解説
1972年生まれ、福岡県八女市出身。通称「ホリエモン」。本人はあまり好んでいないらしく「たかぽん」と名乗ることが多い。
一人っ子である。家は特別裕福というわけではなかったが、非常に成績優秀であったため小学三年生時の担任教師に勧められ、四年生から九州の有名進学塾である全教研に入塾する。その後、久留米大学附設中学校・高等学校に進学。塾や中学以降の指導体制や環境が自分には合っていたと語っている。
このころ、映画『ウォン・ゲーム』を視聴したことでコンピュータに興味を持ち、プログラムに熱心に取り組むようになる。一方で成績は落ち込んでしまい、またコンピュータを取り巻く環境に幻滅したことからそちらの熱も冷めてしまう。
高校卒業後の進路として、周囲は地元の九州大学を目指す生徒が多かったが、本人は地元を離れて環境を変えたいと思ったことから上京することを決意。経済的な事情に加え、説得のために両親でも知っているような有名国立大学を選ぼうと考え東京大学文学部を受験することにした。猛勉強の末現役で合格する。
大学在学中の1996年、当時交際していた有馬あきこらと共にベンチャー企業「オン・ザ・エッヂ」を設立する。さらに大学中退後、これを母体に2004年に金融事業企業の「ライブドア」を立ち上げた。
同年に発生したプロ野球再編問題の最中、真っ先に渦中の近鉄バファローズの買収・もしくは新球団設立に名乗りを上げ、大きく知名度を上げる。
これ以降頻繁にメディアに登場し、2005年には衆議院選挙に出馬するも落選。
また、2005年にはフジテレビの買収に動いたが、失敗。翌2006年に証券取引法違反で逮捕されたため、ライブドアを退社している。
懲役2年6ヶ月の実刑判決が確定した後は服役し、2013年の仮釈放・刑期終了後はメディアやテレビなどでよく出演している。
7gogoが提供していたスマートフォン向けアプリ「755」の開発にも携わった(「755」という数字は彼の刑務所での囚人番号に因むもの)。
また宇宙開発事業にも参入し、ロケットの打ち上げも行っている。以前ロケット打ち上げの失敗が大きなニュースとして取り沙汰されたが、専門家によると目的達成で成功の部類(ミスや欠陥を洗い出せるため)とのこと。その後、日本の民間ロケットとしては初となる宇宙空間到達を果たしている。
過激な発言(例えば、自分に指摘してきたドワンゴの幹部に対し、「青学(あおがく=青山学院大学)に言われたくねぇよ!」と盛大な悪態をつくなど。堀江自身は東京大学中退である)を常に公私問わず繰り返しており、良くも悪くも(どちらかと言えば悪い意味の方が強いが)注目度を集める実業家である。
SNS等でも「バカ」「○ね」「ボケ」といった暴言を平然と繰り返している。
ライブドア社長時代、大阪近鉄バファローズのネーミングライツやその後の新規参入を試みたほか、フジテレビ買収を模索したがいずれも断念している。
政治活動にも一時意欲を見せ、2005年には衆議院選挙で広島6区から出馬するも落選している。
文筆家としても活動しているが、佐藤秀峰から「ゴーストライターが執筆している」と暴露されたことがある。その後「自分の語り下ろしを、ライターや編集者による書き起こし、代筆という形で発表した書籍がある」とゴーストライターの存在を公にしており、幻冬社の編集者である箕輪厚介は「最近は語り下ろしすらしていないものもある」と発言している…が、堀江自身は箕輪の発言を否定も肯定もしていないため真偽は不明である。
人物、エピソード
徹底した合理主義で、会社経営においても収益や利益が大きく成長・発展するのであれば、そこまでのしがらみや伝統にとらわれず率先して取り入れようとする。逆に根拠もなく長らく守られていた伝統であったり、どれだけ将来的に高い目標を掲げていてもプランに現実性がなければ切り捨てたり、軽視する傾向にある(いわゆる「常識」が大嫌いであるという)。
