世紀末の魔術師』に子孫として浦思青蘭が登場。
- 専任の警部が登場
- ルパン三世に対しての銭形警部、怪盗キッドに対しての中森警部。
- ただし、これは、『ルパン三世』がコラボした『キャッツアイ』など、怪盗ものの定番とも言えることといえ、流れの源は『アルセーヌ・ルパンシリーズ』のガニマール警部。
- ICPOに怪盗専門の捜査官が存在
- 『ルパン三世』では言わずと知られたルパン三世専門捜査官の銭形警部(解任され別の者が着任したり、ゲストヒロインが助っ人捜査官になったこともあるが)。
- 『まじっく快斗』でも同様にナイトメア専門の捜査官として、ジャック・コネリーが登場している。
- 2019年にシンガポールを舞台とした作品が制作
- 予告された2020年の前年の2019年に、『ルパン三世』は『グッバイ・パートナー』が、『名探偵コナン』は『紺青の拳』がそれぞれ公開されている。
- 世界各地を舞台にする『ルパン三世』はともかく、あまり海外を舞台としない(できない)『名探偵コナン』で「予告の前年」に「キッドが登場する映画」で「同じシンガポールを舞台にした作品」が制作された事は、2020年に向けて何かが動いていた可能性も否定できない。
- さらに、「裁かれたか不明な悪人」「本来の力を出しきれない味方キャラ」などの共通点もあり、これらの点を伏線とした作品が…とまではすこし考えすぎかもしれないが、テレビスペシャルの『ルパン三世VS名探偵コナン』以前から、『ルパン三世』の『炎の記憶』や『GREEN vs RED』、『名探偵コナン』の『紺碧の棺』をコラボの布石として用意していた過去もあるため、可能性がゼロとも言いきれない。
- 世代が上の他の怪盗に頼まれてお宝を返却したことがある
- ルパン三世は、『ルパン三世 お宝返却大作戦』にて、マーク・ウィリアムズがお宝(本物)を返却。
- 怪盗キッドは、「コナンキッドの龍馬のお宝攻防戦」で怪盗淑女ファントム・レディが盗んだお宝(偽物)を返却している(なお、基本的に自分が盗んだお宝も目当てのお宝でなければ返却している)
実際の2人の差
スタイル
名だたる大怪盗と呼び称される2人だが、そのスタイルはかなり異なる。予告状を出して、獲物の持ち主や警察を煽るところまでは同じ(一般的な怪盗スタイル)だが、ルパンは音もなく侵入するスタイルなのに対して、キッドは衆人環視の中で堂々と姿を表す、所謂劇場型犯罪のスタイルをとる。
ルパンが結果大捕物になってしまうのは、ルパンの犯罪経歴を徹底的に研究して待ち受ける銭形の存在が大きい。
と言っても、上記にある通り、ルパンも傾いたスタイルはいくらでも取れるし、一方のキッドもルパンタイプの犯行は鮮やかにやってのける。
キッド追跡の第一人者である中森警部はワルサーP38を抜くまでルパンがキッドに扮していた事に気づかなかったし、一方の銭形もキッドの先回り犯行を見抜けていない(言ってしまえば、中森警部も銭形警部も、(優れた警察官ゆえに一般犯罪者はたちうちできないが、)大怪盗に関しては、それぞれに特化しているということであろうし、それゆえの専任捜査官と言える)。
知能・IQ
頭脳の明晰さでは驚くべきことにルパンがキッドに負けている。
- ルパンはTV第1シリーズでIQ300とされている。
- 対するキッドはIQ400。
- ただし、平均以上のIQは測定方法によって大幅な誤差が生じてしまう。
- またルパンはTV第5シリーズで「魚を大量摂取してIQを上昇させ、IQ計測装置をオーバーフローさせて突破する」という手法を取っており、IQ300というのもあまり当てにならない。
そのためあくまでも「そのIQが計測された時点では」という点に注意されたし。
家系
当代のキッドはいかに頭脳明晰とは言え高校生で、先代である亡父から襲名するが、その事実そのものを知ったばかり、つまりデビューしたての新人である。
それに対し、ルパンは幼い頃からアルセーヌ・ルパン(ルパン一世)の一族として、言わば泥棒のエリートとして育ち、自立して活動するようになってからかなり経っている。
この為か、キッドは用心深さに欠けた行動が度々あり(ルパンもまったくない訳ではないが)、それがもとでピンチに陥ったりする。
また、活動期間が長いことに加え、家柄もあってルパンは、世界中に人脈を持っている。アニメや原作、各種作品で設定が異なるものの、その規模は「ルパン帝国」と呼ばれるほど広大なものであるとされるため、あくまで個人規模のキッドに対して、組織力では明確にルパンの方が上回っているといえる。
戦闘能力
また、差がついてしまっているのが実戦での身体能力・戦闘力だ。キッドの身体能力は決して低くはない(超人的レベルと言って全く差し支えない。なんならかの京極真と二度相対しなんなら攻めにも回りつつ逃走を成功させている)のだが、ルパンのおおよそ脊椎動物なのかどうかも怪しい柔軟さからの脱出・逃走能力は流石に真似できないといったところ。
