ちっちゃい島のでっかいガール
ちっちゃいしまのでっかいがーる
孤島を舞台に、何故か身長15メートルの巨大娘に成長してしまった女子中学生の藤田みくると都会から母方の実家である島へ引っ越して来た三輪しげる、みくるの幼馴染みで島育ちの相川りんの3人の交友関係を中心に、島での生活やネットに公開されたみくるの動画を巡る騒動が描かれる。
MANTANWEBの作者インタビューによると、当初の企画案では巨大娘と海から出現した巨大な怪獣がバトルする内容だったが(既に同系統の作品が複数存在していたためか)そうした要素を排除して行った結果、孤島を舞台に巨大娘と島民の日常生活を描く内容に様変わりしたと言うことである。
この設定に沿って描かれたのが漫画投稿サイト「DAYS NEO」へアップしたネーム『巨大少女はパンツの夢を見る』で、当初は読み切りが想定されていたが『コミックDAYS』での連載化に当たり各種の設定変更が行われている。
人間が巨大化した場合の日常生活に伴う困難を描写した作品としては1970年に少年画報社『週刊少年キング』で連載されていた石川球太『巨人獣』が挙げられるが、本作では一国の経済活動に深刻な打撃を与えるレベルではなく島内のコミュニティに対する負担(だが、島民は誰もがみくるに対して好意的かつ同情的であり、殺伐とした展開は無い)とその解消策が丁寧に描写されている。例えば「スマホを持ちたい」と言うみくるの希望に対してスマホよりは大きく扱いやすいペンタブレットを用意し、しげるが考案したゴム製の指貫を先端に取り付けた棒で操作してもらうことによってネットの閲覧やメールの送受信が出来るようにすると言った具合である。
終盤では、世界各地にみくると同じように原因不明の巨大化で人目を避けるように生活していた子供たちがいることがわかり「いつか自分と同じ境遇の子に会ってみたい」と言う希望を抱いて物語が締めくくられる。
本作と同時期に小学館『サンデーうぇぶり』でも肉村Q『ジャイアントお嬢様』が週刊連載を開始しており、そちらはバトルや破壊描写が満載のため対極的な作風の巨大娘漫画が週に2本読める状態となっていた。
また、本作の完結から3ヶ月後には集英社『少年ジャンプ+』でミトガワワタル『ちえりの恋は8メートル』がやはり週刊ペースで連載開始しており、こちらは非バトルのラブコメディである。ヒロインの身長は本作の半分強だが、巨大娘の存在が社会的に認知されており日常生活を支援する組織が存在するため、直接は無関係ながら本作のラストから発展した世界観を彷彿とさせる。
- ちっちゃい島のでっかいガール(コミックDAYS)
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