プロ野球チームの買収は自身の会社名を大きく宣伝しつつ、プロ野球の収益構造を変えることが目的だったと語っており、自身がプロ野球チームを持つ目的は果たせなかったものの、ライブドアの知名度を売ることには成功し、親会社からの広告費や放映権を基本収入としていたプロ野球チームの収入は、堀江の台頭以後集客やグッズの売り上げを中心としたビジネスモデル改革で大幅に上昇している(特にパ・リーグ)。一説では堀江の一連の行動をきっかけに孫正義はホークスの買収を決断したとされる。
一方、日本プロ野球に対し「優れた選手がMLBに挑戦することを"流出"として危機感を感じるどころか"応援"しているのはおかしい。何故自分たちがMLBに勝る世界一のチームになろうとしないのか」とMLB至上主義の姿勢を非難している。
今でこそテレビと敵対するような扱いをされているが、堀江自身はテレビが与える影響力と可能性を高く評価していた。
実はバツイチで、過去に「できちゃった結婚」していたことをブログでカミングアウトしていた。現在は離婚しており、子供の養育費は毎月支払っているとのこと。本人は今後結婚の意思はないとしている。
何事にも「ハマる(没頭する)」ことを信条にしている。幼少期は「他にまともな本が家になかった」という理由で百科事典を読むことに没頭しており、またコンピューターや宇宙などの言葉に刺激を受けていた。東大受験の勉強では英単語およびその例文や派生語を隅々まで丸暗記し、ハマって楽しく乗り切った。
勾留中に韓国語を勉強していた他、最近では英語・スペイン語を勉強しているらしい。特に英語に関しては、過去に『ホリタン』、『ホリジュク』などの参考書を出版しており、近年出版された『英語の多動力』は記憶に新しい。
睡眠も重要視しており、一日の睡眠時間は6~8時間とのこと。
逮捕後の2006年1月23日~4月27日の勾留中は、韓国語の勉強、ならびに司馬遷の『史記』、山崎豊子の『沈まぬ太陽』など、文庫本を200冊以上読んでいたと報じられた。
プリントアウトしたものを支援者の手で持ち込んで貰い、検閲済みの手書きの返信を上げて貰うという手法ながら、獄中からツイッターをやっていた稀有な人物。獄中第一声は「ながのなう」(刑務所が長野県)。
多趣味であり、ゴルフやサッカー、キックボクシングなどさまざまなスポーツに取り組んでいる。麻雀も強く、福本伸行と麻雀を打つ企画に登場したこともある。また『近代麻雀』では彼のモチーフキャラである東大生を主人公とした漫画『ホリエ戦記』が連載されていた。また、健康づくりにかなり力を入れており、「人間力の強さは、健康力がベースとなっている」という持論を持っている。
コロナ禍において餃子店におけるマスク拒否で大きなニュースになった。厳密には堀江はマスクをしており、外していたのは同行者であったが、同行者の入店を頑なに拒否されたことへの不満から店名が分かるような書き込みをFacebookへ投稿。店は妻子が心の健康を崩すほどの嫌がらせをその投稿を見たならず者たちから受けて休店、堀江自身も釈明に追われることとなった。
ひろゆきこと西村博之とは仲が良かった様子が窺えたが(討論番組で一緒の立場になったこともある)、上記のマスク騒動などもあり関係が悪化。最終的に「今まで親友だったことは一度もない」と言い放ち「もう一緒に仕事はしない」と絶縁宣言とも取れることを発言している。一方でひろゆき側からは「(堀江のことは)面白いから好きです」「自分はつい一言余計に言ってしまう、申し訳ない」と謝罪した上で歩み寄られている。
その後、堀江は「僕を小馬鹿にして、喜んでいるっていうのが彼の生き方。自分は小馬鹿にされて喜ぶタイプではないからムカつく。でもあの人はそういう性格だから永遠に変わらないと思う」という趣旨の発言をしており、関係は改善していないようである。→参考