また、普段そばに次元がいるためかすみがちだが、ルパンは射撃の技術でも世界屈指の腕前であり、流石にキッドは及ばないといったところ(とはいえキッドも飛行中且つ不安定な姿勢をとっているハンググライダー上から体に小学一年生体型の人物を乗せつつ10メートル以上先にいる戦闘中の人物の右腕に巻かれたミサンガをたった一枚のトランプをもって撃ち抜いた等々の実績があり彼もまた相当な銃の腕前があることは疑いようがないが)。
とはいえルパンの技量と実績は実際に「世界一の殺し屋」とも称されるほどで、(活動実績の長さから当然とはいえ)潜ってきた修羅場の数はキッドの比ではない。
怪盗行為に対するスタンス
そしてそんな二人の違いとして決定的なのは、怪盗行為に対するそのスタンスであろう。
キッドは「父の仇である組織への復讐手段」としての窃盗・怪盗行為を働いているのに対し、ルパンの方は「貴重な財宝を盗むという行為そのもの」を目的としている節がある。そのためキッドがコナンに対して挑発的に述べた「怪盗は創造的な芸術家」という視点で見るならば、皮肉にも芸術家としてはルパンの方が純粋という事になってしまう。
さらにキッドは続けて「探偵はその跡を見て難癖つけるただの批評家」と述べて、探偵役の妨害を自分に対する侮辱と受け止めているが、ルパンは「扉のない金庫から盗んでも、ちっとも面白かねえんだ」など銭形に好敵手としてリスペクトを抱き、銭形の妨害があってこそとむしろ楽しんでいる。こうした点も、やはりルパンの方がキッドより大人だといえる。
反面、大人であるルパンはそれ故に原作版では殺人を含めたダーティな手段を躊躇なく行っており、その点では殺人を嫌った窃盗に拘るキッドの方が良く言えば高潔、悪く言えば潔癖な部分があるといえる。
もっともこれはキッドが父の死の真相を知って二代目を襲名、活動を開始してから極めて短期間しか経っていない十代の若者、言ってしまえば子供に過ぎない事を鑑みると、致し方ないのだが。
なお初代かつキッドのリスペクト元ともいえるアルセーヌ・ルパンは「人殺しをしない」というルールを常に守っていたため、初代ルパンのスタンスに近いのはキッドの方といえる。もっともルパンがダーティなのは原作漫画版であるため、アニメ版PART2以降、特に『ルパンVSコナン』など世界観が接合された近年のTVSP版などでは然程でもないので……しいて言うなら「若い頃のルパン三世はやんちゃだった」という所だろう。
素顔
またメタ的な事を言えば、作中で「怪盗キッド=黒羽快斗」としてその詳細な来歴や素顔について事細かに描写されているキッドに対して、「ルパン三世」の正体や素顔、本名については謎に包まれたままであるというのも、二人の大きな差である。
結論
結局、怪盗としてのトータルスペックは、「高い素質を持つルーキーのキッド」と、「豊富な経験とコネを兼ね備えたベテランのルパン」、というところに落ち着くのだろう(実際、同じルパン三世の怪盗VS怪盗コラボ『ルパン三世VSキャッツ・アイ』もキャッツがまだ駆け出しだった頃を舞台に、そういった設定となっている)。
『YAIBA』との共通点
『まじっく快斗』と共演した『名探偵コナン』と『ルパン三世』との共通点や共演歴は、『ルパン三世VS名探偵コナン』の方を見てもらうとして。
『まじっく快斗』と共演した同じ作者の作品として、『YAIBA』が存在しており、『ルパン三世』の十三代目石川五ェ門関連のキャラクターは、『まじっく快斗』や『名探偵コナン』よりも『YAIBA』の方が共通点が多かったりする。
- 石川五右衛門が憑依して登場
- 『ルパン三世』では、知っての通り、十三代目石川五ェ門が登場。アニメパート2第120話『フランケンシュタイン ルパンを襲う』の回では、初代石川五右衛門が十三代目石川五ェ門に憑依して登場。
- 『YAIBA』でも、初代石川五右衛門が熊に憑依して登場している。
- 沖田総司の子孫が登場。
- 『ルパン三世』では、アニメパート2第71話『ルパン対新撰組』の回で、ルパンや五ェ門の敵として三代目が登場。
- 『YAIBA』では、鉄刃たちの敵として六代目が登場。その後、平次のライバルとして『名探偵コナン』にも登場している。三代目と六代目で一見矛盾して思えるが、制作された時期の違いや、別の家系であったと考えることもできるため、同じ世界観でも矛盾はしない。
- ヒロインが峰姓
- 風魔忍者の登場
備考
『まじっく快斗』の2巻収録の「彼から手をひいての巻」では、生徒がするコスプレ姿の中にルパン三世が描かれている。(ちなみに、快斗・青子・紅子は別のコスプレをしており、白馬は登場前のため、主要キャラの誰かによるコスプレではないと思われる)。「生徒によるコスプレ」というシチュエーションではあるが、『ルパン三世VS名探偵コナン』の前に描かれた珍しい青山剛昌先生によるルパン三世である。
関連タグ
ルパン三世VSキャッツ・アイ…本作品より一足先に制作された『ルパン三世』と他作品の怪盗の対決を描いたコラボ作品。