皇紀2595年（昭和10年/西暦1935年）に採用されたため九五式、また八九式中戦車（イ号）、九五式重戦車（ロ号）に続き三番目に正式化された戦車だったため「ハ号」とも呼ばれる。
概要
快速戦車を実現すべく軽量の車体（7.4t）に6気筒120馬力の空冷ディーゼルエンジンを装備したために機動性は良好だった。
しかし、軽量化のため装甲厚は最大で12mmしかなく、また狭い砲塔は一人用で車長が砲手と装填手も兼ねねばならず使い勝手は決して良くはなかった。
本車に九七式中戦車の57mm戦車砲を搭載して火力を向上させたのが三式軽戦車「ケリ」である。
しかしただでさえ狭い砲塔に57mm砲を搭載したためさらに狭くなってしまい、その解決策として新砲塔チハへの改造で余っていた旧砲塔も搭載したのが四式軽戦車「ケヌ」である。
両車とも本土決戦用として配備されたため、実戦参加はしていない。
太平洋戦争時にはすでに旧式化し非力化していたが、本車はその軽量のため南方の島嶼に配備され米軍と交戦した。また、あまり知られていないが本車両は末期を除きテケ車と共に機甲兵器の主力でありアメリカ軍にとっての主力敵戦車であった(注)。そのためアメリカ映画に登場する日本軍戦車としては代表格になっている。
（『ウインドトーカーズ』、『硫黄島からの手紙』など）
陸軍だけでなく、海軍にも陸戦隊に配備されタラワやペリリュー等で使用されていた。
また海軍が本車の設計を元に開発した水陸両用戦車が特二式内火艇「カミ」である。
注・・・最初から最後まで九七式中戦車（以下チハ）が主力であると勘違いする人も多いが元々はチハはあくまでも本車両の欠点を埋める補助兵器に過ぎずあくまでも国軍の主力は本車両だとして開発されたものである。
戦後
戦後、残存していた本車の車体が北海道で雪上バス(通称「バチそりバス」)の牽引車として使われていた記録がある。
これらの武装を撤去し民生用に転用された戦車は「更生戦車」という通称で呼ばれていた。
戦後、京都嵐山美術館にて展示されていた車両がポーランドにてレストア中であり、2019年時点で自走可能な状態（主砲や機銃は未搭載）まで作業は進捗している。
その復元中の車両を、日本のNPO法人が静岡県に設立を目指している「防衛技術博物館」にて動態保存する計画も目下進行中であり、2022年12月に日本への里帰りが実現した。
さらに2023年9月には北海道でブルドーザーとして使用されていた車両が同じく「防衛技術博物館」への展示を目指し整備されている。
当該車両は昭和30年代にエンジンを、昭和40年代に油圧システムを換装しており操作性が向上しているという。
タイ王国との逸話
戦時中、日本とタイは同盟関係であり(日泰同盟)、大日本帝国軍からタイ王国軍に対して大量の兵器供与が行われており、その中で九五式も、日本陸軍から同盟国のタイ陸軍へ数多く供与されていた。
九五式は戦後においても長らくタイ陸軍で使用され、今なお走行可能な機体が保存されている。
また、バンコクのタイ国防省入り口にある士官学校前にも、退役した一両の九五式が展示されている。
登場作品
前述のとおり日本陸軍の主力戦車だったため、洋画では本車を模した戦車が多く登場している。
上陸してきたアメリカ海兵隊を高所から攻撃する。
ペリリュー島の戦闘で登場。
撮影用車両は3両が製造され、うち1両を2012年に株式会社カマドが購入。ファインモールド監修のもとディティールアップが行われ各地のイベントで展示されている。2022年12月には里帰りを果たした本物との共演も実現している。
『劇場版』以降、知波単学園の戦車として登場。主に福田はる達が搭乗する。
GBA「コンバットチョロQ アドバンス大作戦」に登場。算用数字の「95式軽戦車」名義だが説明書には「九十五式軽戦車」という誤った表記が見られる。
ミッション09で仲間になるジュウベエの初期装備として登場。「95式カノン」と「95式タンク」で再現可能。
威力は低いが射程が長く、ピンポイント射撃に適した95式カノンと小型だが積載重量が多く、森林での戦闘に適した95式タンクを持つ偵察向きのタンク。敵タンクとして登場する際には増加装甲のカッパーシールドで防御を補っている。
