概要
1924年1月2日、大阪府大阪市南区(現中央区)生まれ。実家は老舗昆布屋だった。
旧制相愛高等女学校(現:相愛中学校・高等学校)、旧制京都女子専門学校(現:京都女子大学)国文学科を経て、毎日新聞社に入社。大阪本社調査部や同学芸部に勤務する傍ら小説の執筆を始め、1957年に実家をモデルに親子二代の船場商人を主人公とした『暖簾』を刊行して作家デビューを果たす。
次いで翌1958年に吉本興業創業者・吉本せいを主人公のモデルとした『花のれん』を連載し、同作で第39回直木賞を受賞。毎日新聞社を退職し本格的な作家生活に入った。
1963年から『白い巨塔』の連載を開始、大学病院を舞台に医局制度の問題点などを鋭く描いた社会派小説として話題を呼び、幾度となく映像化される代表作となった。その後も高度経済成長期を舞台に銀行家一族の野望と愛憎を描いた『華麗なる一族』の他、シベリア抑留経験を持つ元軍人が商社マンとして経済戦争を戦い抜く『不毛地帯』、太平洋戦争に翻弄された日系アメリカ人の悲劇を描く『二つの祖国』、中国残留孤児の波乱万丈の半生を描いた『大地の子』の戦争三部作、日本航空や日本航空123便墜落事故をモデルに航空会社の社会倫理を描いた『沈まぬ太陽』など社会問題全般をモデルとした小説を発表し続けた。作品の多くは長編であったが、短編小説集として『しぶちん』『ムッシュ・クラタ』も書いている。
一方で参考資料をほとんど脚色せずに小説に反映させており、盗作との指摘を受け続けた上一部では訴訟沙汰にまで発展したこともあった。
2013年9月29日、呼吸不全により死去。享年89歳。同年8月に戦争と平和を問う『約束の海』の連載を始めたばかりであり、未完の遺作となった。なお同作は3部構成で、その内第1部の原稿が書き上げられていたため、第1部の完結まで連載が続けられた。残る2部も構想メモが残されており、単行本化に当たって21ページの「あとがき」として掲載されている。