どぜう鍋(どぜうなべ、どじょうなべ)とは、日本の鍋料理の一種である。
概要
その名前の通り、ドジョウの鍋物。江戸下町の名物料理の一つである。
酒浸しにしておとなしくさせたドジョウを浅い鍋で煮込んだものであり、長ネギを盛って食する(ドジョウの臭味を消す為の処置であるが、地方によってはニラやミツバを用いる事もある)。
ドジョウはきわめて栄養価の高い魚であり、鍋物でありながら夏場の精力増強、滋養強壮に良いとされていた(俗に「ウナギ1匹はドジョウ1匹」とも言われ、ウナギよりも小型でありながらウナギ以上に滋養がある食材と考えられていた。また、夏場の食材とされた事から俳句でも「泥鰌」は夏の季語とされている)。
バリエーション
ドジョウを煮こむというシンプルな料理であるが、その下拵えの方法によっていくつかのバリエーションに分かれる。
- 丸鍋 - 酒浸したドジョウをその姿のままで煮上げたもの。裂くのが難しい小振りなドジョウを用いる事が多い。
- 抜き鍋 - 「骨抜き」「裂き」とも。ドジョウを背開きにして頭と内臓を取り除き、笹がきにしたゴボウと共に煮込んだもの。裂くのが比較的容易な大ぶりのドジョウを用いる。
- 柳川鍋 - 背開きにして割り下で煮込んだドジョウを卵で閉じたもの。飯に載せて「柳川丼」(または「舞妓丼」とも)にすることもある。
- こもり豆腐 - どぜう鍋の中でも最も珍しく最も難易度の高い料理。鍋に冷水と豆腐、生きたドジョウ、微量の酢を入れて火にかけ、水が沸騰するに従ってドジョウが豆腐の中に潜り込んだタイミングで味付けして豆腐ごとドジョウを賞味すると言うもの。別名を「ドジョウ地獄」「地獄鍋」とも呼ぶ。ドジョウが豆腐に潜り込むタイミングが難しい為か、実際に作っては見たものの失敗したと言う例が多く、都市伝説ともされる(wikipediaではこの説を採用)。日中双方に同様の調理法があるとされるが、何れもその存在の可否が争われるほど。実際には豆腐に穴をあらかじめ開けておくことでドジョウが潜りやすくなるとされ、このやり方で成功した例がある。