概要
1976年に発表された曲。冬の国立(全国高等学校サッカー選手権大会)の大会歌(イメージソング)。「敗者の讃歌」として作られている。
夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)の大会歌「栄冠は君に輝く」に対するアンチテーゼを示す。
『栄冠は〜』は、努力と成果によって得られる栄冠を称える歌として作曲されている。
作詞の阿久悠はこれを、「勝者が敗者を否定して嘲笑う傲慢な歌としての側面がある」と捉えた。
対して、『ふり向くな~』は、「敗れて栄冠を得られずとも挑戦そのものに価値がある。その挑戦は誰も笑っていいものではない」と歌い上げている。
ちなみに、阿久自身は新聞に連載を持つほどの、熱狂的な高校野球フリークとしても知られている。
特に、1988年に岩手県立高田高校の初出場における不遇の敗退に対し捧げた詩『コールドゲーム』(俗に「一イニングの詩」と言われる)は有名である。
(当時、初出場だったが天候と大会規定によって初戦を1ゲーム戦いきることなく、一イニングを残してコールドによる強制敗退を言い渡された)
『ふり向くな〜』が『栄冠は~』のアンチテーゼとなった背景には、甲子園に関わるすべての人々への深い愛情があるのである。
しかし、敗者に寄り添うこの歌は当時、「勝者を愚弄し、努力を否定する(いわゆる判官贔屓)」という誤解を受けやすかった。
しかしら、実際には「敗者へのエール」として作られたものであり、挑戦の尊さを讃える歌なのである。