ヴィーガンに対しては否定的である。これは自身が肉を好み、また肉を提供する飲食店のプロデュースを手掛けているという背景もあるが、堀江に批判を寄せるヴィーガン当事者の多くが感情的かつ非合理的な論調であったことも影響しているようである。ちなみに、「野菜が嫌いだから肉ばかり食べている」というわけではなく、過去にSNSで肉を食べている写真などを投稿するたびに「ちゃんと野菜も食べてる?」と何度も複数人に絡まれたことから憤りを覚え、「野菜は美味しいから食べんの!」「『ちゃんと野菜を食べる』って考えがダメ」と発言している。
「ヴィーガンは健康に悪い」「(『ヴィーガン給食』が小学校で提供されたことを受けて)舐めてると奴らはどんどん肉食に関与してくる」などの発言を行なっている。
講義のレベルの低さ、コストパフォーマンスの悪さなどの観点から大学進学・大学卒業資格の有用性を否定しており(その割には、大学卒業式の講演に招かれたり、大学受験の攻略アドバイスに立ったりしたことがあるのだが)、奨学金制度利用もリスクにリターンが伴わないと否定的に見ている。
識者や有名人との対話でも毒舌は健在で、瀬戸内寂聴氏との対談本『死ぬってどういうことですか? 今を生きるため9の対論』(角川学芸出版・2014年9月発行)でも、戦争の危機を訴える瀬戸内に対して、「戦争なんて起きないですよ」と言いつつこううそぶいた。
堀江「僕は、(中略)戦争が起こったら、真っ先に逃げますよ。当たり前ですよ」
寂聴「どこに逃げられるの? 逃げる場所があるの?」
堀江「逃げる場所あるでしょ。第三国に逃げればいいじゃないですか」
寂聴「逃げられない人はどうするのよ?」
堀江「逃げられない人はしょうがないんじゃないですか?」
つまり堀江は、戦争が起きても海外で生活する能力のない弱者、災害が起きても土地を離れることのできない老人や貧困層がいるということにまったく想像が及んでいない状態で、上記のやりとりをしていたのである。
また2015年には、「生産効率の悪い人を無理やり働かせる為に生産効率のいい人の貴重な時間が無駄になっているのだよ」という文章をツイート。これが障害者差別ではないかと物議を醸し出し、とあるユーザーが「障碍者の人達にも社会貢献したい人は多いですよ。その場を経済活動労働に求める人も当然います、作業だろうがなんだろうが」という疑問をぶつけた。
それに対して堀江は、次のように返している。
「それは勝手にやってくれ。ただその多くは社会的にはプラスにはならないよ。したいならやり方を考えよう」
「あのさ俺差別発言なんかしてねーよ。障害者だろうが健常者だろうが働いたらその分社会が損する奴がいるって書いただけ」
「多分頭の悪い読解力のない奴が勘違いしてそういう風に書いてんだろ。障害のあるなしと仕事のパフォーマンスはあんまり相関性ないよ。クズは障害がなくてもクズのまま」
たしかに、堀江の最初のツイートは障がい者を想定したものではなかっただろうが、途中で、障がい者だって社会参加への機会を求めているというユーザーの問題提起に対して、「その多くは社会的にはプラスにはならないよ」と語っており、これは差別と受け取られてもしょうがないだろう。
更に彼は一連のツイートの中で、障がい者も健常者も、とにかく生産効率の悪い人間をクズだと言い切り、働かない方が社会のためだ、として、社会参加を否定している。
そして皮肉なことに、この翌年に起きた平成最悪の殺傷事件の犯人の家宅捜索をした際、「天才・堀江さまも障害者は働くな、無駄と言ってる。より知能の高い人の言葉に耳を傾けるべき」という、上記のツイートがきっかけと思われるメモが見つかった(つまり結果として、意図せずに、犯人の優生思想と犯行動機を強めてしまったということになる)。
上記の良くも悪くも過激な人となりからか、pixivで彼絡みのイラスト等に対しては、「いいねやブクマが少ない」作品が多い。
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