概要
憲兵は、「軍隊内の警察」と、軍隊外でも活動する「国家憲兵」に分けられる。
国家憲兵は、一般の警察とあまり変わらないものから通常の軍隊とあまり変わらないものまで千差万別である。
日本にあった憲兵は、国家憲兵タイプに属していた。
ロシアや中国では憲兵とは別に政治将校と呼ばれる将校が風紀の維持などの業務を行っている。これはもともとは政治政党が軍隊に派遣するなどイデオロギー的なものが強いものであり、敵勢力の政治宣伝に兵士たちが踊らされないよう、思想を鼓吹する、横暴な士官を告発する窓口(※)の役目などもしていた。政治将校は督戦隊なども編成した。現在ではその側面は薄れている。
※:士官が兵を乱暴に扱っていると規律が乱れ士気が低下し、結局敵のプロパガンダなどに乗せられやすくなるため。西側の軍隊ではこういう精神的に兵士を支える役目は従軍聖職者が行っている
憲兵(日本)
大日本帝国陸軍の兵科のひとつ。主要な任務は軍隊内の警察だが、行政警察や司法警察の任務を持ち合わせていた。陸軍以外での活動の際には、そちらの職務を担当する大臣(海軍大臣、内務大臣など)の指揮を受ける。
内務省の指揮下にある一般の警察(特高を含む)とは指揮系統が異なるが、両者とも司法省検事局の思想検事(思想係検事)の指揮監督を受ける立場であり、独自の判断で捜査を行う権限はなかった。しかし実際には十分に検事局が統制出来ていたとは言えず、特に統制の弱い満州では「厳重処分」といって憲兵の判断のみで処罰・処刑した案件が横行し批判を招いた。
なお、正式な憲兵にも、東京の憲兵司令部の指揮下に有る「勅令憲兵」と現地の作戦司令官の指揮下に有る「軍令憲兵」の2種類が有る上に、軍事拠点の警備や現地部隊の要人の警固や占領地の統治に関する業務を行なっていた部隊が俗語として「憲兵」と呼ばれていた事例も有り、そもそも誰が憲兵で、憲兵の組織構成はどうなっていたか? に関しては、結構、複雑な事となっている。(例えば、戦後の軍事裁判において、現地人の証人がある日本軍の将兵の事を「憲兵」と呼んでいたとしても、俗語的に「憲兵」と呼ばれていた部隊に所属していただけで、正式な憲兵では無かったが、当該証人はその事を知らなかった、という場合も有る)
注:軍令憲兵の「軍令」とは「平時の訓練や戦時での作戦指揮に関わる軍事上の権限」の事であり、対義語は「軍政」(軍を維持するのに必要な、いわば「お役所仕事」的な業務・権限)。そして人事は軍令ではなく軍政に分類される。つまり、軍令憲兵とは「正式な人事手続を経て任命された憲兵ではなく、現地指揮官の裁量で、一時的に憲兵業務を命じられた者」の事。
敗戦後、治安維持のために憲兵隊を存続させることが模索されたが、結局は陸軍本体と揃って解体され、元憲兵は戦後、警察官や法務府特別審査局(現・公安調査庁)の職員、再軍備後は自衛隊の憲兵隊に相当する警務隊や、情報収集を担当する調査隊の自衛官となった者も多かった。
海軍では戦前は陸軍の憲兵が海軍司法警察官・海軍司法警察吏として海軍大臣の指揮下で活動したが、第二次世界大戦中は海軍独自の警察組織として海軍特別警察隊が編成された。
国家憲兵隊 (フランス)
こちらは、いわば「歴史的経緯により構成員が文民ではなく軍人に分類されているだけで、職務内容はほぼ他国における一般の警察と同じ」と考えてよい。
陸軍・海軍・空軍とは別組織であり、国防省と内務省の管轄下に有る。
pixivでの使われ方
主にストライクウィッチーズや艦隊これくしょん関係のイラストで「おまわりさんこっちです」の軍隊バージョン「憲兵さんこっちです」として使われる。
日本にあった憲兵を描いた作品が中心である。
関連タグ
外国の憲兵
ジャンダルマ総司令部(トルコ共和国。平時はトルコ共和国内務省に所属し、戦時はトルコ共和国国防省の管轄となる。)
武警(中華人民共和国。中国人民武装警察部隊。中国人民解放軍とは別に組織された準軍事組織。)
重装備の警察組織
関連人物
実在
架空
派生タグ
憲兵さんこっちです(「おまわりさんこっちです」の軍隊バージョン)