概要
『魔人探偵脳噛ネウロ』の登場人物・篚口結也の両親が遺した遺言である。
一体どういう意味で遺したのか・・・
以下、ネタバレ注意
結也が生まれた頃、篚口家はいたって普通の幸せな家庭であった。
それから一年後のある日、父親があるネットゲームを始め、母親も感化されたことで生活が一変する。
両親は重度のネトゲ廃人と化し、仕事を辞めて祖父が遺した遺産を食いつぶしながら四六時中ネットゲームに没頭した。
家中にはゴミが散乱し、食事は結也にコンビニに買いに行かせるなど家事すら放棄していた模様である。
両親はゲーム内では世界中から頼りにされるプレイヤーとして活躍しており、結也にもゲームを強いてゲーム内で使う通貨稼ぎ(彼曰く「バイト」)をさせていた。結也自身は嫌気がさしていたというあたり、気に入ってはいなかったと思われる。
親子としての会話は「一つ目山のサイクロプスを狩りに行け」だのなんだのとゲーム内で親が使う資金稼ぎの指示くらい。学校以外でやる事はネットゲームの他には食料の買い足し(病院などにも行かせてもらえなかったのだろうか?)くらいだった。その生活が十年も続いた。
嫌気が差した結也はネットゲームを壊せば日常を取り戻せると考えた。
既にハッカーとしての才能を見せていた彼は、授業中にコンピュータウイルスを作成し、そのウイルスでネットゲームを強引にサービス終了させた。
これで日常が元通りになると大喜びで帰宅する結也だったが、待っていたのは首を吊って自殺した両親だった。
パソコンには「世界が壊れて しまったので 死にます さようなら」の遺書が書かれていた。
両親にとってはネットゲームこそが自分たちの世界であり、十年も入れ込んだそれが失われた以上、もはや住む世界はどこにも無かった。
遺書すら電子上に書いたあたり、現実世界は完全に向こう側だったのだろう
こうして、彼らは息子を残して自殺する道を選んだのであった。
…或いは彼等には『息子』など居なかったのだろう…
結也は日常を取り戻すために行った行為が、結果的に両親を死に至らしめてしまったことで、深い罪悪感を抱くこととなった。
後にこのトラウマを電人HALに利用されて彼に寝返るが、桂木弥子の説得で克服。
以降は人間的にも成長し、新しい血族との戦いでは彼らを追い詰めた。
なお、単行本の該当話の小話に、両親が綴っていたブログの様子が映っている。
当初こそ普通のブログであり、可愛い一人息子が生まれた報告などもされていたが、ネトゲを始めた報告からしばらくすると更新がまばらになり、口調も荒くなっていって、最後には「ブログに割く時間すら無駄」とばかりに無感情な閉鎖宣言だけを書き殴って〆ている。