解説
更生戦車とは、第二次世界大戦終結後に解体された軍から民間へと放出された戦車を改造、ブルドーザーやトラクターとした車輌のこと。
戦争に用いられた兵器が人々の生活やインフラのために働く民生車両に改造された姿が、まるで「更生」したように見えることからこの呼称が使われるようになったとか。
中でも、ブルドーザーに改造されたものは更生ブルドーザーとも呼ばれる。
具体例
日本戦車
日本軍のものとしては主に九七式中戦車や九五式軽戦車などの戦車、一式半装軌装甲兵車などの装甲車が民間に放出されて改造、転用されている。
搭載武装は砲塔ごと撤去され、上記のようにブルドーザーやトラクターのほか、メイン画像のようにソリ状の脚部を持つ北海道の雪上バス「バチぞりバス」(バチバス)の牽引車に改造された変わり種もあった。
また、一式半装軌装甲兵車は東京都のごみ収集車に改造されている。
また、官公においても警視庁機動隊では九七式中戦車や九五式軽戦車を改造したものが警備用装甲車として用いられていた。
ただ、専用に設計されたブルドーザーなどと比べると装甲で無駄な重量がかさんだりサスペンションで跳ねてしまうことなどから性能的にイマイチだったらしく、後にアメリカから安価な輸入重機が入ってきたこともあって使われなくなり、その大半は鉄屑として解体されたという。
ドイツ戦車
戦中にフランス各地で放棄されたドイツ製V号戦車パンターおよびその予備部品はフランス軍が回収、しばらく運用していた。
その後、1950年代に入って軍役を退いたパンターの中には上部構造をすべて取り除いてクレーン車へ改造したものが存在したらしく、写真が残されている。
現存車と展示計画
2023年9月、北海道でブルドーザーとして使用されていた九五式軽戦車の更生戦車をNPO法人防衛技術博物館を創る会が譲り受け、同団体が新設を目指している「防衛技術博物館」への展示を目指して整備を進めていることが発表されている。